Flitto -イ・ジョンス代表

SKテレコムおよびSKプラネットでM&Aおよびベンチャー企業の投資を担当し、社内ベンチャープログラムとしてFlittoを2012年に創業した。韓国初のプラットフォームベースの言語データビジネスモデルを開発し、「言語障壁のない世界」を夢見て集団知性翻訳、AI翻訳サービス、アーケードなどのサービスを提供し、人工知能学習用言語データ構築プラットフォームにアップグレードさせた。中東で生まれ、サウジアラビア、イギリス、アメリカなどで幼年時代を過ごしながら外国語に露出され自然に言語に対する関心を持つようになり、この関心を土台に大学在学中にFlittoの母胎となるクラウドソーシング翻訳サービス「フライングキャイン(Flyingcane)」を創業した経歴がある。


―Flittoは何をしている会社でしょうか。

Flittoは2012年に韓国で設立された会社で、言語データの生成とそのデータを用いた人工知能(AI)エンジンの学習を主な事業としています。音声の同時通訳や同時翻訳に必要なソリューションを提供しています。

私たちは言語の障壁を取り除くための様々なサービスを開発し、そのサービスに必要な言語データを生成してクライアントに供給する役割を担っています。

―設立したきっかけをお聞きしてもよろしいですか?

私は海外で生まれ育ちました。海外の学校に通い、さまざまな言語を話す学生たちと接し、自然と言語に興味を持つようになりました。そして、大人になったら言語に関連する仕事に就きたいとずっと思っていました。また将来、言語の壁を取り除くことができるサービスが必要になると考え、その時に自分がどのような役割を果たすべきかを常に考えていました。その結果、自然と現在の会社を設立するに至りました。

―貴社が提供するサービスの強みや特徴があれば教えてください。

弊社はデータを扱う会社ですが、2012年に創業した当初、データの重要性はあまり認識されていませんでした。しかし、現在ではAIの重要性が増し、今では、AIの精度を高めるためには高品質なデータが不可欠であることが広く理解されるようになりました。

弊社は言語データを生成し、提供することで、他社よりも優れた言語AIを構築しています。

特に固有名詞の翻訳は非常に難しい課題です。日本語と韓国語には、同じ単語でも発音が異なる例が多くあります。例えば、韓国の指定文化財である「景福宮」は、日本語では「けいふくきゅう」、韓国語では「キョンボックン」と発音されます。日本人が「けいふくきゅう」や「カンボクン」と発音する場合もありますが、音声認識システムがこれらを正確に認識するのは難しいです。

例えば、日本語で「カンボクン」と発音すると、音声認識システムが「景福宮」と認識せず、「カン・ボクン」という人名として認識してしまうことがあります。重要なのは、日本人が「景福宮」をどう発音するかについてのデータを収集し、それを音声認識システムに学習させることです。

音声翻訳ツールは多く存在しますが、翻訳機能を使用した際に誤った情報が表示され、それが原因で使用を避けられるケースもよく見られます。弊社ではデータ収集と学習を行い、他社よりも質の高いデータを集め、それを様々なソリューションに適用することで、人の声を正確に認識するサービスを提供できるようになりました。


弊社が提供するライブ翻訳機能は、特定の言語に限定されず、リアルタイムで会話を翻訳するサービスです。この機能は、海外との取引が多い韓国企業に積極的に利用されています。その理由の一つは、Google翻訳では実用的な会話が難しいからです。また、会議室に翻訳機能が搭載されていても、韓国語と日本語の翻訳がうまくいかないことが多いです。

弊社のライブ翻訳機能は、多言語環境でのコミュニケーションを円滑にするため非常に有用です。これにより、韓国企業とグローバル企業がスムーズにコミュニケーションを取ることができます。

従来のGoogle翻訳や他の音声認識ツールでは、ライブ翻訳の精度が低いことが多いですが、弊社のサービスは、内容をしっかりと学習させているため、正確な翻訳を提供できます。

方言の翻訳も可能でしょうか?

現在、方言の場合、一部の言語に翻訳できる場合がありますが、高度な方言ではデータが不足しているため、正確に認識するのは非常に困難です。例えば、沖縄の方言は非常に難しいため、標準語に変換するのが現状では難しいです。しかし、関西弁のような場合は標準語に翻訳したり、関西弁を英語に翻訳したりすることがある程度可能です。

これを実現するためには、大量のデータを集めることが必要です。私たちのようなデータ会社がどれだけ多くのデータを集めるかにかかっていますが、単にデータを集めるだけでは不十分です。そのデータをAI企業が活用し、AIエンジンを学習させることが必要となります。

日本で注力しているサービスはありますか?

私たちは韓国市場よりも日本市場に大きな可能性を見出しています。なぜなら、日本には多くの外国人が住んでおり、訪れる外国人観光客も韓国よりはるかに多いからです。しかし、日本人は外国語があまり得意ではありません。韓国に比べると、日本人が外国語に堪能な割合は低いです。

その理由の一つに、日本国内の内需市場が大きいため、国内市場に重点を置いていることが挙げられます。一方で韓国は国が小さいため、海外市場に目を向ける動きが多く、結果として韓国人は日本人よりも外国語が上手なことが多いです。

ですが、近年日本には外国人観光客が多く、言語の壁を強く感じる場面が増加していると思います。私たちは、日本人と外国人が会話をするときに感じる言語の壁を打ち破るサービスを日本市場で広く提供したいと考えています。国際シンポジウムで使用できるカンファレンス用のAIリアルタイム通訳·翻訳ソリューションを提供することがその例です。

そのため、2020年から本格的に日本市場への参入を開始しました。しかし、残念なことに、新型コロナウイルスの影響で3年間、日本でのビジネス展開が困難でしたが、昨年から再び日本市場に参入し、何ができるかを模索しています。

多くの訪日観光客に向けて、AI翻訳機能搭載の案内板などのサービスがあれば非常に役立つと考えています。また、ホテルやカフェなど人手不足の業種も多く、こうしたサービスはとても有益だと思います。

また、飲食店のメニュー表を自動で翻訳するサービス「Place(プレイス)」も展開しています。メニュー表は単に翻訳だけされても、どのような食材・料理なのか分からない場合があると思います。弊社が提供するサービスでは、メニューの翻訳はもちろんAIで、該当のメニューがどのような料理なのかを解説してくれるのです。このサービスは現在、済州島の飲食店200店舗以上、韓国の高級百貨店やミシュランを獲得したレストランで導入されており、中東や日本など海外のレストランでも導入されています。

ぜひ、下記リンクから体験してみてください。

https://qr.flit.to/places/2035

―今後、他の国にも進出される予定はありますか?

現在、Flittoの最大の顧客は米国にあります。Flittoはデータを生成して販売する会社であり、主なクライアントは人工知能を開発する企業です。そのため、私たちのデータは主にAI企業に販売されています。売上の70%以上がアメリカからのものです。私たちは日本、中国、アメリカに支社を持っており、現在、日本市場に最も力を入れている状況です。

同時に、中東市場にも大きな関心を寄せています。サウジアラビアやドバイでは外国人の割合が約10%を占めており、言語の問題は非常に深刻です。そのため、中東市場で弊社がどのような役割を果たせるかを模索しています。特にアラブ地域では多くの方言が存在するため、効率的に言語の障壁を打破する方法を考えています。
 


今後の計画やビジョンを教えていただければ幸いです。

今年は日本市場に非常に注力しようと考えています。特に、来年の大阪万博では、多くの外国企業や外国人が日本を訪れることが予想されます。そこで、日本の企業と協力し、弊社のソリューションを日本国内に広め、日本を訪れる外国人が言語の壁を感じずに活動できるようにすることが目標です。

また、最近は世界のIT大手企業が日本に支社を設立する動きが増えています。OpenAIやGoogleなども日本語に対する関心が高まっていると感じています。そのため、日本国内のAI企業との協業を今年中に実現することが当社の最大の目標であり、計画です。

現在、日本で広報活動をしていないにもかかわらず、多くの方に利用されています。今年は日本での広報活動にも力を入れる予定です。

また、私たちが日本で直接営業を行うことは難しいと考えており、様々な面で弊社と協力していただけるパートナーを探している状況です。

近年、韓国から日本に進出する企業も増え、それに伴いグローバルなミーティングやイベントも増加しています。このような機会に翻訳機能を必要とするクライアントがいらっしゃいましたら、ぜひ弊社にご連絡ください。


Flitto -イ・ジョンス代表

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