HelloWorld – 事業開発部長 小泉泰雅

慶應義塾大学経済学部卒。新卒で国際協力機構(JICA)に入構し、主にアジア地域における産業・インフラ開発関連分野でのODA事業に従事。JICAモンゴルでの駐在後に、ICT教育関連企業を経て、現職にて国内・海外での事業開発を担当。


全ての子どもたちに低コストでできる「国際交流の機会」を提供する

弊社HelloWorldは多様性教育の機会を提供していきたいという思いから始まりました。

インフレなどの影響もあり、コストが非常に高くなっているため、実際に海外留学を経験できる生徒さんは、奨学金を取れるような優秀な生徒や裕福な家庭に生まれた子どもなど、かなり限られている現状があります。

一方で、通常の学校における英語の授業では、実際に英語を使った授業や異文化に触れられるような国際交流の機会はほとんどなく、体験の隔たりが出来ているのではないかと思っております。

こういった差を埋めていくために、弊社では3つのプロダクトを通じて、すべての子どもたちに低コストでできる国際交流の機会を提供を目指しています。

1つ目は、オンラインで海外の同世代と国際交流する「WorldClassroom」、2つ目は日本在住の外国人のお宅でのホームステイ体験をする「まちなか留学」、3つ目は日本在住の外国人の方とチームを組み、街歩きをしながら英語を使った謎解きを行う「まちなかENGLISH QUEST」です。これらのサービスを通して全ての子どもたちに向けて、単なる勉強を超えた、ワクワクするような英語学習体験の機会、そして国際交流の機会を低コストで提供しています。

実は、内閣総理大臣を議長とした教育未来創造会議での提言でも、「中学・高校段階において対面での国際交流を50%、 オンライン等を利用した国際交流は100%を目指す」といった提言がなされています。

私たちは、そのような日本全体の教育政策にも貢献すべく、日本全国の自治体・学校に向けたサービスの提供を行っています。

「世界中に1か国ずつ友達がいることが当たり前の社会」をつくるサービス

弊社のプロダクトの中で、特に海外展開にも力を入れているのが「WorldClassroom」というサービスです。

WorldClassroomは「世界中に1か国ずつ友達がいることが当たり前の社会をつくる」を目標に世界中の教室を繋ぐ国際交流プラットフォームです。アジアを中心とする世界各国の中学・高校を対象に、授業の一環として海外の同世代とのオンライン国際交流の機会を提供しています。

また、生成AIや音声認識技術を用いたスピーキング練習の機能があり、AI英会話や練習回数の記録、スコアリング等を通じて教員の業務負担の軽減にも貢献しています。

現在、WorldClassroomは日本国内260校・全世界では48か国、750校に導入いただいています。

台北市主催のAIスタートアップのピッチコンテントで入賞したり、世界最大のEdTechコンペティション「Glonbal EdTech Startup Award」にも日本代表として出場しており、世界的にも評価を受ける機会が増えています。

シーサーをモチーフにしたキャラクターと一緒に英語学習を進められる

教育現場だけではない「言語の壁」を乗り越えた海外進出

弊社は海外進出の第1歩として、2024年9月に台湾に支店を開設し、本格進出を果たしました。

台湾に進出した理由としては、日本との時差を考慮した物理的な距離の近さ、学校現場におけるICTインフラ基盤が整っている、そして英語教育に力を入れているという点があげられます。

実際に、台湾進出に際して様々な教育関係者の方とお話しする中でも、子どもたちに英語を実践的にアウトプットする場面として、国際交流の場を作ってあげたいという思いを持っている方の多さを体感しました。

また、実際にトライアルで提供してきた台湾の学校の子どもたちのオンライン国際交流の満足度は非常に高く、英語学習のモチベーションが上がった子どもや、異文化理解への関心が高まった子どもの数が増えていることが定量的にも明確に表れたことで、台湾進出がうまく進められたと思っています。

一方で進める上での難しさもあります。台湾における教育政策・制度、教育現場で新しいものを導入する際のプロセス・スケジュールなど、日本と違う点も多くあるというところです。関係者に丁寧にヒアリングをしながら、一歩ずつ進めていますが、お互いに第二外国語としての英語を使ってのコミュニケーションとなるため、ニュアンスなどを含め正確な共通理解が持てているか、都度確認をしながら進めています。また、台湾における教育政策や教育方針の多くは中国語で作成されており、毎回翻訳した上で進めますが、完璧に理解するのには苦労しています。

韓国進出に関しても台湾進出と共通する内容で苦労することにはなると思いますが、今回の経験を生かしてより効率的な対策を考えています。

日本と韓国を英語で繋いでいく

海外進出の第1歩は台湾でしたが、日本との時差を考慮した物理的な距離の近さ、学校現場におけるICTインフラ基盤が整っている、そして英語教育に力を入れているという意味では、韓国も、初期段階から進出を検討している国でした。

実際、既に韓国でも約30の導入校があり、日本の学校とのオンライン国際交流の機会を提供しています。まずはオンライン国際交流に参画する導入校を増やすことが目標です。

ゆくゆくは、AIを活用したスピーキング練習システムのサービス導入まで幅を広げて提供していきたいと考えています。

韓国も台湾同様、英語教育に関しての意識が高い国なので、弊社のサービスに対する需要があると思いますし、日本以外の国の同世代との国際交流の機会も増やしていきたいと考えています。

また、日韓関係は政治・経済的にもとても重要だと思っており、子どものうちからお互いの文化を紹介し合い、両国を良く知って、そこに友達がいるという環境を作ることができれば、今後の日韓の友好関係にも貢献できるのではないかと期待しています。

グループでの国際交流を楽しむ学生たち

揺るぎない国際交流への想いを世界中へ

今後もWorldClassroomを始めとした弊社の様々なサービスで提供される国際交流の機会を、さらに多くの子どもたちに届けていきたいです。

そのためにまずは、日本国内のより多くの学校でWorldClassroomを導入いただくことが最優先課題だと思っています。また、日本での導入校を増やすだけでは海外の学校とのマッチングが難しくなってしまうので、海外においても同じように導入校を増やしていかなければなりません。

特にその中でも、やはり韓国などの時差が少ないアジアを中心に進めていくことを考えています。

さらに、現在は日本と韓国・日本と台湾といった形で、日本と外国を繋ぐサービスになっていますが、今後は、韓国と台湾・韓国とインドネシアといった日本以外の国同士を繋ぐサービスにしていくことも計画しています。


また、将来的には、海外の学生が日本に来る時にオンラインで繋がっていた日本の友達と対面で交流できるような機会提供も加速させることで、より親密に世界中を結ぶことができたらと思っています。

草の根における子どもたち同士の国際交流の活性化を通じて、日本と外国の友好関係を築くきっかけとして、今後も貢献していけたらと思っています。


HelloWorld株式会社 

HP:https://inc.hello-world.city/
WorldClassroom:https://classroom.hello-world.city/
まちなか留学:https://hello-world.city/
まちなかENGLISH QUEST:https://hello-world.city/school/