「将来のユニコーンを先取り」 KAIST・ソウル大"起業戦争"
「将来のユニコーンを先取り」KAIST・ソウル大 起業戦争
- 学生街「スタートアップタウン」に変身
- コンテストを開き、将来性のあるチームを選抜
- KAIST*が育てたCLASSUM(クラッサム)に米から投資
- ソウル大はグローバルを狙い62チーム発掘
- 高麗大・漢陽大学も初期から主導
「このプログラムを使うと、なぜこんなにたくさんの学生が質問をするんだ?300個目だ。チェリン。これはビジネスになるぞ」
CLASSUMのイ・チェリン共同代表は、KAISTの電算学部2年の時、学生と教授のコミュニケーションを支援するオンラインプラットフォームを開発した。しかし、自らは「失敗作」だと思い事業化する考えすらなかった。
彼女をスタートアップの代表にしたのは、当時の恩師であるキム・ドンジュン教授の一言だった。キム教授がこのプログラムを講義に取り入れ、事業性を検証し、挑戦するよう勧めたのだ。
イ代表は「大学が支援する起業支援金の金額は大して重要ではない」とし「重要なのは没入できる環境なのか、没入の方向性を点検できるのかにある」と話した。
*KAIST:韓国科学技術院。研究を主体とする国立特殊大学。
学生街の起業競争に火がつく
青年起業が急増し、大学が将来有望なスタートアップの育成基地として浮上している。大学ごとに入居企業コンテストを開いて、将来性のあるスタートアップ企業を選抜する。ユニコーン予備軍の企業を先取りするための競争も激しい。最近、その先頭に立っているのはKAISTとソウル大だ。
KAIST創業院は2014年以降、113件の学生起業と35件の教員起業を支援した。創業院内の「スタートアップビレッジ」には寮と事務スペースがある。退学生はもちろん、他の学校に通うチームメンバーも使用可能だ。イ代表は「事務室で一晩中コーディングした後、明け方に寮へと帰った」とし「約2年間、起業に没頭できる物理的空間として完璧だった」と説明した。
先月からCLASSUMサービスは、KAISTすべての授業で使用されている。CLASSUMでZoomのオンライン講義を聞きながらディスカッション、質問、返答を書き込むことができる。
CLASSUMは米国のStorm Ventures(ストームベンチャーズ)などから74億ウォン(約7.4億円)の投資を誘致し、ユニコーン予備軍として期待を集めている。
各種特典による大学の先取り競争
生産自動化ロボットのスタートアップ企業、Aniai(エニアイ)のファン・ゴンピル代表は、KAISTの博士出身でソウル大キャンパスタウンに入居したケースだ。ファン代表は「ソウルという立地的理由が大きかった」と説明した。
2020年9月の入居初期、Aniaiのスペースは3席の座席に過ぎなかったが、その後6ヶ月ごとに行われた評価では常に1位を獲得し、今年初めには座席が12席に増えた。また、ソウル大での合同企業説明会を通じて、求人難を解決した。
財務・法務・労務コンサルティングも無償で受けた。AniaiはBluepoint partners(ブルーポイント・パートナーズ)からシード(初期)投資を受けており、今年6月にプレシリーズAラウンドの資金調達を行う予定だ。
ソウル大キャンパスタウンは2020年設立以来、62社のスタートアップ企業を発掘した。EMOCOG(エモコグ)、韓国シニア研究所、Petnow(ペットナウ)、LARTBIO(ラートバイオ)などの有望スタートアップ企業が相次いだ。最初から、グローバル市場を狙った技術系のスタートアップ企業を選抜した事が功を奏したとの説明だ。
VCもユニコーン予備軍に注目
大学が起業家育成に本格的に乗り出したのは1999年、高麗大学が中小企業庁指定創業保育センターを発足してからだ。その他の大学は2010年前後からになる。漢陽大学がこの頃からスタートアップの育成を主導しながら注目された。2009年に設立された漢陽大学創業支援団は、在学生、卒業生、教授、一般人を対象に、これまで582のスタートアップを発掘および育成した。
ソウル市が大学、自治区とともに進める「ソウルキャンパスタウン事業」も大学の起業を支援している。2017年から32か所のキャンパスタウンでスタートアップを育てており、累計起業件数は今年1500件に達する見通しだ。
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