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【QuTopeのチョン・ドヨン】3億ウォンの水を作るスタートアップ...量子の世界に登場した同位元素

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【QuTopeのチョン・ドヨン】3億ウォンの水を作るスタートアップ...量子の世界に登場した同位元素

ちょい事情通の記者 第1号ソン・ホチョル

世界で最も尖ったスタートアップを見つけました。スタートアップQuTope(キュートープ)がなぜ尖っているのかを理解するには、この写真が先です。水です。何円でしょうか。「酸素-17」で作られた500mlのミネラルウォーター1本は、現在約3億ウォン(約3,100万円)だそうです。

日常生活で、よく見る一般的な水と同じように飲むことができます。私たちが住んでいる世界では、ミネラルウォーターと同じ水です。それなのに、高価な理由は量子の世界においては「違う水」だからです。同位元素が異なる水です。そうした高価な水を作っている会社がまさにQuTopeです。 


 


同位元素(isotope)とは何でしょう?

人間の目で物質を見る際、物性は原子核に陽子が何個あるかによって異なります。原子の陽子数が基準となります。

原子核に陽子が1つの物質、それは水素(H)です。原子番号1番です。原子核に陽子が8個の物質は酸素(O、原子番号8番)です。人間にとって水素はすべて同じ水素であり、酸素も同じ酸素であり、そのような水素2個と酸素1個が出会ったのが水(H2O)です。

ところが原子核には陽子ではなく中性子もあり、同じ水素や酸素でも数が異なる場合が稀にあります。もちろん、人間の観察力では、中性子数の変化は物性の変化に何の影響も及ぼしませんでした。人間の目には同じ物質です。

ただし、中性子数が異なるため、質量が違いました。同位元素の定義は「原子番号は同じだが、質量は異なる元素」です。原子の質量は陽子と中性子の和であるためです。1901年イギリスの化学者F. ソディが名づけました。

例えば酸素は原子番号8番なので、陽子数は8個です。酸素-16は陽子8個と中性子8個です。酸素-17は陽子8個と中性子9個、酸素-18は陽子8個と中性子10個です。

理解されたでしょうか?「Oxygen-17 Water」はこの水(H2O)を構成する酸素が、中性子が9個の酸素-17なのです。自然界に存在する酸素はほとんどが酸素-16であり、ごく少数が酸素-17と酸素-18です。QuTopeは自然界で混ざっている酸素-16と酸素-17、酸素-18を分類する技術を持っています。

3億ウォンの水を作る、2022年の鳳伊 キム・ソンダルです。希少同位元素は半導体、ディスプレイ、新薬など活用先がますます広がっていっています。なぜ酸素-17の水は高価なのでしょうか?一体どこに使われるのでしょうか?なぜ量子の世界に入るほど、同位元素の価値は高くなるのでしょうか。

創業してから1年しか経っていないQuTopeが、このような難しい分野に盛んに進入できたのでしょうか。64年生まれのチョン・ドヨンQuTope創業家の物語です。彼は1988年から2021年まで韓国原子力研究院に勤務していました。2022年10月1日、ソウルにいるチョン創業家に東京のちょい事情通の記者1号がzoomでお会いしました。   


QuTopeが活用する特許登録リスト/QuTope提供  


韓国原子力研究院で30年余り勤務した、彼の創業は同位元素 

-QuTopeは同位元素のスタートアップです。同位元素とは何ですか?

「研究員生活を30年以上経験しました。政府出捐硏究機関で課題責任者も20年ほど勤めました。QuTopeという会社名は、量子という意味のquantum(クォンタム)と同位元素という意味のisotope(アイソトープ)から取りました。レーザー技術で同位元素を生産するスタートアップという意味です。

同位元素について、ご存じないですよね。飲料水は水素と酸素で構成されています。水を硬水、重水、このように呼びますが、水の中に他の水素が入ったもののことを言います。水中の水素が陽子のみで構成されているのが軽水であり、陽子1つと中性子1つで構成されたものが重水です。

重水は原子力の話をする際にはよく登場します。酸素には同位元素が3種類あります。水の中には酸素-16、酸素-17、酸素-18があります。同じ水でも、水素と酸素の同位元素によって様々な種類の水が存在するのです」


-ちょっと待ってください。軽水?重水?軽い水と重い水?同じ水素でも質量が違う?

「そうです。原子核に中性子がいくつあるのか、それが同位元素を表します。同じ原子番号ですが、中性子数が違うのです。軽水は原子核に陽子のみがあり、中性子がありません。中数は原子核に陽子が1つあり、中性子が1つあります。中性子が1つ多いため、それだけ質量が重くなります」


-同じ酸素ですが、同位元素で見ると酸素-16、17、18と違うというのは、やはり中性子の数字ですか?

「酸素は16、17、18のみです。この3種類しかありません。計算法と言いましょうか、なぜ16なのか、これは質量数です。なぜなら、16には陽子が8個、中性子が8個です。酸素は原子番号8番で、基本的に陽子が8個ですよね。

ところが中性子がより多い酸素が存在するのです。酸素-17には陽子8個と中性子9個、酸素-18には陽子8個と中性子10個。これを安定同位元素といいます。いわば安定的な同位元素ということです。安定的であるため、原子核が崩壊しません。10万年、100万年が経っても変わりません


-安定している?では、安定していない同位元素も存在するのですか?

「レディエーション、だからよく言われる放射性同位元素のような場合は安定していません。原子核が崩壊しながら高いエネルギーを放出するのです。 これが人体に影響を与えます。  


インタビューをして1週間程が過ぎた頃、QuTopeのチョン・ドヨン代表がKakaoTalk(カカオトーク)でメッセージを送ってきた。 「ソン記者、昨日フランスに本社がある企業から約20億ウォン(約2.1億円)相当の供給見積依頼が来ました。海外からの初の供給依頼です」という内容だった。創業してから12ヶ月でのことだった/QuTope提供 


SAMSUNG 3ナノ半導体ラインには量子現象が発生

-放射性物質のことを言われているのでしょうか?福島原発に汚染水問題がありますが、そこでは三重水素という言葉が出ます。さっき水素は軽水と重水だけだとお話されていましたよね。では軽水と重水は安定同位元素で、三重水素は不安定?

「そうです。三重水素が入っている水ですね。水素が安定するのは、陽子1個につき、中性子がないか(軽水素)、1個あるか(重水素)です。三重水素は中性子が2つあります。

不安定同位元素であるため、崩壊するのです。12、3年で崩壊します。半減期が12、3年です。この程度の時間があれば、それ以上耐えられなくて崩壊するという意味です。

崩壊すると物質が変わるため、その時エネルギーが出ます。言い換えればメッツが変わる中で、とてつもないエネルギーが生まれるのです。高エネルギーベータ粒子を出して生命体に害を与えます。核分裂であれ核融合であれ、膨大なエネルギーと関連します」


-三重水素は有害な物質ですか?

「そうです。しかし、重水までは安定同位体であり、崩壊しない、1つのセッティングされた物質です。これから話すのは、安定同位元素のお話です。安定していますが、中性子数の差だけがあるのです。

同位元素は一般的に違いはありません。例えば、ある化学作用が起こる際、同位元素の間ではほとんど差はありません。ところが近頃、量子技術の話が多くありますよね。

量子コンピュータ、量子センサ、こうしたものは、とても微細な世界に入っていくんです。そこでは同位元素が差を生みます。素材や、物理的な現象、そうしたことに大きな違いを生み出します」


-日常生活では同位元素間に何の違いもないので気にする必要はなかったのが、より微細な量子の世界に入ったら同じ物質でも同位元素が違うと他の物質のように異なる特性を持つ?

量子コンピュータ、量子センサーはすでに出始めています。量子コンピュータは、5年後には実際に活用されるようになると予想します。量子世界では同位元素は全く違う素材です。 

半導体やディスプレイ産業でもすでに多く使われています。例えば、SAMSUNG(サムスン電子)の半導体ラインでは重水素を多く使っています。ナノ単位で微細になっていくにつれて、どんどんと使われることが多くなります。半導体は線幅が3ナノまで微細になるのですが、そのレベルになると量子現象がその中に現れるのです。

量子現象が現れており、半導体側では量子現象を減らすための努力をしています。とにかく、このような微細な世界に入ると、同位元素は全く違う素材だということです。

昨年、LG電子がOLEDディスプレイに重水置換OLEDを使用するという話が出ました。重水素で置換した化合物を使うと、より明るくなるという話です。輝度が30%ほど良くなるそうです。

なぜなら、ある物質と水素を結合する時に重水素を使うと結合力がより強くなるのです。OLED寿命を30%延長したり、明るさを30%良くする効果があります。以前はただ水素して結合して終わりだったのが、現在では重水素を使った方が結合率が30%強いという有意な結果を得たのです。」



がん診断時に体に入れる注射液は実は同位元素...酸素-18

-高純度同位元素素材を使う箇所が多くなったのですよね?新薬にも重水素が活用されるのでしょうか?

「重水素の結合力がより強いとお話しましたよね。薬のような場合を一度考えてみてください。薬は毎朝、毎夕に飲んだり、毎日飲んだりもします。もし薬を飲んだ際に持続力が一定であれば、月に一度の服用だけでよくなりますよね。現在、そのような新薬が出始めました」


-水素ではなく酸素の同位元素は使い途はどうでしょうか?

「病院でがんを診断する際にPET-CTを撮りますよね。健康診断時に撮る場合もありますし。PET-CT撮影時に注射液を体に入れますが、この注射液を作る原料が酸素-18です。

同位元素が新素材のように、どんどん領域を広げていっています。酸素-18を使えば、より良くなるということが研究されて使われ、半導体も活用方法を発見したのです。原理も発見されました。今も誰かが同位元素を用いて実験をしているでしょう。

炭素もそうです。ダイヤモンドは炭素だけで構成されていますよね。新素材である「グラフェン」も炭素のみで構成されています。カーボンナノチューブの話もたくさんあります。元素番号6番の炭素には、炭素-12と炭素-13があります。2種類しかありません。自然界の炭素のうち99%は炭素-12です。炭素-13は1%です。ところが、この1%で違ってきます。

1990年代末にGeneral Electric(ゼネラルエレクトロニック)が発見したのですが、ダイヤモンドは自然界で熱伝導度が一番良い物質です。ところが1%混じっている炭素-13を除去してすべて炭素-12に、つまり炭素-12の純度を高めると熱伝導度がより良くなったというのです。ほぼ2倍に。

とても新しい現象でしたが、最近はこのように1%を除去して量子コンピュータや量子センサー方面で使われています。ダイヤモンド製の量子センサーです。

たとえばGPSです。海に潜るとGPSが使えません。地中でも使えません。水の中や地中で使えるナビゲーションはないだろうか?それで考えられたのが地球磁場です。地球の磁場は指紋と同じです。特定の位置ごとに値が異なります。

もしこのような情報を全て集め、地点ごとにその磁場を測定できれば、地中、海中ナビゲーターにすることができます。この時、地球磁場の強度を正確に測定するセンサーが必要でしょう。それが量子センサーです。これから先、新しい概念の機械が出て来続けるでしょう。

もちろん、誰かが高純度の炭素-12を提供する必要があります。自然界では炭素-12が99%ですが、必要なのは『99.99%』です」


-同位元素を必要とする新しい市場が開かれるということですね。

「問題は、同位元素をどのように簡単に分離し、生産するかということです。QuTopeは酸素、水素、炭素で同位体を分類します。同位体を分類するのは簡単なことではありません」  


なぜ酸素-17水が高価なのか、膨大な設備で数万回気化-凝縮繰り返し

-一般物質の世界では同位元素が違っても、すべて同じ酸素、水素、炭素ですからね。どのように分けるでしょうか?

「一般物質を分離することは難しくありませんでした。物性が違いますからね。原油は燃やしてその質量に従って、抜きだします。過去の同位体分離は微細な質量差を利用しました。水素や酸素も同じです。

水をそのまま置いておくと、少し蒸発するじゃないですか。温度を加えると蒸発が多くなり、温度が低いと蒸発が少なくなります。蒸発させたものを再び凝縮させ、再び蒸発させます。

この時気化率が酸素-16、酸素-18が入っている程度によって、微細に変わってきます。どのくらいの違いがあるかというと、0.1%程度?1000分の1程度?酸素-16の方が軽いのです。数万回繰り返すと、同位元素別に分けることができます。当然、分離装置がとても大きくなります。

酸素を分離するときは水を使用し、炭素を分離するときは一酸化炭素を使います」


-同位元素は世界最高水準の技術が必要ですが、創業1年のQuTope開発チームが可能な理由は?

*チョン・ドヨン代表は「オフザレコード」を要求しました。説明を聞くと、理解できる部分であったため、オフザレコードを受けいれました。結論はこうです。同位元素技術は本来原子力(ウラン)と関連しているので、核開発とも関連しています。1つ明確なのは、チョン代表は研究者の人生のほとんどを同位元素研究に捧げたということです。 


-分離装置を整えるのに膨大な資本が必要なんですね。QuTopeはそのお金を確保しましたか?

「石油化学のような装置に類似するほど、とてつもない規模となる同位体分離装置は、お金さえあれば設置できます。それだけ同位元素物質も高価にならざるを得ません。

しかし、QuTopeは別の方法を用いています。レーザーを使うのです。レーザーにおいて、波長が短いものは、光のエネルギーが多いんです。

波長が長いものは、光のエネルギーが小さいのです。例えば赤外線は暖かさは感じますが、肌は日焼けしませんよね。しかし、紫外線では日焼けするじゃないですか。エネルギーが大きいためです。波長が短いのです。

レーザーはこうして自身のエネルギーを簡単に変えます。それで同位元素を区分することもできるのです。例えば、H20水を気化させると、レーザー波長がこれが酸素-16なのか17なのか18なのかを区別します。原理としては、酸素-16と17、18で吸収する波長が異なっているためです」 


韓国は酸素同位体はすべて日本と中国から輸入

-レーザー波長は短かったり長かったりし、同位元素によって吸収する波長が違う?酸素-16、17、18が微細に他の波長を吸収するという意味でしょうか?

「そうです。レーザーはそれを区別できます。より強い紫外線を撃ち込むのです。私たちは同位元素の生産にホルムアルデヒドを使います。これは炭素、酸素、水素で構成されています。すごく簡単な化合物ですが、紫外線の光を受けると一酸化炭素と水素になります。分かれるのです。

COとH2に分けられます。レーザーで、ホルムアルデイド内の酸素が酸素-16か酸素-17、酸素-18かを区別できます。水素は軽水素なのか重水素なのか、炭素が炭素-12なのか、炭素-13なのかを、すべて区別するのです。

ホルムアルデヒドにどんな同位元素の酸素があるのかを波長で確認した後にレーザーを撃つと一酸化炭素と水素に分かれます。酸素-18を取得したい場合は、酸素-18に合った波長で分かれさせます。そうすると、酸素-18が入っているホルムアルデイドだけが一酸化炭素と水素に分けられます。

この一酸化炭素に含まれる酸素は酸素-18です。この一酸化炭素から炭素と酸素を分離するのは、物性に応じて行えばよいので簡単です」


-画期的ですね。他の国々もレーザーを活用した同位元素分離を行っているのでしょうか?

「アメリカ、日本、ロシアで多く研究されています。しかし、彼らの技術が商品化まで来ているのかはわかりません」


- 同位元素の価格はどうでしょう?具体的な時価で教えてください。

「酸素-18は水の状態で売ります。酸素-18の500ml水は5,000万ウォン(約500万円)程度です。すべて酸素-18の水という前提です。酸素-17の水は3億ウォン(約3,100万円)です。500mlでマイバッハ1台の価格です。自然界に存在する酸素のうち、酸素-17は0.04%、酸素-18は0.2%です。」


-レーザー分離技術を商用化すれば大金を稼げるのですね?

「大金を稼ぐために創業したわけではありませんが。創業は私たちが開発した技術が、本物の市場で通じることを見せたくて行いました。韓国で同位元素素材を生産する企業はQuTopeが初です。

すべてを輸入して使っています。韓国で使う酸素同位元素はほとんど日本と中国から輸入しています。水素は、ほとんど重水ですが、カナダ、アメリカから輸入します」


現在、同位元素市場は10億ドル…まもなく40億ドルに成長

-同位元素の世界市場規模はどのくらいですか?

過去10年ほどのデータを分析してみると、重水素は10億ドル(約1,500億円)、酸素-18は5億ドル(約750億円)少ないレベルです。炭素も2億~3億ドル(約300億円~約450億円)程です。今市場が成長していっています。重水は原子力でかなり多く使われるため、市場がかなり大きくなっている状態です。

QuTopeのターゲット市場は40億ドル(約6,000億円)だと言えます。 昨年と一昨年に量子センサー、量子コンピューターを開発する会社が多く生まれ、カーボンを使うスタートアップもかなり多く生まれました。主にヨーロッパとアメリカで登場しました。

ドイツにはアメリカのシリコンバレーのようにダイヤモンドバレーと名づけられた産業団地ができました。その団地にDiatope(ダイアトープ)という会社ができました。ダイヤモンドとアイソトープから名づけられています。

同社は炭素-12だけで構成されたものを使っています。当社はそのような会社に素材を、だから炭素-12が99.999%のものを作り、供給すればいいのです。半導体でいえば、当社はシリコンウェーハを供給する役割です。Diatopeのような会社がどれほど良い完成品を作るかは、そちらのスキルであり、QuTopeはシリコンウェーハをSAMSUNGにも送り、TSMCにも送るのです」


- もしや分離新技術は研究室レベルではないのでしょうか?ラボと生産ラインは異なる場合があります。

「酸素-17は来年発売します。 (写真を見せながら)これは酸素-17濃縮水です。私たちが生産した濃縮20%の製品です。濃度20%でも1g500ドル(約7.5万円)です。 (また他の写真を見せながら)これは酸素-18です。少量ですが、韓国内メーカーに納品しています。

生産設備を拡充した大量生産を準備しています。生産ラインのコストは、以前の方法と比較して3分の1以下です。酸素-18を1年に100kg生産する設備となると、過去工法では設備費が130億~150億ウォン(約13.5億円~約15.6億円)程度かかっていました。私たちは30億ウォン(約3.1億円)ほどです。


-お金を注ぎ込んでラインを作ればすぐに市場を手に入れられるのですか?価格競争力は桁違いですよね?

「現在はそうだと言えます。しかし、できるだけ保守的にアプローチしています。生産に関しては技術的な未成熟もあります。オートメーションのような課題はまだ進んでいません。創業してからちょうど1年になりました。昨年10月1日に設立しました。

1年間は新規生産設備のプロトタイプに投資しました。無人運転も可能なプロトタイプです。大きな収穫です。自動化も十分可能だと判断しました」


- もう完成しているのではないのですか?今進んでいるところ?足りない部分がまだ残っているのでしょうか?

「技術的にはほぼ8合目を超えました。ただ私はサイエンティスト出身なため、マーケティングの方は弱いです。来年はマーケティングを強化しようと計画しています。素材産業なので品質クオリティにさえ満足すれば、次は価格競争です。

ただし、QuTopeはあまりにも出来たばかりのスタートアップであるため、認知度の低さを乗り越えなければなりません。例えば、納品契約をする際、需要者側としては円滑な供給がされるのか疑念を抱くこともあるでしょう」


- 売上目標や販売量目標はどの程度でしょうか?

「2031年の創業10年になる時点で、売上目標を1100億ウォン(約114.5億円)としています。」


-思ったより小さい数値ではありませんか?

「より大きな売上を上げるには投資を多く受けなければなりません。投資を多く受けるには、また成果を見せなければなりません。そんな段階を1つずつ乗り越えていくつもりです」


64年生まれの30年目の研究員はなぜ創業したのか…30年の研究実績の実現化を自らで行う

-64年生まれです。創業するには遅い年齢ですが、それにもかかわらず行われました。

「10年前の2012年に、研究小企業というのを作りました。研究所が技術を出資し、民間で資本を出して、企業を設立するのです。いざやってみると簡単ではないことがわかりました。政府出捐硏究機関の技術を第三者に移転し、リアライズ(実現)するのは本当に難しいんだ、ということを感じました。

ほぼ10年間、技術的に大きな発展はありませんでした。ところが民間会社側から、会社側の理由で、これ以上できないと言われました。そういう話を2年前に聞いて、かなり悩みました。

第三者がその会社を買収しなければ、私が研究してきた同位元素は技術的にダメになるのです。1年ほど悩み、もしそうなれば自分の人生を無意味に感じそうで、私がやらなければならないと決心しました。

いざ自分でやってみたら上手くやれたと思います。まったく新しい技術であり、世界的にも新たな挑戦なため、第三者に技術を与えて実現するのは最初から不可能なことだったんだと骨身にしみて感じています」


-スタートアップであるQuTopeが用いる技術は結局は所有権は研究所ですか?

「主要特許をアメリカ、ドイツ、日本など主要5国にすべて出願しました。原子力研究院所属です。QuTopeは技術実施権を持ち、使用する権限を保有して事業を行っています。今後、続く特許は、QuTopeが出しますし、すでに準備しているものもあるので、大きな問題はありません」



【こぼれ話】 福島原発の汚染水専門家である彼に、科学者としての意見を聞いてみました。 

-全く別の質問なんですが、福島原発の汚染水の話が出たじゃないですか。私たちは汚染水、日本では処理水と呼びます。

(@日本は来年の春ごろ110トン以上の福島原発汚染水を海洋放出し始める予定です。東京電力は「放出する前に海水と希釈し、放射性物質である三重水素(トリチウム)の濃度を日本排出基準の40分の1以下、世界保健機構(WHO)の飲料水基準の7分の1以下とする。」という立場です。

安全だという話です。汚染水は2011年の原発事故時に溶けた核燃料を冷却する水であり、東京電力はこの水を多核種除去設備(ALPS)方式で処理して三重水素以外の放射性物質の大部分を除去したと主張します。現在、約131万トンの汚染水が原発敷地内の1,000基以上のタンクに保管されており、すべての汚染水を放流するのに数十年かかる見込みです。)

「観点の問題ですね。処理水と呼ぶ人は、自然に有害なものはすべて取り出したという意味を強調しており、汚染水という呼ぶのは、まだ残っているということを強調しています。ただし、三重水素の立場から見るとそれは処理水ではありません。 

(東京電力は)三重水素には手も付けていません。それをすべて放流するということですよね。しかし、三重水素以外のさらに有害なものは除去したという言い分は正しいです。」


-日本は「世界保健機関の飲料水基準に比べ、三重水素含有比率が7分の1以下だ。問題ない」と言っています。

「どうでしょう。国際基準には2つの放流基準があります。1つは濃度基準、もう1つは総量基準です。

濃度基準でいえば、正しいですね。大丈夫です。しかし、量が多すぎるのです。2つ目の国際基準は希釈を禁止しています。」


-日本は希釈するのですか?希釈して日本基準の40分の1に?

「だから一部は正しくて、一部は間違っているんです。福島原発事故が起こった後、2015年ごろ、東京電力が国際公募を行っています。最初は三重水素を除去して放出しようとしたんです。アメリカのある企業が参加し、当時100億ウォン(約10.4億円)程度をかけて実証設備を作りました。

アメリカ企業が最終提案したのは、汚染水120万トンから三重水素を除去するのに10億ドル(約1,500億円)か必要だ、という話だったと聞きました。10億ドル(約1,500億円)だったかは確認してみなければなりませんが、莫大な金額だったのは確かです。」


-莫大なお金をかければ三重水素もすべて除去することができるが、日本は別の道を選んだ?

「日本は費用を払えないのです。三重水素を除去しないという結論を下しました。三重水素を除去しない水、それが有害ではないと日本は主張しており、濃度の問題ではなく、その総量が多すぎて周辺国に影響を及ぼすというのがグリーンピース側がしている話です。」

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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