[シーズン7]ベルトルト・ブレヒトの詩を聞かなければならない冬の夜
[シーズン7]ベルトルト・ブレヒトの詩を聞かなければならない冬の夜
もちろん私は知っている。ただ運が良かったおかげで
私は多くの友人よりも長く生き残った。
しかし、昨夜の夢の中で
友人が私について話す声が聞こえてきた。
「強い者は生き残る」
そうして、私は私が憎くなった。
ベルトルト・ブレヒトの「生き残った者の悲しみ」が浮かんだのは、COMEUP2022のSpoonRadio(スプーンラジオ)創業者のチェ・ヒョクジェ代表の発表を聞いているときだった。100社のうち、99社は消えます。今日この場で出会った創業者の方々の多くは、1~2年後にはスタートアップを離れるでしょう。 「投資金1億ウォン(約1000万円)ごとに肩にレンガを1つずつ載せているような負担を感じた」というチェ創業家はそうして11年を耐え、今も失敗を重ねていると話しました。
ちょい事情通の記者がシーズン7を始めます。出会う創業家ごとに将来について悩んでいる現在、シーズン7を準備しながらかなり悩みました。 「世界のすべてのスタートアップを応援する」(ちょい事情通の記者プロジェクトのモットー)は、どれほど大変で無謀なことなのか。以前シーズン1~6を始めたときに感じていた、軽快さやときめきは萎みました。 「生き残った者の悲しみ」のような詩が頭の中を回ります。
一枚の写真がすべてを飛ばしました。スタートアップ、INTEGRATION(インテグレーション)のチョン・ヒボム創業家の写真です。スタートアップは世界のペインポイントを解決しようと登場し、そのため創業者が世界のすべての荷を背負いますが、実際は誰かの父親であり、母親であり、叔父であり、叔母であり、時には息子・娘であり恋人なのです。 辛くても、この問題だけは必ず解決しなければならないと思う理由は、そこにあるのではないでしょうか。ちょい事情通の記者は、世界のすべての創業者と彼らが愛するすべての人々を応援します。
スタートアップ、INTEGRATION(インテグレーション)のチョン・ヒボム創業家の写真です。この子が20歳になったとき、この日を覚えていてほしいという願いを込めて、シーズン7を始めます/写真チョン・ヒボムさん提供
1.INTEGRATIONのチョン・ヒボム、売上27.5倍成長
「医療従事者が診療に集中するほど、人々はより健康になります。私たちは、医療スタッフが診療にのみ集中できる環境が用意されればされるほど、医療サービスの質は高くなり、人々はより健康な日常を生きられると信じています。医療提供者の方々が診療のみに完全に集中できるよう、フランチャイズインフラレベルのサービスを、プラットフォームが提供することを目標としています。」
INTEGRATIONが解決しようとしているペインポイントです。INTEGRATIONは、Medistream(メディストリーム)とDeneer(モアデン)という2社のスタートアップが買収合併で一つになった会社です。Medistreamは韓方医学系プラットフォーム、Deneerは歯科医系プラットフォームでした。チョン・ヒボム代表は韓方専門医師であり、Medistreamを率いています。Deneerは歯科医のソン・オンウィ代表が率います。
医療者の加入者数は4万4000人余りです。少ないでしょうか?そんなことはありません。医療人のプラットフォームであるINTEGRATIONは、韓方医学系の69%(約2万7400人のうち加入者は約1万8900人)、歯科医系の43.3%(約3万1900人のうち約1万3800人)、歯科衛生師の19%(約6万1900人のうち約 1万1700人)を確保しています。医療のプラットフォームでは、すでに独自のステータスを築くまでに上っています。4年の四半期の売上はそんなINTEGRATIONのストーリーでもあります。TBTの推薦です。
2.catchtable(キャッチテーブル)のヨン・テスン、レストラン予約の世界
グルメな人であれば、あるいは会食の予約担当メンバーなら必ず一度は使ったことのあるアプリ。catchtableです。現在ではレストラン予約アプリとして急速に拡張していますが、実はcatchtableは3年の間B2B、つまりレストラン店主を相手に有料サブスクリプションアプリを販売していました。すべて店主DBを集めるための大きな画の一部だったそうです。そのために当然のようにとても長かった死の谷を耐えきったそうです。
ヨン・テスン代表は死の谷すら計画のうちだったと語ります。catchtableは最近、レストランの店用のPOS端末をリリースしました。予約アプリもcatchtableのゴールではありません。MarvelのMCUフェイズ1、フェイズ2のように、着々とステップを踏みながら進むキャッチテーブルの大きな画をお聞きしました。推薦人はAltos Ventures(アルトスベンチャーズ)です。
ヨン・テスン代表/catchtable
3.Business Canvas(ビジネスキャンバス)のキム・ウジンとTyped(タイプド) 「MicrosoftWordに代わる」
キム・ウジン代表は電子メールで会社紹介書を送ってきました。クリックすると、「Typed(タイプド)」というワードにつながりました。Googleの新規サービスかと思いましたが、個人情報を入力しろと書いてあります。1分で入力し、スタートアップ「Business Canvas」の会社紹介書を開きました。しばらく読んで、気づきました。 「私ももうBusiness Canvasの会員になったんだ」と。TypedはBusiness Canvasのサービスです。Gメールボックスには「Typed紹介メール」が来ていました。
会社紹介書に出てきた文章のみを書き出しても、キム・ウジン代表がなぜ創業したのかが伝わりそうです。 引用します。 「文書ベースのコラボレーションツール「Typed」はコラボレーションツール業界の「異端児」…GoogleはTypedとWorkSpace(ワークスペース)を合わせた商品などをリリース....Typedの核心ソリューションに基づいて競合他社のMS officeに対抗するという趣旨だ」「キム・ウジン代表は外国語高校に通いながら、映画監督になりたいと学校を辞め、フランスに留学に行ったというユニークな経歴を持っている」「彼は「MicrosoftWordに代わるツールとして位置づけたい」と話した。」「Typedは「あなたの第二の頭脳(Your Second Brain) 」というフレーズを掲げている。利用者が収集した情報を個人の「知識化」するのに役立つプログラムだ。」
グローバルコラボレーションツールSaaSで韓国スタートアップが席を取ることができるのでしょうか。2020年7月に設立したBusiness Canvasは、その答えを探すスタートアップです。スタンフォード大学、イェール大学、ニューヨーク大学、ロンドンエコノミック大学、ソウル大学、漢陽(ハニャン)大学などあらゆる大学出身の創業チームが集まり、エンタープライズSaaS市場において、創業2年で184カ国の加入者を確保しました。
Business Canvasの共同創業者たち。左端がキム・ウジン代表。 /Business Canvas提供
4.DOHANDS(ドゥハンズ)のパク・ジェチャン、フルフィルメントの生存法
DOHANDSは2022年11月のスタートアップです。氷河期のど真ん中に立っています。フルフィルメントサービスを行っています。フルフィルメントサービスとはコマース市場で販売者の代わりに注文を管理し、製品を出荷することを言います。物流ではありますが、物流とだけ言うには少し異なった市場でもあります。DOHANDSは2015年にpoomgo(プムゴ)を公開しました。2019年NAVER(ネイバー)などから55億ウォン(約5.8億円)規模のシリーズA投資を、2021年9月にはIMM Investment (IMMインベストメント)、韓国産業銀行などから216億ウォン(約23億円)の投資を受けました。全国5カ所でフルフィルメントセンターを運営しています。
NAVERで検索すると「DOHANDSが経営悪化により職員の半分以上に勧告辞職を通告したことが分かった」という話が出ます。ベルトルト・ブレヒトの「生き残った者の悲しみ」がパク・ジェチャン創業者にとっても、力になりますように。
FuturePlay(フューチャープレイ)の推薦です。
2013年のパク・ジェチャン創業家の姿。当時、成均館(ソンギュンガン)大学優秀在学生に選ばれたときの写真。/朝鮮日報DB
5.Antigravity(アンチグラビティ)ヨン・ボングン、「下着のサイズ選びは胸囲ではなく体積」
Antigravityは既存のやり方を拒否するスタートアップです。どんなやり方でしょうか?女性の下着であるブラジャーのサイズを胸囲で測ることを拒否します。体積で測るというのです。
「Aカップといっても最低120cc最大380ccの体積差がある」というのが、Antigravityの創業家ヨン・ボングン代表の主張です。妻の産後うつ病をきっかけに胸囲と下着について勉強し始め、2000年代にはすでにブラのサイズは胸囲ではなく体積で測定すべきだという論文が何度も出ていたといいます。医療現場では体積で測定しているのに、古くからの下着メーカーはまだ胸囲を使っています。ヤン代表はこのような既存のやり方を拒否し、AIをベースに胸囲を測定する技術を開発、下着を作る会社を設立しました。Bluepoint Partners(ブルーポイントパートナーズ)の推薦です。
6.POZAlabs(ポザラボ)ホ・ウォンギル、人工知能(AI)作曲家の登場
POZAlabsはAI作曲家を作るスタートアップです。 「AI作曲家?どうせ性能は良くないだろう」という人には誤算かもしれません。下のリンクは記者がPOZAlabsのAIに「SF映画に出てきそうな、壮大なオーケストラ映画OSTを作ってくれ」と依頼して約10分で返ってきたファイルです。
もちろん、人が作った曲のクオリティには勝てません。壮大なOSTを映画に使うのなら、交渉する作曲家として最優先なのはハンス・ジマーでしょう。それでは、誰がAI作曲家を必要としているのでしょうか?まさにYouTube、そしてOTTサービスをするコンテンツメーカーです。音楽の著作権料はとても複雑な体系となっており、地上波テレビで使うのか、インターネットで使うのかによって決まる価格もまちまちです。そのためYouTubeにおいては、YouTuber達は著作権のために音楽をオフにしたり、著作権FREEの音楽を使用したりします。まさにこれらのペインポイントに入り込むことができる作曲家がAI作曲家です。著作権を持たず、量産した曲を売るのです。だからこそ、近頃CJ E&MがPOZAlabsに投資したのかもしれません。音楽が好きで工学部でロックバンドを組み、結局AI作曲家まで作った創業者のホ・ウォンギル代表に会いました。推薦人はちょい事情通の記者 2号のイム・ギョンオプ記者です。
POZAlabsのホ・ウォンギル代表/POZAlabs提供
7.SELECT STAR(セレクトスター)キム・セヨプ、人工知能(AI)にも問題集が必要だ
AIはなぜ賢いのでしょうか。人より早く学べることも、AIが賢い理由の一つです。しかし、学ぶというのは、AIが学べるよう、コンピュータの言語で学習本を作らなければならないという意味でもあります。それでは、この学習本は誰が作るのでしょうか。まさにAlphaGo(アルファゴ)が囲碁の棋譜を学習していたように。
AI学習用のデータを作成する作業をデータラベリングと呼びます。実はAlphaGoの棋譜は比較的ラベリングしやすいものでした。写真、動く動画のような、はるかにラベリングが難しいデータが世界には多く存在します。AI業界ではこのラベリングを一種の土方と呼ぶそうです。
SELECT STARは、AIラベリング作業を効率的に行うことのできるプラットフォームを作ったスタートアップです。ラベリングに対する報酬を受けることができるマッチングプラットフォームを作り、検収者を集め、企業はラベリングを依頼する方式です。技術を利用し、ラベリングの品質管理も行います。SELECT STARの創業者、キム・セヨプ代表にお会いします。推薦人はKakaoVentures(カカオベンチャーズ)です。
8.GREEN LABS(グリーンラボ)シン・サンフン、スマートファーム普及率1%の韓国に登場した農業スタートアップ
GREEN LABSの創業者、シン・サンフン代表は連続起業家です。デートアプリAMANDA(アマンダ)の創業者でした。GREEN LABSのCレベルもみな連続起業家だそうです。GREEN LABSはユニコーンにかなり近づいているスタートアップです。
農業のあちこちにIT技術を適用しています。スマートファーム技術を開発・普及しています。農家が使用するアプリも作成しました。作況を記録し、肥料を購入し、卸売価格を確認できるアプリです。最近では会社内部に金融会社も作ったそうです。推薦人はちょい事情通の記者 3号のチャン・ヒョンテ記者です。
GREEN LABSのシン・サンフン代表/GREEN LABS提供
9.FutureEV(フューチャーイーブイ)キム・ギョンス、電気自動車スタートアップの明暗と真実
最近の世の中で、電気自動車を作るというスタートアップを信じる人がいるでしょうか?電気自動車を作ると政府補助金だけをたっぷりともらい、きちんと作ることがきず倒産したり、上辺だけの看板を冠している会社はとても多いです。ほとんど中国製部品を韓国に持ってきて、組み立てだけ行い、売る会社も少なくありません。
SparkLabs(スパークラボ)がFutureEVをちょい事情通の記者に推薦した時、内部議論を30回も行った理由です。しかし、SparkLabsの目を信じました。FutureEVは少し違うという根拠があります。電気自動車の核心であるバッテリー管理システム(BMS)を直接設計し、車体をはじめとする核心的な部品は直接設計して作るそうです。
創業者はKAISTで教授を務めたキム・ギョンス代表です。実のところ、FutureEVが作ろうとしている1トン未満の軽商用車は市場のペインポイントが大きいセグメントでもあります。内燃機関のダマスが生産中止となったのです。果たしてFutureEVが国内電気自動車スタートアップの鋭い一手となるのでしょうか。
10.Kasa(カサ)イェ・チャンワン、江南(カンナム)でビルを共同所有したいという30~40代サラリーマン男性の夢
世界になかった新しい不動産投資というのを聞いたことがあるでしょうか?ビルに一般人が投資することはできません。100億、200億ウォン(約1000万円、2000万円)ずつ転がす大きな世界です。そんな商業用不動産にも一般人の道を開けようとしているのがKasa(カサ)です。駅三(ヨクサム)ロンドンビルを含む瑞草(ソチョ)ジゼルタワー、駅三(ヨクサム)韓国技術センターなど6件をそのように建設しました。収益率も悪くありません。韓国技術センターは一般人が公募で分割購入した後売却しましたが、収益率は12.24%でした。ビルに投資したいという一般人が集まり、会員数は17万人だそうです。主に30~40代の男性です。しかし、言葉では簡単ですが、どのように一般人の少額を集めてビルを買い取り、管理して賃貸して売却して差益を稼いで、それを分けるというのでしょうか?
Kasaのイェ・チャンワン創業家は民族史観高等学校を出て、スタンフォード大学でコンピュータサイエンスを勉強しました。帰国してからはtumblbug(タンブルバック)のCTOを務めました。2018年にKasaを設立しました。上位1%のごく少数の資産家だけの投資先だったビル投資を一般の人に返そうと、「韓国初の不動産デジタル収益証券取引所」を作ったのです。聞きたいことがとても多いです。そのまま信じるには、うますぎる話です。40代のサラリーマンが江南(カンナム)の一角のビルを共同所有し、10%台の売却差益を享受する?一般人に返すのはいいが、そこで損失が出たら、そのリスクは?ビルの所有問題は?
Kasaのイェ・チャンワン代表/Kasa提供
11.NEMESIS(ネメシス)のワン・ソンホ、バイオ信号処理半導体の理解
NEMESISは半導体の会社です。会社紹介書をお願いしたら、上の写真のように住所が来ました。コアテクノロジーの説明がありますが、見てもわかりませんでした。おおよそ推定するに、「ファブレス」のようです。説明では、「半導体ベースのインテリジェントバイオシグナル処理ソリューション」をヘルスケアデバイスメーカーに供給するのがNEMESIS、だとしています。
もう少し詳細な説明を求めると、「NEMESISはバイオ信号処理半導体をベースにバイオセンサー技術と機械学習アルゴリズムを利用してバイオ信号処理ソリューションをメディカル、ヘルスデバイスメーカーに供給することを目指しています。NEMESISのバイオ半導体ソリューションは、パーソナライゼーションと疾病の予測を可能にするソリューションとして、バイオマーカーとバイタルサインの信号を処理します。従来のメディカルデバイスにとって困難な点であった小さなサイズでの製作、低電力実装などがNEMESISの半導体チップ利用により実現できます。CAPSTONE(キャップストーン)のソン・ウンガン代表の推薦ですがちょい事情通の記者はこの難しい分野をきちんと解釈することができるでしょうか。
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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