[Spir, カン・ジョンモ創業者] 「日本では、紹介での採用はしないでください」
[Spir, カン・ジョンモ創業者] 「日本では、紹介での採用はしないでください」
「メールの件名が「代表へ」となっていたため、もしかしたら勘違いされているのではないかと思い、ご確認をお願いします。私はSpir(スピア)という会社を現在のCEOと2人で共同創業し、現在は平社員として所属しています。もし、日本で起業した代表取締役とのインタビューをお求めでしたら、私はそれには該当しません。行き違いであれば、ミーティングをキャンセルしていただいても全く問題ありません。ご連絡のほどよろしくお願いします。」
Spir(スピア)の共同創業者であるカン・ジョンモさんは、インタビュー準備の過程でこのようなメールを送ってきました。本来「日本に進出する韓国のスタートアップへのアドバイス」を求めていたインタビューでした。韓国で大学を卒業し、日本に渡り、IT業界で18年ほど仕事をしている、経験豊富な人物です。日本で起業するのは今回が2回目です。10年ほど前の最初の起業は、家具職人と消費者をつなぐスタートアップでしたが、1年ほどで畳まれています。
2回目の創業が2019年です。Spirはスケジュール管理プログラムです。誰かと約束を取り付ける際、皆さんはどうしていますか?「〇月×日△時頃どうですか」と聞いていますか?そうすると、相手から「ごめんなさい、その日程ではなく、*日*時はどうですか」という返事が返ってきたりしますよね。
Spirでは、現在本人が可能なミーティング時間一覧を簡単なクリックのみで送ることができます。受信者は多くの時間帯ブロックから1つ選んてクリックします。すると、2人のメールに確定したミーティングが通知されます。もちろん、相手がSpirの加入者でなくても構いません。誰にでもメール1本送るだけで、時間帯を選べるようになるのです。いわば、約束を取り付ける際の、2~3回のメールのやり取りの手間を1回で済ませることができるサービスです。
右がカン・ジョンモ共同創業者兼平社員。左は現日本人創業者兼CEO/Spirホームページ
「ユーザー20万人のミーティングスケジュールフィックスサービス....創業者が平社員として働く日本のスタートアップ」
-Spirはもう5~6年目ですが、どのように売上を出しているのでしょうか?
「個人版は誰でも無料で使えます。会社版は有料です。例えば、チームメンバーが10人いれば、誰かがお客様とお会いすれば大丈夫ですよね。10人中誰か1人だけが出ればいいのです。そのようなスケジュール管理や、スケジュール調整機能は有料です。」
「5、6年ですから、かなり経っています。売上も一部発生しています。そういう意味では、ある程度定着しているとも言えます。」
-利用者数はどのくらいですか?
「かなりデリケートな部分なので。公開できる情報は、ユーザーは20万人程だという程度です。」
「ユーザーそのものはかなりいるのですが、無料ユーザーを有料に移行させるのは簡単ではありません。無料で使う中で、全く不満を抱いていない人がほとんどであるためです。お金を払う会社のニーズと、個人のニーズとは全く別物で、コンバージョンが起こりにくいサービスです。このような問題を考え、追加機能のサービスを準備し、近日中にリリースする予定です。 計画通りにいけば、現在のサービスより、はるかに多くの売り上げを出すことが可能でしょう。」
-資金調達は十分ですか?
「2回受け取りました。1度目は2億円、2度目はは5.5億円、合計7.5億円程です。」
-現在の従業員数は何人ですか?
「正社員は12~13人程です。契約社員として手伝ってくれている人が別で、そのくらいの数います。全部合わせると30人近くになります。」
-日本人と共に起業したんですね。
「最初、会社が小さいときは、私が全部手がけていました。採用も、開発も、全部やっていました。その後、有能な人も入社しました。当時、私がCTOをするよりも、私より有能なCTOを迎えて、この会社を大きくしようと考えました。その過程で、平社員になったとて関係ありません。会社の持ち株はある程度持っているので、何らかの形で会社の役にさえ立てれば、私の肩書きが何であれ構わないのです。」
「日本進出時の日本人法人長の探し方?誰かからの紹介で見つけるのはやめろ」
-日本で起業した立場から、日本に挑戦する韓国のスタートアップにアドバイスをお願いします。
「日本は海外のSaaSには寛容な方だと思います。ただ、前提があります。ちょっと言いにくいですが、初期に韓国企業であることに気づかれてはいけません。」
-外国産は好まれるが、韓国産であるということでのプラスαはない?
「プラスアルファはありません。でも、韓国だから嫌なのではなく、アメリカ産以外には全て拒否感があるのだと思います。少し抵抗感があるように思います。 「韓国の会社ではない」と嘘をつく必要はありませんが、ホームページに「私たちは韓国の会社です」と載せる必要もないのではないでしょうか。ホームページを見たとき、どこの国籍か分からないくらいにして、製品の品質さえ良ければ十分勝算があると思います。 (韓国のスタートアップである)Channel Talk(チャンネルトーク)は日本で大きな売り上げを出し、地位を固めましたが、日本の顧客はChannel Talkが韓国の会社であることをあまり知りません。」
例えば、「顧客対応をチャットで行うSaaSを入れたい」という会社がChannel Talkにアクセスしてきたとして、エンジニア向けのドキュメントなどを見ても、私からしても、英語での実装がすごくちゃんとされているんです。Channel Talkが意図していたかどうかはともかく、日本企業からはアメリカのスタートアップだろう、というふうに受け止められているのです。」
-日本法人のセットアップにおいて、「日本語」と「日本人スタッフ」の問題をどう捉えていますか?
「日本で現地パートナーを探すのが一番です。例えば、(日本法人にいる)Channel Talkの人たちはみんな日本人ですからね。法人を作るときから日本人を採用し、ビジネスを拡大するのが良いのではないでしょうか。」
「わざわざ韓国人を日本に送り込んで、韓国人支社長体制にするのは、ちょっと。日本は知らない状態ではかなり大変だと思います。一番いいのは、日本人パートナーを中心に最初のユーザーを確保して、拡大していくことです。日本は閉鎖的なので、見慣れない製品はあまり使いません。最初のユーザーを獲得するのが大変です。」
-法人長を日本人にしたくても、優秀な日本人を採用するのは難しいですよね?
「エージェンシーを使えば良いのです。韓国人はよく、誰かからの紹介を通して優秀な日本人人材を探そうとしますが、それはしないでください。採用アプリであるWantedlab(ウォンテッドラボ)も良いですね。日本法人長としてカン・ホチョルさんがいるのですが、そのような人材紹介サービスを利用するのが一番早いです。Wantedlabを使えというより、転職エージェントが日本にはたくさんあるという話です。日本ではそのように探す方が良いです。欠点は、お金がかかることです。」
「優秀な人材を探すなら、日本人法人長の年収は1200万~1500万程は考えなければならない」
-人材紹介会社に支払う手数料はどのくらいですか?
-日本法人長の年収の適正ラインはどのくらいですか?
-日本人はだいたい「現在の年収」を選ぶのでは?
-結局、アドバイスは確かですね。日本では「誰かからの紹介」で人を採らず、適正な手数料を払ってエージェントを通せ?
-日本初進出の韓国スタートアップがマーケティングなどの営業をする際に、パートナーを見つける良い方法は?実のところ、韓国では「マーケティングエージェンシー」のような企業を簡単に見つけることができますが、外国である日本では、どこがいいのか知るのも大変です。
-契約関係のパートナーであれば、使ってみてダメだったらすぐ変えればいいから?お金さえ正確に支払えば、むしろそれがお互いウィンウィン?
-パートタイム契約戦略はかなり実践的な戦略に聞こえますね。
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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