B4PLAY(ビー・フォー・プレイ) ―イ・ヨンミン代表
NCSoft(韓国内1位のゲーム会社)で開発副チーム長として従事し、PlayNCゲームポータルの構築に従事。その後、Realtimeworlds(GTAを作ったDave Jonesが設立した会社)にて、メタバースサービスの企画に従事する。更に、現代自動車では戦略企画チーム長として活動。2016年には、映画やドラマの進化したデータを構築するテイラーコンテンツを創業し、当時のデータは韓国内の主要メディアやOTT会社(SKB、CJなど)に販売した。2018年には、テイラーコンテンツを米国のOTT会社に売却し、その後、2020年にb4playを創業。
-貴社がどのような会社か教えていただけますか?
私たちはB2CとB2Bに向けにゲームデータプラットフォームを提供している会社です。
B2Cでは、ユーザーはPlayStation(プレイステーション)、Xbox(エックスボックス)、 Steam(スチーム)の3つのプラットフォームのユーザーが持っているゲーム成果に関する情報を収集しています。そしてこれらを元にして、ゲーマー自身が自分がゲームをどれだけうまくやっているかを確認できるリーダーボードシステムを構築しています。
そしてB2Bは、PCコンソールゲームのさまざまなトレンドを確認できるデータセンターを作成しています。
このデータセンターを通じて今プレイが多くなっているゲーム、そして人々の関心の高いゲームを週単位と月単位で確認できる有料サービスを展開しています。
これにより、トレンドの把握が可能であり、各ゲームに関する幅広い情報を入手できます。購入者数や各サービスのフォロワー数、ウィッシュリストの件数、そして価格データについては、私たちが1年間分のデータを有しているため、多岐にわたるトレンドを洞察できます。
-この事業を創業することになったきっかけはなんでしょうか?
創業の動機にはビジネス的な要因もありますが、同時に非常に個人的な理由も存在しています。
私には6歳になる息子がいます。ある日、考えたことがあります。将来、子どもがもう少し大きくなりゲームをすることがあるかもしれない。その際に単なるモバイルゲームではなく、本格的なゲームを楽しんでほしいという思いがありました。そこで、子ども向けのゲームを検索してみました。しかし、私が求めるような子ども向けゲームを見つけることができるサービスは存在しませんでした。
通常、子ども向けのゲームを検索すると、教育的な要素が強調され、例えばウサギや猫がお菓子を食べるような教育ゲームが主流でした。しかし、実際に市販の本格的なゲームは、子どもの年齢に合わせつつ、もっと楽しめるものが多く存在しています。このように子ども向けゲームを適切に検索できるプラットフォームが存在していなかったということが創業の個人的な動機です。
ビジネス的な理由としては、私はb4playを始める前にデータビジネスで事業を展開し、会社を売却した経験があります。その当時のデータビジネスは、主に映画やドラマのデータを構築することでした。このデータは韓国の大手企業に売却しました。その経験から学んだことは、データを迅速に構築することが成功への鍵であり、ビジネス機会を見逃さないようにする必要があるということでした。
現在ゲーム業界では、Netflixがメディア業界を変えたような「大きな変革」が起きています。この変化を牽引しているのはマイクロソフトですが、この変動する環境で適切なデータを構築している企業はまだ存在していませんでした。そのため、私たちがゲームのデータを構築することは、ビジネス的に有望な機会であると考え創業をしました。
-貴社のサービスの強みや特徴を教えていただけますか?
私たちの強みは、先に述べた通り、Steam、playstation、Xboxといった3つの主要プラットフォームに関するデータを収集し、これらのプラットフォームを徹底的に分析してデータを提供している点にあります。
具体的には現在、世界中でこの3つのプラットフォームに関するデータを正確に収集して提供しているサービスはありません。私たちはこれら3つのプラットフォームに関する包括的なデータを収集しており、約80万件にも及ぶゲームタイトルの情報を整理しています。このため、私たちの最大の強みは、主要プラットフォームのデータを一元的に管理し、簡単に検索できるようにしたことです。
また、B2B向けにデータに関する様々なトレンドを示す際にも、例えばサイバーパンクのような特定のゲームが各プラットフォームでどのように利用されているかを始め、販売状況や所有者のプレイ状況といった情報を提供しています。このように主要プラットフォームを横断して詳細なデータを提供することも、私たちの大きな強みと言えます。
-日本市場をどのように見ているのか、そして日本に進出する理由について教えてください。
現在、私たちはPCおよびコンソール向けのデータを扱っていますが、特にPCコンソール市場では日本がグローバルで2位から3位の市場規模を有しており、多くのゲーム開発会社が存在しています。これに加えて、日本には優れた流通企業としてSonyや任天堂などが存在し、これらの企業のデータ需要が高まっています。日本の流通企業とのパートナーシップを築くことで、高品質のデータ提供の機会が得られると考えています。
実際、東京で行われたイベントで日本企業とのミーティングを通じて、日本のゲーム開発会社がユーザー行動のデータに関心を寄せていることを理解しました。このような背景から、私たちは日本市場に進出し、多くのビジネスチャンスを見出すことができると考えています。今後は特に日本に焦点を当てていきたいと思っています。
-最後に、今後の展望やビジョンについてお聞かせください。
ゲーム市場は非常に大きく、技術力も高度に進化していますが、コミュニケーションなどの側面においてまだまだ改善の余地があると感じました。そこで、私たちが現在取り組んでいるのは、ゲーマー向けのLinkedInのようなプラットフォームです。
この新しいサービスでは、ユーザーがゲームを購入し、プレイした履歴を時系列で追跡できるようになります。これにより、ユーザーは自身のゲーミングポートフォリオを整理し、それを基に他のユーザーと対話できるコミュニティを発展させます。これによりゲーマー同士のつながりを深めることができます。将来的には、私たちのメインサービスとして展開し、すべてのゲームを管理できる機能も追加していく予定です。
LinkedInをモデルにする理由は、アメリカでの経験から得たものです。アメリカでは名刺を渡す代わりにLinkedInのQRコードを共有し、そこで関係を築きながら様々な話が展開されています。同様に、ゲーマーコミュニティでも自分のQRコードを共有し、他のユーザーがどのようにゲームを楽しんでいるかを確認できるページが形成されることを期待しています。
現在、B2CとB2Bの両方のサービスは完成しており、B2Cでは強力なパートナーシップを築き、トラフィックを増加させる作業を進めています。一方で、B2Bでは高品質なデータを生成し、ユーザーが即座に収益を上げることを目指しています。
アメリカおよび日本市場に進出し、有望な投資家やパートナー企業との連携を通じて、迅速な事業拡大を図りたいと考えています。成長を遂げる上で最も重要な要素は、既存のゲーム市場だけでなく、新しい形態で変化し続けるゲーム業界における新規プレイヤーの動向に焦点を当てています。例えば、サムスンやNetflixのような企業です。これらの企業が新たにゲーム分野に進出している点に注目しています。
私たちは迅速なパートナーシップの構築を重視し、これらの企業との協力を通じて、市場の変化に先駆けて有望な機会を逃さないことも目標です。