インタビュー

法令遵守の社会を陰で支える法・規制・政策モニタリングプラットフォーム|CODIT-代表 チョン・ジウン

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CODIT-代表 チョン・ジウン

CODIT共同創業者兼代表取締役。18年以上にわたるグローバル・韓国の政策に関する豊富な経験と専門知識を持ち、OECD、UNESCO、世界銀行といった国際機関で重要な役割を果たした経歴がある。現在はCODITを担う傍ら、韓国のデジタル戦略の最前線でも活躍。大統領デジタル政府プラットフォーム委員会のメンバー、企画財政省傘下の国家戦略委員会の委員として、韓国のデジタル化推進に尽力。さらに、済州特別自治道デジタル諮問委員会では、豊富な知見を活かし、地域のデジタル政策に関する戦略的アドバイスを提供している。


-国際機関での勤務経験から着想を得た、法律×技術サービス   

弊社サービス「CODIT」を一言で説明すると、法・規制・政策モニタリングのプラットフォームです。これだけ聞いても、なかなかピンと来ない方が多いと思います。確かに、普通に生活していたらなかなか法・規制・政策をモニタリングするという概念には、出会わないですよね。でも、法・規制・政策というものは、実は私たちの日常生活の至る所に影響しています。具体的な活用事例は、後ほどご説明するとして、まずはCODITがなぜ誕生したのかをお話しましょう。CODITは、実は、私が感じた“あったらいいな”を形にしたサービスなんです。

私は、この仕事を始める前まで、約8年間OECD(経済協力開発機構)に勤務していました。OECDとは、ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟し、国際マクロ経済動向、貿易、開発援助、持続可能な開発、ガバナンスについて、加盟国間の分析・検討を行う国際機関です。

私の仕事は、加盟国の政策の情報を集めて比較・分析するというものだったのですが、私はその情報収集方法に、もどかしさを感じていました。当時は、技術を活用して情報を集めるというよりは、どちらかというと人の手を使って情報を集めるという方法が主流で、国家公務員たちが、膨大な情報をかき集めていました。この方法は、人の目で確認できるという点で正確性は担保できましたが、その反面、1番新しいホットな情報が抜け落ちてしまうという難点もありました。法・規制・政策モニタリングの重要性と価値をよく分かっている人間だからこそ、その問題点を看過できなかったのかもしれません。

もっと効率よく、最新の情報をリアルタイムで収集する術はないものか。

この歯がゆさを解消するサービスを、私が作ることはできないのか。

そんな思いが大きくなり、起業を決意。2019年に、まずは個人で事業を始めましたが、投資を受けられることになり、2020年6月には、法人設立が叶いました。

会社の名前は、CODIT。CODITの「COD」は、Codexから取りました。

Codexの語源は「法律の集大成」(Collection of Laws)を意味し、古代および中世時代の法律と規範の集大成を指すラテン語で、現代の「法典」または「法規集」にあたります。

法律や政策情報を収集する我々の仕事内容にぴったりだと思いました。「Code」に技術を意味する「IT」をくっつけて、法律とIT技術を掛け合わせたサービスという意味が込められています。


-国や企業が健全で円滑な社会経済活動をするためのサポートツール

それでは次に、弊社サービスについて具体的に説明します。

まず、どの国であっても、私たちが普段目にする商品やサービスは、そのほとんどが法律や規制などのルールに則って作られています。商品やサービスの欠陥により、人の生命・身体・権利に害を与えることがあってはいけないからです。

例えば、育児用品メーカーで哺乳瓶を作る時も、材料の種類、吸い穴の形状、瓶の容量、取り扱い上の注意とその表記方法など、かなり細かくルールが決まっています。

メーカーの担当者は、商品を開発・生産をするたびに、そのルールを確認する義務があります。万が一、商品に問題があれば、リコールの対象になってしまいますからね。

CODITは、まさにそういう時に活用していただくサービスです。製造業に限らず、事業に関する法・規制・政策をリアルタイムでモニタリングでき、社会経済活動に役立てていただけます。

もちろん、法・規則・政策についての情報は、各国の政府のウェブサイトにも掲載されていますが、どの企業でも人材は限られています。AI機能が搭載されているCODITを活用すれば、少ない人材でも、多くの時間をかけずに、情報を精査することが叶います。

また、モニタリングサービスだけでなく、政策専門家による週刊・月刊の定期レポートサービスや、ニュース共有サービスもあるため、自社の事業に関連する情報だけでなく、業界全体のトレンドや競合他社でのインシデントなども、一目で分かります。

昨今は、企業の法令・コンプライアンス違反がSNSで拡散されるケースも増えていて、一度でも情報が拡散されてしまうと、企業の信用毀損に繋がってしまうケースも多いです。そういった視点からも、法令・コンプライアンス遵守に関する情報が常にアップデートされ続けるCODITのようなサービスは、必要不可欠ではないでしょうか。

現在、韓国屈指の大企業、グローバル企業、ユニコーン企業、スタートアップ企業、そして韓国の政府省庁や国会にも、CODITが導入されていて、汎用性高く、どの産業群にも需要があるサービスとして存在感を示しています。

2024年9月には、CODIT日本版 「CODIT Japan」もリリースしました。

CODITの個別対応型キーワード設定機能が日本のプラットフォームにも適用されたため、日本企業は、関心のある日本の規制・政策をリアルタイムにモニタリングできるようになりました。また、日本でビジネスを展開しているグローバル企業や日本市場に進出しようとしている韓国企業も「CODIT Japan」を活用すれば、日本の法・規制・政策に、これまでよりも、もっと早く対応できるようになります。


-ユーザーの生の声から、潜在需要をすくい取る 

ありがたいことに、現在、本当に様々な産業群のお客様にCODITを活用いただいていますが、

CODITの使い方は、皆同じではありません。

各産業群によって、モニタリングする情報や求める情報が違うため、CODITの活用の仕方も産業群によって大きく異なります。

また、今ある法・規制・政策も、時代背景や新しい判例によって変わることがあります。

そのため、我々は、どの産業群のお客様にも、常に最新の情報を提供するべく、止まることなく進化し続け、お客様の理想通りにサービスを活用してもらえる努力をし続けなければいけません。

口で言うのは簡単ですが、このミッションは想像以上に大変で、骨の折れる仕事です。

そんな中、欠かせないのが、デモを含む“ユーザーインタビュー”。

CODITに限らず、どんな商品・サービスでも同じだと思うのですが、立場や視点が違ったり、知識量に差があったりすると、同じ商品・サービスに対する見え方が違うことがあります。お客様は、法・規制・政策の専門家ではありませんし、我々もお客様ほど、お客様の事業について詳しくありません。

そのため、お客様が「CODITは必要ない」とおっしゃっても、お話してみたら、潜在需要に気づいていないだけだったというパターンも、実は結構あります。このように違う視点を持つ者同士が話をするからこそ、“盲点”が見つかることもあるので、ユーザーインタビューは双方にとって非常に大きな意味を持ちます。

我々の目的は、サービスを売ることではなく、CODITというサービスの価値を正しく知っていただくこと。

より多くのお客様に、CODITを正しく理解してもらうためにも、1週間に3〜4回は、ユーザーインタビューの時間を取るように努めています。時間がかかることですし、根気強さが求められますが、結局こういう粘り強いアプローチが、サービスをさらに成長させる一番の近道であると確信しています。


-“あったらいいな”から、“なくてはならない”サービスへ

私は、「CODITのおかげで業務効率を大幅に向上できた」「これは本当に有用なサービスだ」と、お褒めのフィードバックを頂くことはもちろん嬉しいですが、「ここが不満」「もっとこういう機能を追加して欲しい」と、ご指摘をいただけることは、もっと嬉しいです。

このような声が出てくるということは、そのお客様にとって、CODITが必要不可欠な存在になりつつあるということですからね。

私たちは、このようにお客様のニーズに近づきながら、お客様と一緒にCODITの価値を上げていける貴重なチャンスを、絶対に逃したくありません。

お客様と関わる時間を増やす努力を怠らず、フィードバックひとつひとつと向き合い、足りない部分をどうやって補っていくかを考え、サービスを確実に向上させていきたいと思っています。

元々は私の経験から“あったらいいな”と始めたサービスでしたが、それがいつしか社会に溶け込み、いろんな産業群のお客様にとって“なくてはならない”サービスに成長しているのを実感できるのは本当に幸せなことで、とても感慨深いです。


-高い倫理観を持ち、コミュニケーション能力に長けた精鋭だけを採用

 CODITは、専門知識を持つ専門家たちの知見を寄せ集めて運営されていますので、人材採用には特別なこだわりがあります。

 サービスの特性上、主には、国家機関での勤務経験がある方を採用していますが、国家機関での勤務経験がない方でも、社会的な見識が十分に備わっていて、物事を体系的に素早く理解できる方であれば、採用する場合もあります。

入社試験には筆記試験と面接試験があり、時間をかけて、じっくり適性を見極めます。

また、先ほどのユーザーインタビューの話とも関連しますが、この仕事は粘り強く顧客ニーズを掘り起こせない人には務まりません。常に能動的に行動できるかも肝になります。

コミュニケーション能力が高いか。

自分の仕事に誇りを持ち、心血を注いでやり切ることができる人材なのか。

そういった点も、かなり注意深く観察して、一緒に働く人を決めています。部署によっては、採用倍率が250倍ほどになることもあるので大変ですが、人財は宝。一切の妥協をせず、即戦力になる精鋭だけを採用しています。

 

-グローバル企業としての矜持をもち、世界的インフラサービスに成長させたい

 我々の夢は、国・地域に関係なく、世界中どこでも、必要な時に法・規制・政策をモニタリングできる社会を作ることです。

私は、創業時から、この会社を必ずグローバル企業に成長させていくと決めて仕事をしてきましたし、弊社の社員も皆、「韓国企業というより、グローバル企業に勤務しているんだ」という矜持をもって日々の業務に取り組んでいます。

現在、CODITには、韓国・米国・日本のデータが蓄積され、少しずつですが、確実にグローバル展開が進んでいます。次は台湾、香港などアジア諸国を始め、できるだけ多くの国家の情報やデータを集めたいです。

韓国語、英語、日本語以外の言語の壁も取り除いたサービス展開をしたいので、やらなければいけないことは山ほどありますが、グローバル展開においての一番のポイントは、やはり検索のスピードと質の両方を充実させるAI の機能向上だと考えています。

弊社は、高いインテリジェンスと、業界唯一無二のノウハウを活かし、現時点で、AIを活用した法・規制・政策モニタリング技術関連の特許を13個取得し、グローバルな市場でも機会損失をしないような体制を整えています。

どの国でも、人々が、安全で過ごしやすい日々を送るためには、法令遵守の概念はとても大切です。

我々は、これからも法令遵守の必要性と重要性を伝える存在としてサービスを運営していきますし、いつか世界的なインフラサービスとして認知してもらえるように活動していくつもりです。


CODIT

会社HP

日本 : https://thecodit.com/jp-ja

SNS アカウント 

Linkdin : https://www.linkedin.com/company/coditofficial/posts/?feedView=all

Youtube : https://www.youtube.com/@codit.official/featured

NAVER BLOG :  https://blog.naver.com/thecodit

Facebook :  https://www.facebook.com/CODIToff


/media/島津優実
記事を書いた人
島津優実

1989年生まれ。KORIT編集部取材記者、フリーランス通訳者・翻訳者。 会社員時代、都内の日本企業にて弁護士、医師、税理士のインタビュー記事を多数執筆。 現在は、複数の韓国企業で通訳や翻訳を担当。対応言語:韓国語、英語。

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