Shoplive -パク・ヒョンソク最高事業成長責任者(CGO)
私は、延世大学で心理学の学士号を取得した後、2006年から2013年までNAVER Shoppingの広告チーム長を務めた。その後、2013年から2021年までMeta(旧Facebook)のコリアパートナーセールス担当常務として活躍した。2021年にはCJ第一製糖でEコマース担当総括を務め、同年にカカオ広告セールス総括副社長に就任した。現在、2023年からはShoplive KOREAの最高事業成長責任者(CGO)として従事している。
-Shopliveがどのような会社なのか教えてください。
Shopliveは、高品質で高機能なライブコマースを通じて、革新的なショッピング体験を提供する企業です。自社アプリ、Webサイト、ECプラットフォームにシームレスに統合できるSaaS型の動画配信ソリューションを提供しています。Shopliveの主な機能には、ライブコマース機能、ショート動画機能、AI クリップ機能の3つがあります。
動画は今、コンテンツ消費の中心にあります。企業がInstagramやTikTok、YouTubeなどを活用することが一般的になっていますが、動画を自社のアプリやウェブサイトでより効果的に利用することが、マーケティング戦略の重要な課題の一つとなっています。そこで、私たちはこの需要にチャンスを見出し、企業が簡単に活用できるようにするために、SaaSサービスを提供することで、大きなビジネス機会を追求することを考えている会社です。
中国では既にライブコマースが急速に成長し、多くの成功事例があります。この流れが韓国にも広がり、成功を収めています。こういったライブコマースの急成長は中国や韓国だけの現象ではなく、今後、日本やアメリカ、東南アジア、ヨーロッパなど世界各地に広がっていくと予想しています。
-shopliveの強みや大切にしていることを教えてください。
日本にある外資系企業として一番大切なことは、まず日本語で簡単に使えるようにすることだと思っています。現在も日本に素晴らしいグローバルツールが存在していますが、ローカライゼーションがうまくいっていないケースがよく見られます。
日本の市場はまだ小さいと思われがちですし、多くの人がライブコマースをInstagram以外で使っていません。そのため、市場が開拓されず、言語対応が十分ではないと感じています。
しかし、私たちは、日本の皆さんにShopliveのサービスを外国のものだと思わず、日本製品と同じように気軽に使ってもらいたいと思っています。言語の壁を乗り越えて使いやすくツールを提供することは難しいですが、ローカライゼーションは非常に大切な要素だと思います。
また、私たちの技術はネットワークが安定している点が大きな強みです。ライブコマースでは、商品を良い画質で途切れずに放送できるかが重要視されるため画質やネットワークの安定性が必須です。この部分で私たちのサービスは高い評価を受けています。
当社のSDKはアメリカの有名コマース企業のような大規模なプラットフォームでも活用されており、安定的に発信しています。100万人以上が利用するアプリに組み込まれており、一度のライブ配信で数千万のユーザーに利用されています。35名の従業員で運営していることを考えると、これは驚くべき成果だと自負しています。
-ライブコマースサービスに加えてショートフォームに関するソリューションも提供しているとのことですが詳しく教えてください。
日本ではショート動画の効果をあまり知られていないかもしれません。最近、日本企業であるTSIホールディングスのファッションブランド「FREE‘S MART」で弊社が提供するショート動画ソリューションを導入しました。ウェブサイト上に商品動画を追加するだけで、購買率や滞在時間、ページビューが80%以上も増加する結果を得ることができました。これまで写真のみだった商品ページを、動画に切り替えただけで、このような結果が得られることを証明したと思います。
また、「AIクリップ」というソリューションも提供しています。このAIクリップは、1時間のライブ放送を10個の45秒ショート動画に自動的にまとめるものです。AIがライブ内容を分析し、重要な部分を抽出してクリップ動画を作成します。
これは弊社で毎月2,000本以上の放送データを収集し、そのデータをAIに学習させていることにより実現していることです。収集した大量のデータに基づき、AIは効果的なクリップを作ることができ、タイトルやハッシュタグもAIが選定します。また、手動で修正や追加も可能で、作業のしやすさを確立しています。
制作されたクリップは自社アプリやウェブページ、そしてInstagram、TikTokなどのSNSにアップロードが可能です。ライブ配信の内容をショート動画にし、SNSに投稿することで、マーケティング効果をさらに高めることができますよね。
また「AIクリップ」を利用することで、SNS担当者や動画編集者の仕事を大幅に減らすことができます。企業は効率的に複数のコンテンツを同時に作成することができ、マーケティング効果を高めるための最適な方法を見つけやすくなります。企業が必要な動画コンテンツを作成、そして活用するための技術をSaaSとして提供することが私たちの目標でもあります。
このサービスは日本で8ヶ月間試験的に運用し、多くの支持を得ています。また、日本市場に特化した新しい製品を開発し、日本企業が動画コンテンツをより効果的に活用できるよう支援していく計画です。
―日本市場をどのように見ていますか?また、日本と韓国では商習慣の違いがありますか?
日本ではライブコマースに挑戦する企業が増えているものの、十分な成果を上げていないのが現状です。ライブコマースは戦略と忍耐が必要であり、成功を収めるまでには時間がかかります。例えば、弊社のソリューションを利用している韓国の人気ファッションECサイト「MUSINSA」も、当初は苦戦しましたが、継続的な取り組みの結果、現在では毎日複数回の配信を行い、大きな売り上げを達成しています。
日本市場は非常に大きなeコマース市場と広告市場を有しており、人口の多さも大きな魅力です。しかし、デジタル化(DX)がまだ十分に進んでいない部分もあり、ここに大きなチャンスがあると感じています。4月に開催されたIT Week Japanに参加し、弊社のソリューションを紹介した際には、多くの人々がその可能性に驚きと期待を寄せてくれました。
日本の小売業界ではオフライン店舗の役割が非常に大きいため、私たちはオンラインとオフラインを融合させた新しい活用法を提案しています。具体的には、サイネージやアパレルサイトで公開されるスタッフによるおすすめコーディネート動画などのショート動画の利用を視野に入れています。また、弊社は日本に進出して1年ほどになりますが、日本の代表的なファッション企業であるワールドと有名コスメ企業「コーセー」のブランドである「ジルスチュアートビューティー」とも契約を締結し、ショートフォームおよびAI映像編集を活用した市場の可能性をうかがっています。
また、大手玩具メーカーやEコマース企業が、ショップライブのソリューションを導入しており、すでに多くのコラボレーションが行われています。
韓国と比べると、日本ではオフライン店舗の重要性が非常に高いと感じます。日本では実際に店舗に行って商品を確認してから購入することが重要な要素であり、新製品を発売する際には、オフラインの店舗での販売が重視されます。そのため、海外から日本に上陸したブランドも、POPUPイベントを開催する傾向があります。弊社クライアントも、オフライン店舗を運営しながら、私たちとライブイベントを行う企業が増えています。
しかし、時間の経過とともに、日本もオンラインが主流になると考えています。最終的にどのような形になるかはまだ分かりませんが、オンラインやデジタルが重要な役割を果たすことは確実です。私たちは、韓国で培った方法だけでなく、日本の特性を考慮し、日本市場にプロダクトを合わせていくことが重要だと考えています。
-日本進出にあたり、日本の商習慣などをかなり細かく調査したようですが、どうして可能だったのでしょうか?
優秀な人材が集まったことによりできたことだと思っています。これは幸運なことだと思っています。日本法人の代表になる方は、私のFacebook時代の同僚です。彼は一緒に働きたいと言ってくれて、現在Shopliveで一緒に仕事をしています。彼からは、日本ではパートナーシップと代理店、そしてフルサービスを提供することが非常に重要だと教わりました。良いパートナーを見つけて、成功への道をどう進むか、一緒に悩みました。その結果、今後の日本市場における道筋が見えてきました。
<日本法人の代表となる岡本大輔氏からのコメント>
前職では、イギリスのプラットフォームやYahoo Japan、Meta(旧Facebook)などの大手プラットフォームに関わり、シリコンバレーの会社の日本立ち上げも手掛けてきました。今回もゼロからの立ち上げを進めています。
日本で取り組みたいと思っていることは、広告業界におけるファーストパーティデータの問題解決です。この問題は非常に大きな課題となっており、我々の技術を使って新しい価値を提供していきたいと考えております。