【01】カントリーマネージャーって何をしているの?| 韓国在住エミカの「ちょっとまじめな」韓国スタートアップの話
カントリーマネージャーって何をしているの?
皆さんお久しぶりです、韓国ITスタートアップで働くエミカです!(初めましての方、初めまして!)
2022年4月から6月にかけて連載していた「韓国在住エミカのスタートアップレポート」の連載が好評だったということで、この度、なんと第2段の連載を持たせていただくことになりました!
新しい連載も、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、連載第2弾初回のテーマは、「カントリーマネージャーって何をしているの?」というお話をできればなと思います。
私は今、Spoonという音声配信アプリを運営している韓国のITスタートアップでジャパンカントリーマネージャーというポジションで働いています。一言でカンマネと言っても会社によってその定義は様々だと思うので、「こんなパターンもあるんだな〜」と参考程度に読んでいただければ幸いです。
1.今、どんな仕事をしている?
一言で言えば、「日本サービスに関する全ての意思決定」でしょうか。
- 日本サービスのKPI管理
- 日本サービス目線での課題発見、問題提起
- 日本企業とのパートナーシップ
- 韓国本社と日本支社の橋渡し
- その他「日本」に関連するありとあらゆる仕事
Spoonの場合、カンマネの責任範囲は「国家別のサービスの成長」にあります。つまり私の場合は日本サービスの成長に責任があるということです。
ですので、韓国サービスの開発方針に対して日本サービス、引いては日本ユーザーの目線にたち、時には『NO』を強く主張する必要もあります。国ごとに文化も趣向も違う中で、日本ユーザーはどう思うか?を念頭に意思決定をすることを常に意識しています。
もちろんKPI達成は絶対ですが、ユーザーからの信頼なしにその実現は不可能だと考えていますので、バランスを大切にしています。
そして日本サービスの成長には、日本チームのメンバーの活躍が必要不可欠です。そのため、本社から物理的に離れている日本法人のメンバーたちが、会社への所属意識と信頼を常に感じイキイキと働くことできるよう、日韓を橋渡しすることも私の大事な役割です。
いわゆる『カンマネ』というポジションとしては珍しいであろうと思いますが、私は韓国本社で勤務をしています。本社の温度感をよりリアルに感じ、届けることができるのが強みでもあります。
代表を含む経営陣からの韓国語による発信を、温度感まで伝わるように日本語で解釈しメンバーたちに日々伝達しています。誤解のないよう、丁寧に繰り返していく地道な作業です。
また、定期的に実施するオンラインでの1オン1や、日本法人出張を通してキャッチした日本法人の要望や心配ポイントを本社にフィードバックし、理解・改善させていく事で物理的阻害感を取り除くことも行っています。
ある意味でカンマネは何でも屋です。「日本」とつく業務や質問が社内で湧いてくると、必ず私のところに飛んできます。
「自分の専門範囲はここまでなので、わかりません」と枠を決めるよりは、「やったことはないけど、いったんやってみます」の姿勢でトライできる人に向いていると思います。
2.カンマネに至るまでの経緯
私は最初からカンマネとしてジョインしたわけではなく、日本マーケティング担当として、しかも当初はなんとアルバイトから始まった(!)、稀有なパターンだったりします。
というのも日本でITの大企業でマーケターとして従事したのち、退職し韓国に留学中のタイミングで、現在の職場に出会ったためです。正社員でのジョインを会社側はオファーしてくれましたが、学校生活をすぐに辞めることはできなかったので、数ヶ月間は午前は学生、午後は仕事という二重生活を送っていました。
その後無事に日本人社員第一号として正式にジョイン。
日本マーケティング担当として、2名で日本サービス立ち上げを行いました。肩書きはマーケ担当でしたが正直なところ、「日本なんでも担当」でした。
広告運用、SNS運用、イベント企画などいわゆるマーケっぽいところから、ローカライズ業務(翻訳、日本の法律に則った対応提案など)、CS対応、などなど全てを担当していたので。
その後、私がしっかりとマネジメントの業務に立っていくことになったきっかけは、採用でした。
サービスが想定を上回るスピードで急成長し、デザイナー、マーケターなど複数のポジションの採用が必要な規模になりました。そのタイミングで会社からジャパンマーケティングマネージャーの打診があり、マネジメントのポジションにつくこととなりました。『実務<意思決定』に業務の割合が変化したのがこのタイミングです。
ただその後も、マーケティングマネージャーとは名ばかりで、日本法人立ち上げのための準備、法律対応、商談など引き続き日本に関する様々な業務を行っていきました。駆け出しのスタートアップなんてそんなもん、むしろ色々な経験ができてラッキーだと思いながら働いていたことを覚えています。
私がよく社内で言われるのは「エミカはユーザー目線の塊」です。
会社にしか利益がない企画には徹底的に反対するので、そう呼ばれているんだと思います。日本マーケティングの責任者ではありましたが、日々「日本ユーザーの目線をもった何でも屋」としていろんなことに首を突っ込み、実質日本サービスの責任者のようになっていたタイミングで、組織変更があり、ジャパンカントリーマネージャーというポジションにつくことになりました。
アルバイト➡️日本チームメンバー➡️ジャパンマーケティングマネージャー➡️ジャパンカントリーマネージャーと、数年の間に肩書きが何度も変わりましたが、一貫して「日本何でも屋」として働いており、大きな変化はマネジメントの有無だけかもしれません。
社内で唯一の日本人メンバーだったアルバイトの頃から、韓国が本社という環境の中で、ここだけは譲れない!という「日本らしさ」をどう理解してもらうかという当事者意識で働いていたからかもしれません。「文化の違いを言語化し、理解してもらうために泥臭い努力を重ねる」、当時でこそ無意識でしたがカンマネの根幹なのだと思います。
3.今後の展望
もっともっと日本サービスの存在感を社内外でアピールしていきたいと思っています。そのために今までやってきたことの根本を極めたいなと。原点回帰という感じでしょうか。
日本チームが日本サービスの成長に向けて全力疾走で働ける環境を作ること、そのために少しでも障害を取り除くことが私の責務です。そして結果を出しグローバルで存在感を出し続けたいです。それは結果として日本ユーザーもハッピーになる意思決定に繋がると信じているので!
どこまでも泥臭くこれからも奔走したいと思います!
韓国本社にいながら日本サービスのカンマネをするという、あまりない事例でしたが、いかがでしたでしょうか?何か少しでも参考になれば幸いです。
エミカの最新!韓国トピック
最近、梨泰院、ホンデ、カンナムのようないわゆるメジャーなスポットではなく、ちょっとだけディープなエリアにあるカフェにいくのにハマっています。
先日は、문래동(ムンレドン)に行ってきました。昔は鉄工所などが集まっていた町工場エリアだったそうなのですが、リノベーションされて、今はレトロとおしゃれが入り乱れたスポットになっているんです。
工場だった建物をリノベーションしたカフェや、アトリエ、雑貨屋さんなどが集まっているので、観光地とちょっと違う韓国を感じたい方におすすめです。
今回はVERDE COFFEEというカフェへ。
外観から想像するより店内はずっと広くて、ゆったりまったりと過ごすことができました。
(混雑しているカフェって、待っている人の視線が凄くて、食べ終わるとでなきゃいけないプレッシャーがすごくないですか?私だけ?w)
チーズケーキ、とっても美味しかったです。軽食だけでなく食事もできるので、ガッツリ食べたい人にもおすすめです!是非行ってみてくださいね。
▼お店のインスタはこちら
https://www.instagram.com/verde__coffee/
それではまた次の記事でお会いしましょう!
川村絵美香(かわむら・えみか)‐Spoon Radio ジャパンカントリーマネージャー
<SNS・ブログ>
Twitter:https://twitter.com/by_emika
ブログ:https://monika-kj.hatenablog.com/
韓国のIT事情や、韓国で働く生活を紹介するブログを運営しています。
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早稲田大学社会科学部卒業。2014年ヤフー株式会社に新卒で入社。アプリ運営や新規事業の立ち上げに携わった後、留学のため渡韓。渡韓中の2018年にSpoon Radio Inc.に日本人第一号社員として入社。Spoon日本サービスの立ち上げから携わり、現在はSpoon Radio ジャパンカントリーマネージャーを務める。
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