【ちょい事情通の記者】Veluga、規制に阻まれようとも再び...意志あるところに道あり
【ちょい事情通の記者】Veluga、規制に阻まれようとも再び...意志あるところに道あり
KakaoVenturesのそのとき投資
スタートアップは既存の産業を革新することもあるが、多くの場合、これまでなかった領域、あるいはサービスをリリースする。しかし、このような場合、消費者の選択とは別に、様々な規制に阻まれてサービスを中止しなければならないケースもしばしば存在する。起業を決意する際、様々な法規、規制を調べ、様々な意見を聞きながら進めるが、解釈によってサービスを中止しなければならないケースが存在し、このような場合、起業チームはパニックに陥る。KakaoVentures(カカオベンチャーズ)のファミリーであるVeluga Brewery(ベルーガブルワリー(株)(以下、Veluga)は、その代表的なケースである。
Velugaを他の投資家や消費者に説明すると、「ああ、そこは以前クラフトビールのサブスクリプションサービスをやってたところですよね」、「ああ、そこは法規制のためにサービスを中止したところじゃないですか」という話をよく耳にしする。Velugaは、当時の酒類通信販売に対する国税庁の改正と告示に基づき、合法的に酒類定期購読事業を立ち上げたが、国税庁が立場を覆したことにより、事業を運営して2年のうちに2回も事業を中止しなければならなかったという苦い経験があるチームだ。
このような状況になると、チームは別の選択を迫られる。自社が培ってきた資産を活用して新しいサービスを企画するケースがほとんどだが、Velugaは既存のサービス発売、成功後にやろうとしていたよりも、より大きな流通の問題を直接解決することに注力することを始めた。Velugaは、従来のサービスではB2Cの形で個人に合った酒類を推薦して配送していたが、現在はB2B酒類流通プラットフォームとして、サプライヤー(輸入社/メーカー)にはより効率的な営業と商品管理サービスを提供し、店舗には消費者が望むより幅広い商品を探索して発注できるサービスを提供している。
Veluga Breweryキム・サンミン 代表/Veluga Brewery提供
Velugaは、閉鎖的で非効率的な酒類卸売市場と流通構造への理解から出発した。
韓国では「酒類の通信販売に関する命令委任告示」に基づき、一般的に最も消費量が多いビール、焼酎、ワイン、ウイスキーなどの酒類はオンライン販売ができない。畜産あるいは農水産物市場において、小規模事業主のための流通段階の革新を通じて既存の卸売価格に比べて20~30%安く販売するスタートアップは多数存在するが、酒類は完全に不可能である。さらに、一般小売店で販売されるような酒類は、総合酒類卸売業者免許(卸売免許)を持っているところしか扱えないため、小売店には主に取引する卸売業者を通じてのみ酒類が供給される形となる。
一方、消費者の酒類消費は急激に多様化した。代表的なものとして、輸入酒類は毎年20%以上成長しており、2020年の11億ドル規模からコロナ禍にもかかわらず2022年には16億ドル規模に成長した。特に様々な種類が消費されるワインとウイスキーは、2年前に比べて2倍ほど成長するという急成長を遂げた。小売業の立場からすると、多様化する顧客の需要に応じて、独自の競争力を確保するために新しい酒類を販売したくても、取引している卸売業者がそれを保有していなければ、納品してもらうことができず、対応できないのだ。一般的な酒類であるビール、焼酎の場合も、トレンドは急変しているが、それに追いつけず、消費者に選んでもらえない状況だった。
小売業者だけの問題ではなく、サプライヤーも変化に直面していた。サプライヤー側も2020年から酒類に対するリベート双罰制が施行され、従来活用されていた唯一の営業手段がなくなったと言っても過言ではない。主にコールドコールと対面方式で営業をしてきたところから、金銭/消耗品支給というリベート手段が禁止され、新しい方法で営業しなければならないという重要な課題に直面したのだ。
/Veluga Brewery提供
Velugaはデータを提供し、新しい流通形態を提供しようとしていた。
従来は勘に頼っていたり、不完全な情報によって行われていた意思決定から脱却し、高解像度のデータの提供をスタートした。最近発売され始めた新しい種類の酒から、現在多くの消費者の注目を集めて供給量が急増している製品など、小売店では自分の店舗で新しい種類の酒をローンチする際、単に卸売業者の営業ではなく、データに基づいた意思決定ができるようになった。
また、サプライヤー側も新製品の営業のためにオフライン店舗を回って一つ一つ営業しなければならなかったが、少数の店舗に集中的に営業を行い、これを基にトレンドデータを示し、従来の中小企業では難しかった新製品のローンチを成功させた。小売店とサプライヤーの両方が従来の意思決定や営業方式から脱却し、新たな革新をしなければならない変曲点で、それぞれの不便な点をVelugaが解決し、急速な成長を遂げ、現在は全国1万以上の店舗と、300以上のサプライヤー、400以上の卸売業者がVelugaを使用している。すべての営業活動がオフライン中心で行われ、データが不足していた酒類市場のデジタル変革をリードし、市場での存在感をますます大きくしていっている。
Velugaは他の人が行かない茨の道を黙々と歩むユニークなチームである。
リリースしたサービスが規制によって挫折し、スタッフに給料すら払えないという絶体絶命の状況でも1人の人材も離脱することなく乗り切った経験から、並外れた粘り強さと組織力を備えており、市場参加者(小・卸売業者/サプライヤー)の問題解決のために、従来には存在しなかった新しい形のサービスを企画・運営しながら試行錯誤を繰り返している。最近ではHL Holdings(HLホールディングス)と提携して酒類フルフィルメントサービス「TIDES」(Temperature-controlled Integrated Digitalized and End-to-end Supply-chain, TIDES)のリリースも行い、酒類流通のデジタル化のサポートを始めた。
Velugaの小さな努力が積み重なり、酒類流通及び物流の市場効率化が実現すれば、結果として消費者はより幅広い選択肢を持ち、好みに合った酒類をリーズナブルな価格で楽しむことができる健康的な酒類消費文化の土台となることが期待される。
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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