【現地レポ@東京】韓国スタートアップ10社の熱いピッチ!(1/2)
JAPAN BOOT CAMP3日目! スタートアップのデモデー
16日、韓国のスタートアップ支援をするNPO団体Startup Alliance主催の日本進出支援イベント、JAPAN BOOT CAMP3日目を取材してきました!
JAPAN BOOT CAMPは、韓国スタートアップの日本進出を支援するプログラムで、毎年日本進出を目指す韓国の有望なスタートアップ10社が日本を訪れ、日本現地のスタートアップエコシステムと交流をしています。
このイベントは3日間にわたり行われ、初日はセミナー、2日目はPlug and Play Japan、LINEヤフー、Z Venture Capital(ZVC)、アマゾンウェブサービスジャパン(AWS Japan)、Global Brain、WeWork Japanなど日本のIT企業やベンチャーキャピタルを訪問し韓国スタートアップの事業モデルとビジョンを紹介しました。
3日目は東京・渋谷に位置するShibuya Open Innovation Lab (SOIL)で、「韓国スタートアップ10社のピッチ及びネットワーキングイベント<K-Startup Open Demoday>」が開催され、アクセラレーターを始め、KDDIなど日本の主要な大企業のVC/CVCなど、約70人にも及ぶ日本のスタートアップ生態系関係者が参加しました。
前回のセミナーに続き、今回はこのデモデーの様子をお届けいたします!
1日目のセミナーレポ記事はこちら!👇
その内容を踏まえて今回は「<K-Startup Open Demoday>での10参加社の内、前半5社のピッチ」や「審査員の審査評価」についてもう少しお話したいと思います。
Startup Allianceとは?
韓国のスタートアップ・エコシステムの活性化を目的として2014年に設立されたNPO。起業家のためのネットワーキング・プログラムの実施や、グローバルなコミュニケーション・プラットフォームの提供、スタートアップに必要なリサーチ活動など、スタートアップ全体の円滑なエコシステム形成のために様々な事業を行っています。
JAPANBOOTCAMPとは?
韓国の有望なスタートアップを日本市場に紹介するグローバルアウトバウンドプログラム。JAPAN BOOT CAMPを通じて韓国スタートアップは日本市場を理解し、日本市場へ進出する機会を模索することができます。 また、日本のベンチャーキャピタル、アクセラレーター、大企業など、現地のビジネスネットワーク構築のためのサポートも進行。これまでJAPAN BOOT CAMPに参加した韓国のスタートアップの中には、Hyperconnect、Watcha、ZIGZAG(現Kakao Style)、カンナムオンニなどがあります。
プログラム内容は、JAPAN BOOT CAMP参加の韓国スタートアップ10社によるピッチ、審査員による10社に対する審査評価、ネットワーキングタイムです。今回のデモデーでは、4人の審査員が参加しました。
- Sangwook Lim (Xenon Partners)
- 海老原 秀幸 (PKSHA Capital)
- 渡辺 大和 (DG Daiwa Ventures)
- C.Roy Yang (MUFG / Innovation Partners)
韓国スタートアップ10社によるピッチ
今回2023のJAPAN BOOT CAMPに参加した10社は、4名の審査員を始め参加した日本企業及び、投資家から日本で大きく注目される興味深い事業内容と技術を持っているという全体的な評価を受けていました。今年で10回目のJAPANBOOTCAMPでは韓国スタートアップの魅力をさらに感じることができました。
01 KAFLIX
KAFLIXは、レンタカー専用予約管理システムをSaaSで提供するバーティカル・プラットフォームスタートアップです。
KAFLIXは、世界中のレンタカー業界が直面している課題をDX化によって解決し、人手不足の問題を克服し、コスト削減を実現するだけでなく、AIを活用して技術的な革新をもたらしています。「ホテルや飛行機を予約するときはユーザーがリアルタイムで座席や部屋のタイプを指定できるのに、なぜレンタカーはできないのだろうか?」 という疑問から、リアルタイム予約が可能なSaaS基盤のcloud ERPシステムを開発し提供しています。ユーザーは車両タイプの他、色や具体的な車種など詳細なポイントまで選択できるようになりました。さらに、レンタカー事業者にとってもKAFLIXのcloud ERPシステムを使うことで、顧客対応や管理業務などをワンクリックで行うことができるメリットがあります。KAFLIXは今回、沖縄で法人を設立し、ローカライズを成功させています。沖縄のみならず、現在は東京・福岡への進出を進めているとのことです。
▶ 審査員たちからのQ&A
1)顧客の離脱に対してどう対応しているか?
私たちはB2Bでサービスを展開しており、現状離脱はありません。また、離脱を防ぐよりは市場のパイをどれだけ確保できるかということに注力しています。
2)既に日本進出を成功させていますが、韓国から日本進出の際に壁になっているものは?
障壁というよりは「乗り越えるべきこと」として捉えていますが、日本で20年以上使われてきたものには利害関係も存在しているので変化させるということは容易なことではないです。しかし、現在は日本でもDX化を積極的に進めていて日本社会も必要性を感じているため事業がしやすい時期だと思います。
KAFLIXのインタビュー記事はこちら!👇
02 NAUTILUS
NAUTILUSは、自己啓発のための教育・教養特価型縦読み漫画プラットフォームスタートアップです。
NAUTILUSは検証された知識メディア、知識学習マンガを提供する 「イマンべ(이만배)」 ("이걸? 만화로 배워!?", これを?漫画で習う⁉の意)を提供しています。
NAUTILUSはレジンエンターテインメントを創業した初期メンバーで構成されており、日本チームは日本のアマゾンのマンガ部門1、2位を記録した作家を保有。2022年8月15日にリリース後、広告なしで毎月35%以上の売上/会員数の増加率を記録しています。
「イマンべ」はビジネスモデルが独特で印象深いです。既存のピッコマで有名な「待てば¥0」とは異なり、問題を解けば次回の漫画が無料で見ることができる「解けば¥0」というビジネスモデルの特許を出願しています。読者が解くクイズは、漫画の内容をもとにAIが作り出しています。 また、各漫画のコメントにもAIが自動で答えてくれたり、ベストコメントを選定するなどAI技術をうまく活用しています。
NAUTILUSは現在東南アジア、特にベトナム進出を計画しており、独自のキャラクターを使用し毎週オリジナルコンテンツを提供しています。
▶ 審査員たちからのQ&A
-コンテンツ制作の方法は?
コンテンツの制作方法は全部で3つあります。 1つ目は、これまでに契約をしたことのある信頼度のある作家さんとのコンテンツ制作です。実績もあり、コンテンツの有効性を検証できます。 2つ目は、有名なベストセラー作家さんと契約をし会社主導で作ることですが、これは原作の認知度に基づいて制作する方法です。 3つ目は、自社制作です。リスクが大きい方法でもありますが、人気を獲得して自社でIPを確保することもできます。既に自社で「zookiz」という自社制作のキャラクターが存在しています。ベトナムで人気を得ており、ベトナム最大の出版社と契約を結み、8~9月頃からベトナム全国に10冊出版予定です。
03 PUBLY
開発者コミュニティ、採用プラットフォームを運営するキャリア・テックスタートアップです。
Publyは、人材およびキャリアプラットフォームCareerlyとWeHireを運営するコミュニティベースのスタートアップです。 テック人材に特化したLinkedinのようなサービスを提供しています。急速に変化する技術によるテック人材の採用が困難であることと、人口減少によるテック人材の受け入れが多くなると予想される点で注目を集めています。 特にCareerlyは開発者の採用に集中しており、開発者が本人のキャリアをプロフィールに載せてそれに合ったキャリア提案を受けたり、技術Q&Aをやり取りするなどのコミュニティとして使われています。 リリース9ヶ月で韓国にいる開発者の40%が使用中だそうです。
▶ 審査員たちからのQ&A
1) 他の転職サービスとの違いはなんでしょうか?
とても良い質問をしていただきました。まず、Publyは転職サービスとして知られることを望んでいません。一般的に広く使用されている転職サービスは転職を望む方がユーザーなので、ユーザーと接続すること自体が難しいのです。私たちは勉強やネットワーキングを提供しているコミュニティなので、転職希望者でなくても常にユーザーと接続できるというところが強みであると思います。
2) ユーザーにはどんなインセンティブが?
シニアのエンジニアたちは他のエンジニアと知識を共有したいというマインドがあると思います。個人のブランディングにもなり、インフルエンサーとしてのブランド力を高めることもできます。またエンジニアという職業の特性上、孤独な側面もあり、Q&A機能や勉強、ネットワーキングの目的で使用している場合が多く高い満足度を得ています。
04 JOIN AND JOIN
ヴィーガンバター、チーズ、代替肉など高機能性ヴィーガン向けフードテック・ブランドです。
ヴィーガン製品に対する認識と需要が多くなる今の時代にふさわしく、今回特に注目を集めたJOIN AND JOINのピッチです。 JOIN AND JOINはヴィーガン食品ブランド「NULDAM(ノルダム)」を提供しています。
NULDAMは食品工学技術を基盤としたベジタリアン食品事業で、韓国でシェア1位を占めています。 CEOの家族が体調を崩したことから健康的な食について興味を持ったとのこと。家族が気楽に食べることができる食品は何かを考え、オーガニックヴィーガン食品の開発からスタートし、現在は製造・販売を越えて拡張を計画中です。
ヴィーガン食品市場の拡大に支えられ、当社のCAGR(年平均成長率)が173%を記録、AP高成長企業23意を占めている中、日本の大手食品メーカーとのMOU締結など、日本市場への本格的な進出を予定しています。
▶ 審査員たちからのQ&A
1) 既存の一般的なバターとヴィーガンバターのカロリーの差は?
カロリーに大きな差はありません。しかし、私たちは植物由来のバターであり、動物性バターと比べると、15%ほど低いという研究結果を得ています。
05 WHYNOT MEDIA
中国、日本、東南アジアのMZ世代が熱狂する総合コンテンツ制作スタジオ
WHYNOT MEDIAは、MZ世代に大人気コンテンツを保有している企画·制作·編集の全プロセスを提供する総合コンテンツスタジオです。 ウェブドラマ部門で最初の1億回再生を記録し、ショートフォームドラマジャンル1位の企業として位置づけられました。 日本のAbemaと共同制作したドラマ <@アカウントを削除しました(2021年)>、<Bad Girl Friend(2022年)>はそれぞれ1、2位を占めるなど、日本進出プロジェクトを積極的に進めています。
審査員の声
PKSHA Capitalの海老原氏は、「今回の10社のピッチ内容が全体的にレベルが高かった」と述べました。また「韓国スタートアップは海外進出に積極的な姿勢が印象的で日本のスタートアップとの違い」とし、「特にKAFLIXは既に日本でローカライズができているのでソリューションがよかった。JOIN AND JOINはフードテックの中でもヴィーガンコンセプトというのがよかった。また、韓流が溢れている日本でそれを活かしたエンターテインメント系事業は可能性が高いと思われる」とコメントしました。
DG Daiwa Venturesの渡辺氏は、「NAUTILUSは、少子化が深刻である日本で公的機関の勉強の素材として扱うことも良いのではと思う。PUBLYは、エンジニアに特化したサービスを提供していることがよかった」とのコメントがありました。
今回は、2023 JAPAN BOOT CAMP の <K-Startup Open Demoday>に参加した韓国スタートアップ10社の内、5社のピッチについて話しました。
次回は、「Wrtn technologies」、「TEUIDA」、「DOB STUDIO」、「VILLAGE BABY」、「WHATAP LABS」のピッチや審査員の審査評価についてお伝えします。後半の5社もAIや独自技術を使っている素晴らしいスタートアップで、熱いピッチが行われました!
3日目の後半はこちらから👇
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