【現地レポ@東京】韓国スタートアップ10社の熱いピッチ!(2/2)
JAPAN BOOT CAMP3日目! スタートアップのデモデー
16日、韓国のスタートアップ支援をするNPO団体Startup Alliance主催の日本進出支援イベント、JAPAN BOOT CAMP3日目を取材してきました!
今回は、前回に続き「<K-Startup Open Demoday>での10参加社の内、後半5社のピッチ」、「審査員の審査評価」、「参加企業の所感」についてもう少しお話したいと思います。
前回(3日目デモデーの前半)の記事はこちら!👇
1日目のセミナーレポ記事はこちら!👇
Startup Allianceとは?
韓国のスタートアップ・エコシステムの活性化を目的として2014年に設立されたNPO。起業家のためのネットワーキング・プログラムの実施や、グローバルなコミュニケーション・プラットフォームの提供、スタートアップに必要なリサーチ活動など、スタートアップ全体の円滑なエコシステム形成のために様々な事業を行っています。
JAPANBOOTCAMPとは?
韓国の有望なスタートアップを日本市場に紹介するグローバルアウトバウンドプログラム。JAPAN BOOT CAMPを通じて韓国スタートアップは日本市場を理解し、日本市場へ進出する機会を模索することができます。 また、日本のベンチャーキャピタル、アクセラレーター、大企業など、現地のビジネスネットワーク構築のためのサポートも進行。これまでJAPAN BOOT CAMPに参加した韓国のスタートアップの中には、Hyperconnect、Watcha、ZIGZAG(現Kakao Style)、カンナムオンニなどがあります。
06 Wrtn technologies
生成型AI技術をベースにした、ビジネス文書の作成支援サービス
Wrtnは、すべてのサービスにGPT-4 が適用されており、さらにChatGPTよりも日本語と韓国語の対応に優れているLINE Hyper CLOVAと独自の超巨大生成型AIを組み合わせています。生成型AIを通じて、コピーライティングができ、簡単なキーワードを入力するだけでもドラフトの作成及び画像の生成まで可能です。専門的な文章を作成するため50以上のツールとサービスを提供しており、外部サービスと連携が可能であるため完成度が高いとのこと。多様なサービスを艇庫湯する会社と提携しているので例えば、AIにタクシーを読んでもらう、レストラン予約をしてもらうなどの機能も今後利用可能になっていくと思います。日本版のWrtnでは、「ビジネス向けAIコンテンツ作成プラットフォーム」として進出することを計画しています。
07 TEUIDA
仮想AIシミュレーションを活用した言語学習アプリ
韓流ブームが起きている昨今、韓流コンテンツをうまく利用するために韓国語を学ぼうとする人が増えているとのことです。 TEUIDAはこのような韓流ブームを通じて、韓国語学習が可能なモバイルアプリをローンチしました。 自分の好きなK-POPスターの言葉を通じて学習したり、仮想シミュレーションで実際に韓国企業に就職したり恋愛をしながら韓国人との会話練習をします。日本最大級の韓国語教室K-villageと提携しており、日本ローカライズのために取り組んでいます。 現在は日本語学習サービスも準備中です。
▶ 審査員からのQ&A
1) 学習動画がとても高精度で提供されていますが、サーバー費用はどれくらいかかっている?
TEUIDAは Vimeoというサーバーを使用しており、年間2000万ウォン程かかっています。最近ではGoogleから優秀スタートアップとして選定され、支援金を受けたので2年間は無料で運営することができます。
2)リテンションの策やアイデアは?
学習をリマインドするためにプッシュ通知を送る方法や、コンテンツをロールプレイング形式に現実に忠実なコンテンツで実用性を高めています。実際に登場人物と関係を結びながらドラマの中での就職や恋愛をしながら学習していきます・こういったことを大切にし、2022年のユーザーリテンション率は10%でしたが、2023年現在のところ41%になっています。
08 DOB STUDIO
AIディープラーニング技術を活用し、バーチャル・インフルエンサーサービス
AIディープラーニング技術をベースに独自のバーチャルフェイスの生成や編集を可能にし、グローバルSaaSを目指して発展している企業です。またバーチャルインフルエンサーを制作し企業のSNS運用なども行っているとのこと。 dobstudioが提供する「ハートビート」というソフトウェアを使用すると、初心者でも簡単にバーチャルフェイス作成することが可能です。 その他にも、有名人の顔を活用して広告やテレビ放送制作に技術を適用することもできます。亡くなっているかつての有名人をテレビ出演させることも可能とのことです。今後はゲーム事業などに規模を拡大させる計画があるようです。
▶ 審査員からのQ&A
- 技術の優位性は何か?
dob Studioは世界で初めてAIディープラーニング技術を商用化し、望む顔を編集できる技術を製作しました。 特に故人などデータが十分でない人々の顔を復元し、高いクオリティで編集できることがdob Studioの最も強力な技術だと言えます。
09 VILLAGE BABY
良質な育児情報の提供と育児用品のレコメンドを行うコンテンツ・コマースアプリ
Village babyは、妊娠・育児に関する専門情報を提供し、データに基づいた育児用品の推薦や、コマース機能を持つ「Baby Billy」を運営しています。 BabyBillyは韓国内外の医学ジャーナルおよび産婦人科のコンサルティングを基盤に質の高い育児情報を提供し、同時期に出産を経験した両親とのコミュニティの場となっています。 また、PBブランドによる自社で製品を販売や、保険商品紹介など様々なビジネスを行っています。 ベトナム、インドネシア、タイを皮切りにグローバル進出に努めており、今年6月末から日本進出予定とのこと。
▶ 審査員からのQ&A
- 日本にすでに「BabyBilly」に似たアプリがあるが、収益化が課題だという。 BabyBillyは広告をどのように流入させ、収益化はどのように設定されているのか?
おっしゃるとおり、ほとんどの育児アプリは広告で収益を上げていたが、BabyBillyはEコマース、フィンテック領域の売上で収益を上げています。 韓国は胎児保険が義務のようになっているため、BabyBillyのアプリでは現代海上の胎児保険を紹介し、一定金額の手数料を受け取る形をとっています。 また、現在フィンテック領域の売上は、Eコマース領域の10∼20%に過ぎませんが、今後さらに高度化していきたいと思っています。
10 WhaTap Labs
韓国No.1、SaaS型のIT統合モニタリングサービス
WhaTap Labsは、顧客のITシステム/サービス障害の監視及びパフォーマンス維持に最も効果的なSaaSサービス「WhaTap Monitoring」を提供しています。
韓国No.1のSaaS型総合モニタリングサービスであり、ITサービス障害やパフォーマンスをリアルタイムで視覚化し、即時対応することが可能とのこと。現在韓国では1,000社以上の顧客が利用中であり、Eコマース、大企業、スタートアップ、金融会社、公共機関などITモニタリングを必要とする分野で活用されています。
▶ 審査員からのQ&A
1) 主な顧客はどのような課題を抱えているのか?
例えば、モバイル注文サービスを提供している事業者です。注文にエラーがあった際に、即時に問題を見つけ出し対応することが可能です。トランザクションが多く、即時性が必要なクライアントに好まれています。
審査員の声
Xenon Partnersの林尚郁(Sangwook Lim)氏は、「参加した10社ともとても興味深かった。これまで、良い技術を持っている場合でも日本での反応は意外な結果になることもあったが、今回はすべてのスタートアップが日本での反応が本当によかった。 特に、今のように韓日関係が良好なので、優秀なスタートアップが日本で成功する良い例になればと思う」とコメントしました。
DG Daiwa Venturesの渡辺氏は、「Wrtnは、非英語圏においてプロダクトを模索している点が良いと思った。WhaTapは、トラフィック負荷が頻繁な部分で、監視を素早い対応が可能であることが素晴らしいと思う」などのコメントがありました。
MUFGのROY氏は、「起業家精神が優れていて、技術力も高い企業が多く大変勉強になった」と述べました。「これからは日本市場で韓国と異なる部分をどのように解決していくかが課題になると思う 」とコメントしました。
参加スタートアップの「2023 JAPAN BOOT CAMP」に対する声
- WHATAP
多くのスタートアップや、関係者が集まっており、日韓のスタートアップエコシステムと深く関われたことが非常によかった。
- WHYNOT MEDIA
日本進出を検討している中で、とても良い機会でした。日本はネットワーキングが重要な国なのでそういった部分でも大きなサポートになりました。
- VILLAGE BABY
まず、今回のイベントで様々な方にお会いしましたが韓国のスタートアップが日本に進出する上で大きな関心と激励を受けて感謝を伝えたいです。そしてもっと日本市場について勉強をする必要があると思いました。今までは日本サービスをローンチするために日本語翻訳だけに集中してきましたが、日本でビジネスを展開するにあたっては、さらに日本市場を理解する必要があると思いました。また今回聞けて一番良かったことは、日本では良いサービスがあれば既存サービスから乗り換えるということです。なので私たちは、他のサービスとの差別化をしっかりとし、独自技術を提供することが重要なポイントになりそうだということに気づきました。
- DOB STUDIO
今までは日本についての情報が足りなかったです。JAPAN BOOT CAMPは韓国のスタートアップにとってとても魅力的な学びの場でした。具体的な日本進出に関するヒントや、既に日本に進出をした先輩企業の試行錯誤などを聞くことができました。また韓国の独自技術に対する日本現地の反応を知ることができる良い機会でした。 一緒に参加した10社のスタートアップそれぞれが、分野や技術などポートフォリオが異なっており、今後シナジー効果を出せれば良いなと思いました。JAPAN BOOT CAMP100点満点です!!
- KAFLIX
JAPAN BOOT CAMPでは、我々KAFLIXが3年間経験した苦労をイベントの3日で終えることができます。それくらい学ぶ点が多かったです。ゼロベースで日本進出するのはリスクが大きすぎるため、日本現地を実際に体験できるJAPAN BOOT CAMPに参加することを積極的にお勧めしたいです。 会社の発展に本気なスタートアップだけが集まるので、日本のCVCやVCの関心も高いと思います。日本進出を計画している韓国スタートアップなら、必ず参加しなければならないイベントです!
JAPAN BOOT CAMPの主管機関であるSTARTUP ALLIANCEのチェ・ハンジプセンター長は、今回のイベントについて「日本では韓国の映画やアイドルなどの文化産業が人気があるため、韓国のスタートアップに対する関心が冷めずにいる。特にAI、コンテンツ、SaaSなど、差別化された韓国の技術とサービスが日本市場を狙い、有意義な成果をあげている」とし、「今後もSTARTUP ALLIANCEはジャパンブートキャンプを通じて韓国の有望なスタートアップを日本に紹介し、韓国と日本のスタートアップエコシステムが交流できる場を設けたい」とコメントを残していました。
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