iPhone以来最大の革新、ChatGPT

本当に全世界がNewJeans(ニュージーンズ)だ…”ヒュージンズ” attention!(ヒュージン=韓国語で「休診」。NewJeansのあまりの人気に”ニュージンズ”になぞらえて”休診(ヒュージン)”が使用された例)

韓国のオンラインコミュニティを熱くしたmeme(ミーム)があります。

すべての質問に対する答えを「NewJeansのHype boy(ハイプボーイ)です」と言いながら、曲に合わせて踊るというものです。

現在韓国を最も熱く盛り上げているK-POPグループの歌がmemeとなり、医師の休診告知にも入るほどです。このように韓国でNewJeansがホットなように、今グローバルIT業界で最もホットな話題はまさに、ChatGPT(チャットGPT)ブームです。

アメリカで開発されたこの会話型AIチャットボットは、開発されてからまだ6ヶ月も経っていませんが、その波及力だけ見れば、今年ChatGPTが作り出す新しい時代の第一歩を、われわれは目にしているのかもしれません。

今日はChatGPTについて簡単に整理し、韓国でChatGPTと関連する動きと私の考えを簡単にまとめてみたいと思います。

会話で情報を検索するChatGPT 

ChatGPTは昨年11月30日、米国サンフランシスコに位置するOpenAIという企業が開発した人工知能(AI)チャットボットです。基本的にチャットボットは、APIを通じてユーザーと情報を要求し、ChatGPTサーバーが要求された内容に応答するrequest-response構造を持っています。

ただ、ChatGPT以前にも会話が可能な人工知能チャットボットプログラムはありましたが、ChatGPTが注目を浴びる理由は、交わされた会話の内容と文脈を記憶し、それに合わせて情報を実際のメッセンジャーで会話するようにわれわれに情報を伝えてくれるからです。

その性能がどれほどすごいのか、直接投資をしたイーロン・マスクも「恐ろしい」と話すほど性能は優れています。その汎用性と情報提供の深さは想像を超えます。

たとえば、ChatGPTは米国の弁護士と医師の試験に合格するのに十分な情報を持っており、論文やエッセイなどを代わりに書いてくれたり、機能実装のためのコーディングをさまざまな開発言語に合わせ、代わりに作成してくれたりします。韓国でも大学修学能力試験(日本の大学入試センター試験)の問題をChatGPTを活用して解いたところ、英語が2級になるなど、大きな可能性を示しました。

他にも興味深いことに、作曲を代わっておこなってくれたり、詩を書いてくれたり、既存になかった新しいカクテルレシピを教えてくれるなど、われわれが「人間の創造性」としていた領域でもAIが融合し、変化の風が巻き起こっています。

もちろんデメリットも明らかに存在します。時には学習したデータにより、偏ったりまたは不適切な応答をすることもあります。例えば、人種差別や性的差別のような発言をしたり、虚偽や誤解を招くような情報が、まさにそれです。ユーザー自身が情報に対する判断基準がなければ、ChatGPTはむしろ誤った情報を学習することになるため、悪用される可能性があります。 

そのため、最近ではChatGPTをはじめとする対話型人工知能の倫理的問題について考える事例が増えています。

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韓国社会がChatGPTを受け入れる方法

 企業ではChatGPTを活用したサービスが多様にリリースされています。大手企業の場合、Toss(トス)とKakao(カカオ)が積極的に取り組み、自社アプリサービスにChatGPTを適用してサービスをリリースしました。

特に、韓国の国民メッセンジャー「KakaoTalk」を通じてサービスしているUpstage(アップステージ)社の「Askup(アスクアップ)」は、既存のChatGPT機能に、画像やテキストを認識するOCR機能を追加し、リリースから7日間でユーザーが10万人を超えるという快挙を成し遂げました。実際に使ってみたところ、写真からテキストを認識し、その内容について答えてくれることも可能であり、とても印象的でした。

NAVER(ネイバー)やKakao、SK telecom(SKテレコム)など、韓国のIT・通信企業はChatGPTに対抗するAIチャットボットのリリースを予告しました。特にNAVERの場合、韓国語に特化したAIチャットボット「HyperCLOVA X(ハイパークローバーX)」を通じて、活路を模索しています。

NAVERの韓国型ChatGPT「HyperCLOVA X」

 HyperCLOVA Xは、ChatGPTに比べて約6,500倍以上の韓国語学習を行ったことを強調しており、韓国ではGoogleよりも多くのシェアを占めているNaverのAIチャットボットが、より期待される部分です。

では、公共の領域ではどうなっているのでしょうか?会話型人工知能チャットボットが、時代の逆らえない流れなので、ChatGPTを一生懸命勉強(?)している状況です。 

実際に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、今年1月の新年業務報告の場で「ChatGPTを公務員の業務に活用できる方法を模索するよう要請する」という趣旨の発言をしました。これにより、公務員たちは学習会(?)を通じて、ChatGPTが業務に活用できる領域を議論する場も生まれました。

しかし、企業に比べて受動的で保守的な公務員組織の特性、そして内部インターネット網と外部インターネット網が分離されて業務を行うセキュリティ問題などにより、ChatGPTが公共領域でどれだけ活用できるかは未知数です。

そのほか、韓国の多くのスタートアップもChatGPTを活用したサービスを立ち上げ始めました。韓国の旅行サービスである「My Real Trip(マイリアルトリップ)」では、旅行日程を組み、商品案内までしてくれる会話型チャットボット「AI旅行プランナー」を立ち上げました。

また、最近の韓国の就職難は想像を絶するものですが、このような就活生たちの苦悩を助けるために、採用サイト「Wanted(ウォンテッド)」では、AIが採用情報を分析し、予想面接質問を整理、ユーザーが回答すると、内容を分析して適切なフィードバックをしてくれる「AI面接コーチ」サービスがリリースされました。

ChatGPT、チャンスか脅威か?

上記では韓国の事例のみをまとめましたが、グローバルに視野を広げれば、ChatGPTを活用した事例はもっとたくさんあります。ChatGPTを筆頭にした対話型人工知能の登場は、上記のようにわれわれの生活に多くの革新をもたらしました。

私はChatGPTがもたらす人生の変化が、今後さらに楽しみになります。これまでわれわれがインターネットで検索キーワードを変えるたびに画面に表示される結果値が変わるインデックス型(index)検索に慣れていましたが、今後は入力した質問に応じてAIとユーザーが会話をしながら正解を探す、対話型検索に変化していくでしょう。

例えば「ソウルの天気」と「ソウルの天気はどうですか」は、それぞれ異なるキーワードなので、インデックス型検索では異なる結果値を表示していますが、今では「ソウルの天気はどうですか」を聞いた後、「では明日はどうですか」 と語尾を疑問文にし続けていけば、明日のソウルの天気結果値をユーザーに表示します。

これはわずかな違いかもしれませんが、情報検索とキュレーションの革新を通じて、特に知識ベース産業に大きな影響を与え、彼らの仕事を奪うかもしれないという点で、ChatGPTを肯定的に見る見方もありますが、一部は否定的に見る見方もあります。 

ポジティブな事例としては、実際に米国ドレクセル大学のHualou Liang教授の研究チームが、ChatGPTの言語モデル「GPT-3」を用いて認知症検査時に写真を説明する人のオーディオクリップを分析した結果、初期アルツハイマー病の診断率を約80%に引き上げることができました。

アルツハイマー病は原因と治療法がはっきりしていないので、早期に診断することが、病気を管理する上で非常に重要であることを考えると、これは大きな進歩です。

検索枠にキーワードを入力すると、関連するYouTubeの映像をクロールして情報を表示する映像制作補助AI、「Knoah AI(ノアAI)」

否定的に言えば、音楽、詩、論文、エッセイ、記事など、人間の創造性が適用されてきた領域をChatGPTが生成できるようになり、著作権問題など様々な問題が発生することもあります。

実際に韓国では先日、映像制作補助AIである「Knoah AI」が、他人の情報から学習し結果値を表示する点があり、著作権問題で結局サービスを終了したこともあります。

それでも、ChatGPTはネガティブな要素よりもポジティブな部分が多いため、人々は今後の未来を期待しています。特に先日、ChatGPTをMicrosoft(マイクロソフト)の検索エンジンBingに適用するという発表がされ、人々は歓喜しました。その直後、MSの株価は上昇し、ChatGPTに投資していた会社も共に株価が上昇しました。

ChatGPTは、ほぼすべての産業分野において、生産性の面で大きな上昇をもたらしました。その分、同じ時間でより多くのことができるようになったのです。実際、開発者らは自身のコードレビュー目的で活用するケースを簡単に見つけることができます。

あらゆる行動や資料を規格化し、パターン化することができれば、産業を問わず人工知能技術を適用することができるという点で、人間の労働と生きる理由に対する根本的な洞察も必要な時期です。 

結論として、対話型人工知能が普及しているということは、現在まで続いてきた権力と富による知識の不均衡や、学び(知識学習)への欲求を根本的に解決することができるということで、今後どのような方向にサービスが作られていくのか、ますます楽しみです。