【Vol.2】日本進出とローカライズの裏話|韓国在住ユウイの韓国ユニコーンの話
Vol.2 日本進出とローカライズの裏話
こんにちは。
Danggeun Market Inc.のユウイです。
連載二回目となりました!
前回は、ざっくりとした仕事の話や社内の雰囲気についてお伝えしました。
前回の記事はこちらから👇
その内容を踏まえて今回は「日本進出初期の話」や「ローカライズの仕事」についてもう少しお話したいと思います。
# 日本進出のお話
Karrot(キャロット)は、2021年2月に横浜市の港北区からスタートしました。
当時コロナ渦真っ只中で、チームメンバー全員が日本現地に赴くことができず韓国にてローンチの準備を進めていました。
市場調査、ユーザーインタビュー
日本進出が決まってからまず初めに進めたのは、市場調査とユーザーリサーチです。
私自身は、日本でのサービスオープンが決まってからチームに合流したので、事前の市場調査よりかはユーザーリサーチを主に担当していました。
InstagramのDMやfacebook広告、リサーチパネルの募集ツールなどの手段を駆使しながら、他社サービスのユーザーさん、Karrotのメインターゲットである主婦・ママさんを募集してはインタビューを繰り返していました。ローンチ前におそらく3ヶ月ほどは、ローカライズの業務を平行しながらユーザーインタビューをしていたと思います。
ユーザーインタビューは、中古取引利用パターンの把握、ペインポイントの発掘を目標に質問の構成を練り直しながら進めていきました。(コロナの全盛期でしたので、ほぼzoom等を利用したオンラインインタビューでした。)
インタビューを進めていくうちに、だんだんと日本の方々の中古取引の利用パターンが見えてきて、ターゲット層をまずは主婦・ママさん層に絞ろうという形が自然と見えてきました。
ローカライズ・翻訳
ユーザーリサーチに加えて、ローンチ準備として韓国語のKarrotのアプリを一から日本語に翻訳する作業を平行して行っていました。韓国国内のKarrotサービスでは、UXライティングを通して簡潔ながらも「親切さ」や「親近感」、「あたたかさ」が伝わるように努力しているとの話を聞いていましたので、ブランドイメージを統一できるように気をつけながら翻訳をしました。
韓国国内のKarrotのUXライティングは、"요/해요 体(ヨ/へヨ体)” (敬語表現ではあるけれど少し砕けた表現)を使って親近感を表現するという特徴があったのですが、日本では敬語表現が1パターンしかないので(です、します)、どのように表現するか初めは悩みました。
語尾や語調で親近感を表現することが難しかったので、あたたかい雰囲気をより表現できる単語選びをしていたと思います。
日本のUXライティングの書籍を読み漁ったり、他社のUXライティング担当者にミーティングをお願いしてお話を伺ったりと(Notionに山ほど質問を書き留めていきました。笑)、必死に勉強しながら試行錯誤しましたね。
サービス内での親近感のある表現にあまり慣れていない日本人に対して、どのように簡潔さと親切さを伝えられるかについてはまだまだ勉強中で、KarrotのUXライティングもこれからもっと進化できたらいいなと思っています。
”信頼”がとても重要な国?
日本でのローンチ当初、一番初めに当たった壁はユーザーさんたちからの「あなたたちは何者なの?感」でした。当初、自社ホームページがあったものの会社概要も日本企業のホームページよりは情報が少ないし、情報があったとしても住所は韓国で…
” Karrotという手数料無料のサービスが始まったらしいけど、本当に安心して使えるのか分からない”というような状態だったと思います。
少しでもKarrotのことを理解してもらいたい!と、SNSのアカウントを作って「地域密着型のフリマアプリです!」と自己紹介や宣伝をしても、”外国企業らしいけど、なんでうちの地域で始めたの?”というような少々否定的なニュアンスの連絡をもらうことも少なくありませんでした。
日本進出の準備を進めるにあたって、自己(会社)紹介をする場をしっかり設けていなかったから起こった出来事だったと思います。
韓国企業と日本企業の会社ホームページを比較してみると、確かに会社についての紹介をするページの情報量が違っていて、明らかに日本の方が企業情報や社員のこと、社長の説明が多めだということに気づきました。情報の見せ方について、ローカライズ不足だったということですよね。
この後から、急ピッチでホームページの内容を改善をしていきましたね。具体的には、会社・サービスのことをもっと理解してもらえるようにサービスの理念やメディアに取り上げられた内容を掲載したりなどです。(現在も第2回目のアップデートを進めていて、近々パワーアップした姿でお目にかかることができると思います!)
約一年前の22年1月には日本法人も設立され、日本事業の担当者のほとんどが日本で働いています。ユーザーのみなさんにもっと信頼してもらえるサービスとなれるよう、日々奮闘中です。
# 現在のKarrotのお話
Karrotは、サービスを開始して早いもので3年目を迎えました。
以前の記事でも紹介させていただきましたが、現在Karrotは現在は横浜市、川崎市の一部地域に加え、新宿区、世田谷区、千代田区などの地域でサービスを展開しています。その中でも、現時点(23年1月)では東京都世田谷区のユーザーさんが一番多くいらっしゃいます。
サービスの現状把握や改善のために、定期的なユーザーインタビューを行っているのですが、Karrotを頻繁に使ってくださるユーザーさんたちが感じているKarrotの価値は、不思議と似ていたりします。地域や年齢性別関わらず、一定量のお取引の経験のあるユーザーさんたちからは、よく下記のようなお話を聞きました。
・スキマ時間に、近所で手軽にフリマできるのが嬉しい
・Karrotで売ると、自分が使っていた物が次の持ち主の手に渡って可愛がってもらえそう
・地域内で資源を循環させることができるので嬉しい
”次の持ち主に可愛がってもらえる”という表現、とても素敵じゃないですか?
この2年間で沢山のユーザーさんに出会って、Karrotを楽しんで使ってくださっている方は共通して地域に愛着があったり、資源を大切にしている方が多いなという印象です。
日本人はとても几帳面で丁寧?
Karrotは日本以外の国(イギリス、カナダ、アメリカ、韓国の全五カ国、 440地域)でもサービスを運営しています。各国のユーザーインタビューを聞いたり、社内で共有される運営状況を見ているとそれぞれの特徴があると感じます。
私が特に記憶に残っているのは、ユーザーさんと一緒にアプリテスト(Karrotを初めて使う方に、アプリダウンロードから一通りアプリを自由に使ってもらい、様々な質問に答えてもらうテスト)をした時のことです。
日本のユーザーさんにこのテストをした時は、ほとんどの方がFAQのページから探し始め、ガイドを読んでからアプリを操作し始めたんです。他国で同じようなテストをすると、FAQから見始める人は全くおらず、とりあえずボタンを押しまくります。笑
また、アプリ内で案内されるテキスト内容や指示(レビューを書きましょう、自己紹介文はこのように書いてください!)等に対して、案内通りに行ってくださる傾向も見られました。(テスト以外でも、日々の指標からも確認できています)
そんなことから、日本のKarrotではもっと丁寧で親切な案内をしよう!という目標が生まれ、初心者さんのためのはじめてガイドを作るきっかけになりました。この機能は何だろう?このボタンを押したらどうなるんだろう?というような不安・疑問を与えないようなプロダクト作りを心がけています。
その他にも、お取引のレビューや商品の説明文など他国と比較しても日本のユーザーさんが一番丁寧に且つ長文で書いてくださる傾向もあります!当たり前のことではありますが、同じプロダクトに対して使い方やユーザーさんが要求することが違うのって、面白いですしローカライズのやりがいがありますよね。
今回の記事も、最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回は、韓国スタートアップでの1日!というテーマで私の出勤〜退勤までのルーティンについて紹介してみたいと思います。
それでは、また次回にお会いしましょう!
# 番外編
今年のソウルの冬は、長めのダウンジャケットを着ても震えるぐらい寒いです!
旧正月の連休頃(一月末)は、最低気温が-20度ぐらいまで冷え込みました…
最近は少し気温が落ち着いてきたものの、それでもまだ-7~-10度ぐらいを行ったりきたりしています。
また、韓国ではコロナウイルスにより義務化されていた室内でのマスク着用も、1/30(月)から解除されたりと、様々な変化がありました!これから徐々に元の生活に戻っていくといいです。
インフルエンザも流行っているようなので、みなさん暖かくして体調にはお気をつけてくださいね!
佐々木祐衣 (ささき・ゆうい)‐Danggeun Market Inc. グローバルプロダクトチーム
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2017年に早稲田大学文化構想学部を卒業後、新卒で日本のIT企業で勤務後、韓国へ語学留学。卒業後、韓国のユニコーン企業Danggeun Market Inc. に日本人第一号社員として入社。現在はグローバルプロダクトチームに所属し、日本進出業務に従事。韓国現地でローカライズや翻訳を担当する傍ら、日本の事業開発の役割をになっており、韓国と日本を行き来しながらDanggeun Market(グローバルサービス:Karrot(キャロット))の日本事業に携わっている。
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