株式会社PlainBagel ユ・ジンジェCEO
ソウル大学で機械航空宇宙工学を専攻し、MIT Sloan School of ManagementでMBAを取得しました。 ストリーミングスタートアップの創業、NewCorp.IncでのMBAインターン経験、そしてMcKinsey&Companyでコンサルタントとして働き、3Dアニメーション制作会社に転職するほどメディア産業に対する情熱が高く、メディア事業Valuechain全般の経験を保有している。
―PlainBagelについて教えてください。
Plain Bagelは2016年に設立されました。主力として提供しているサービスは、メッセンジャーベースのチャット型ゲーム「Picka(ピカ)」です。私たちのビジョンは、メッセンジャーを媒介とした仮想現実プラットフォームを作ることです。以前は「メッセンジャー」という媒体を単なるコミュニケーション手段として捉えていましたが、今ではコミュニケーション手段を超え、個人のネットワークの拡大や生活の一部として発展しています。LINEが日本で人と人とのネットワークを作り、生活や人間関係を作るように、仮想のキャラクターと深い関係を作ることができるのではないかという思いからPickaは始まりました。最初はゲームからアプローチしましたが、様々な分野で成長を続けてきたメッセンジャーを活用して今後はさらに多角的に拡張させることを目指しています。
―創業のきっかけは何ですか?
大学卒業後にネットワークエンジニアとして働き、超高速インターネットの発展を目の当たりにし、2002年に日本アニメーションストリーミングスタートアップを創業しました。 当時は技術とコンテンツが結合し、メディア産業の急激な発展が始まった時期でもあります。このような発展は20年が経った今も続いておりそのような変化はデジタルネイティブ、つまり今のMZ世代が主導してきたと思います。このように今後も新しいメディアコンテンツ、サービスが発展する可能性があると思い、自ら新しいメディアを作ってみたいと思い作ったのが「メッセンジャー」です。メッセンジャーという新しい方法で様々なコンテンツサービスを提供できるのではないかと考え、その第一歩として、Pickaを通じて仮想キャラクターとチャットするゲームサービスを提供することを決めました。
―会社名はなぜ「PlainBagel」なのか?
特別な会社を作りたいという思いから始まったのですが、覚えやすくユニークさを出したいと思っていました。プレーンベーグルは好き嫌いがあまりなく、多くの人に愛される食べ物です。そしてサンドイッチ、クリームチーズベーグルなど、作れる料理も多様ですよね。このように、チームメンバーが自分のレシピを持って様々な料理を作れる会社になればいいなという哲学が込められています。
―Pickaの強みや特徴を教えてください。
Pickaのサービスを象徴する言葉は「バーチャルリアリティ」です。メッセンジャーを通じて仮想現実を作るという哲学を持ってアプリを企画したので、サービスやコンテンツもこれをベースにユーザーに提供できるよう努めています。そのため、よりリアルでまるで現実に存在するような仮想キャラクターを作り、実際のメッセンジャーのようなUIで現実と仮想現実世界の境界を崩す体験を提供しています。
実際にアプリのレビューでは、「キャラクターがリアルで没入感があった」という意見が多くありました。このような部分がチャットボットや既存の他のチャットゲーム、または日本に多く存在する「乙女ゲーム(女性向け恋愛ゲーム)」などのジャンルと差別化できる点だと思います。
私たちは現実と非現実の境界で、現実と同じような仮想現実を作り出すことを目指しており、その理念がユーザーにもしっかり伝わっているということが強みだと思います。
―日本のユーザーと韓国のユーザーの違いはありますか?
実は、韓国に比べると日本での活動が活発ではないので、データが不足している状況ですが、これまでのサービスデータによると、韓国と反応が似ていると言えます。日本のサービスレビューを見ると、韓国と同じように「キャラクターに没入した」「とてもリアルだと感じた」という部分で、私たちがPickaを通して伝えたい意図と特徴がよく反映されていると思います。
―日本市場をどのように見ており、日本進出の理由は何ですか?
日本進出はすべてのコンテンツスタートアップが持つ夢だと思います。日本はアメリカと並んで最も発達した先進的なメディアコンテンツ市場であるため、グローバルサービスを進めようとするスタートアップは必ず注目すべき市場だと思います。しかし、日本はアメリカと違って仮想キャラクターの実用性が非常に高いという点で、とても興味深いですね。バーチャルキャラクターの事業化がかなり発達しており、バーチャルユーチューバーなどの分野の市場規模は非常に大きいです。 仮想現実の中のキャラクターを扱うPickaの完成度において、コンテンツ産業の成熟度、特に仮想キャラクターに対する受容性が高い日本市場での成功は重要な意味を持ちます。そのため、グローバルメディアスタートアップというビジョンにおいて、日本は非常に重要なマイルストーンになることは間違いないと思います。また最近、韓国ドラマやウェブトゥーンなどのメディアが日本でも多くの人気を得ていますが、Pickaが日本進出に成功することで、より多様な韓国コンテンツを繋いでいきたいという欲もあります。
―提供するサービス内容について、さらにご紹介をお願いします。
Pickaは韓国発のサービスなので、韓国版では英語版や日本語版よりも様々な試みをしています。これらの試みを経て成功した部分を海外に進出させようと思っています。例えば、心理テストのような短いコンテンツは素早く消費でき、外部に共有できる部分でマーケティング的なポイントを持っていますし、今回新しくリリースしたコンテンツは生成AIを通じてユーザー自らが作成し使用できる2次創作のための「PickaShorts(ピカショーツ)」というサービスもあります。このように、常に新しいサービスを作ろうと努力しています。日本市場は私たちもまだ勉強中で、韓国において提供している80を超える既存のストーリーも日本でローカライズし、コンテンツとして提供することを目標にしています。
―ビジネスモデルを教えてください。
「ゴールド」と「バッテリー」というゲーム内の2つの通貨を使って収益化をしています。ゴールドはチャット内で特定の機能を使用する通貨であり、バッテリーは従量制で使用できるものです。また、収益化に繋げるため、ウェブトゥーンでよく適用されている「待てば無料」の機能をつけており、より速く次のストーリーに進みたい場合は課金をすれば進むことができるモデルにしています。私たちのサービスの特徴として、ユーザーの回答によりストーリーが変化していくゲームなので、同じゲームを何度も楽しむことができます。最初から新たなゲームをプレイするためにもゲーム内通貨を使用できるようになっています。
―日本進出の際、どのようなメンバーと働きたいですか?
日本に進出するにあたり、段階ごとに求める人材は異なることが予想されます。現在のところ、弊社のコンテンツを楽しんでおり、ファンであることは必須の要素ですね。また、日韓両国の文化をよく理解している方に参加していただきたいと思います。
韓国と日本は地理的に一番近いので、似ている文化も多いですが、異なる部分もとても多いですよね。そのため、両国の文化をよく理解し、Pickaが伝えたい哲学や価値を明確に理解し、それを日本現地に合わせて伝えることができる、そのような能力を持った方が必要です。例えば、単純に日本語能力が高いだけでなく、両国の文化の違いに対する理解度が高く、伝えたい本来の意図を自然な日本語で伝えられるような役割を担ってくれる方と一緒に働けたらと思います。
―今後の計画やビジョンについて教えてください。
日本は内需市場の競争が激しい一方で、コンテンツに対する冷静な評価ができるレベルの高いお客様が多いと思います。そのため、日本では目先の成果を出すよりも、長い目でみてアプローチする必要があることを実感しています。
また、韓国は変化がとても早いのに対して、日本は一度気に入ったサービスやコンテンツを長く消費することを知りました。そして、私たちもそれに合ったサービスを作らなければと思っています。日本のユーザーに気に入っていただけるようなサービスを作ることができれば、グローバル市場でより大きな成長を遂げることができるレベルの高いサービスを提供できると思います。
そのため、今後は日本市場についての深い勉強と様々な試みをしながら、ローカライズを通じて日本のユーザーの心を掴めるよう努力していきます。例えば、コンテンツのローカライズや日本のIPとのコラボレーション、生成AIを使ったサービスなど、様々なことを行う予定です。日本市場は既存事業の拡大という概念ではなく、Pickaというサービスを日本で新たに作るという考えで準備する必要があると思っています。
LINEが日本のユーザーに最も愛されるメッセンジャーになったように、Pickaが日本のユーザーに最も愛される仮想メッセンジャーになることが私たちの究極の目標です。
Plain Bagel Inc. ―ユ・ジンジェCEO
HP: www.pbagel.com/jp
Twitter: https://twitter.com/pickaofficialjp
APP: pickajp.onelink.me/YxRr/6tt6ttpr