韓国ECで販売を行うときに必要な許認可|行政手続
韓国でネットショップを通して商品を販売したいという会社が増えています。越境ECスキームで販売することも選択肢の一つですが、関税の問題や代金回収の問題でなかなかうまくいかないケースも多いようです。そこで、韓国に現地法人を設立した上でネット販売を始めるときに必要な許認可等に関して、簡単に説明します。
韓国で電子商取引(EC販売)を行う際に必要となる手続きは、大きく分けて3つとなります。
税務署での事業者登録
法人設立登記が完了したら、次に必要となる手続きが、税務署での事業者登録です。事業者登録は、全ての事業者に強制されるものです。近頃は、個人が副業としてEC販売を行うこともよくありますが、その場合でも必須となる手続きです。
事業者登録を行う際には、業種を申告する必要があります。EC販売を行うためには「通信販売業」という業種を含めて申告する必要があります。ここで、そもそも法人の定款及び登記簿謄本に登記されてある事業内容のうち、通信販売業に関する記載が無い場合は、税務署で受け付けてくれません。定款を作成する際に、通信販売業に関する内容を事業目的として含めておくことに留意が必要です。
購買安全サービス利用確認証の発行
別途の許認可や申告を必要としない事業を行う場合は、事業者登録が完了すれば、すぐに事業を開始することができますが、電子商取引を行おうとする場合、「電子商取引等における消費者保護に関する法律」第12条に基づき、所定の事項を公正取引委員会又は特別自治市長·特別自治道知事·市長·郡守·区庁長に申告することが義務付けられています。実務的な手続きとしては、当該事業場を管轄する区庁で通信販売業申告を行い、通信販売業申告証の発行を受けることとなります。
通信販売業申告を行う際に必要となる書類のうち、最も重要な書類が「購買安全サービス利用確認証」というものです。
「購買安全サービス利用確認証」とは、電子商取引において、消費者が代金を支払ったにも関わらず商品を受け取れないというような詐欺取引から消費者を守るために作られた制度です。金融機関等の第三者が仲介し、取引者間の代金と商品の受け渡しが正常に行われるよう保障するものです。「購買安全サービス利用確認証」は、一部の金融機関または決済代行会社等から発行を受けることができます。金融機関の場合、韓国のローカル銀行である農協銀行・国民銀行・企業銀行で発行を受けることができます。この場合、当該銀行に法人口座を開設しないといけないのですが、韓国も日本と同様に、新規口座開設に対する制限や審査が日々厳しくなっていますので、既に他の銀行で口座を新しく開設してしまった場合は、すぐに追加で開設することが難しい場合もありますので、事前に注意が必要です。
自社サイトを開設しEC販売を行う場合は、上記のような金融機関やイニシス等の決済代行会社を通じて発行を受けることができる一方、オープンマーケット(モール型)に入店するかたちでEC販売を行う場合は、当該オープンマーケットとの契約を通じて、簡単に「購買安全サービス利用確認証」の発行を受けることができる場合もあります。
区庁での通信販売業申告
「購買安全サービス利用確認証」の発行が完了したら、いよいよ通信販売業申告を行うことができます。(但し、ショッピングサイトのドメインが開設される前に通信販売業申告を行うことは出来ません。)
申告方法は、事業場管轄の区庁に訪問するか、または「政府24」という行政サイトを通じたオンラインでの申告も可能です。提出書類は、通信販売業申告書及び「購買安全サービス利用確認証」及び登記簿謄本等の会社基本書類となります。
受付完了後、通信販売業に係る登録免許税を納付すれば、約3営業日ほどで、通信販売業申告証の発行を受けることができます。なお、登録免許税は、納税地域の人口及び免許の種別によって税率が異なりますが、ソウルで通信販売業を営む場合、40,500ウォンを当初登録する際に納付し、さらに毎年1月に納付することとなっています。
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