Trulite Korea- 代表 ハン・ジョンユン
大学卒業後、株式会社カカオエンターテインメントの海外戦略チームに所属し、シンガポール駐在を経験。その後、GICファンドにおいて投資誘致やIP事業のピッチングに携わる。さらに、株式会社Kakao Daum WebtoonではIP映像化事業統括として活躍し、『梨泰院クラス(六本木クラス)』や『ナビレラ』といったヒット作品の映像化を成功に導いた。また、カカオ初の共同制作作品である『鋼鉄の雨』や、華策影視による韓国ウェブトゥーン初の5つのIP映像化プロジェクトに貢献。さらに、Filmbank Media(WARNER BROSおよびソニー子会社)のアジア事業におけるコンサルティング業務も手掛けた。
-貴社がどのような会社であるか、どんなサービスを提供しているか教えてください。
Trulite Koreaでは、3つのサービスを提供しています。
1つ目は、ウェブトゥーンやウェブ小説を韓国語から8カ国語に翻訳・編集するローカライズ事業、2つ目は、独自のプラットフォーム「Pentacomix(ペンタコミックス)」の開発及び運営、3つ目は、IP制作事業で、オリジナルIPの制作や原作をもとにした二次著作物をIP化しています。
現在、Pentacomixでは韓国のウェブトゥーンをスペイン語にローカライズし、サービスを提供しています。来年初めには韓国語、日本語、英語を追加した4カ国語でのサービス展開を予定しており、さらに夏ごろには中国語も追加し、多言語対応を拡大する計画です。
グローバル展開を拡大しているPentacomix
ーサービスを始めることになったきっかけを教えてください。
ウェブトゥーンプラットフォームは世界中に数多く存在しており、韓国にもたくさんのプラットフォームがありますが、その代表的なものでさえも、成人向けコンテンツや同性愛コンテンツを含むプラットフォームとなっています。
私自身が子供を持つ母親であり、また、クリスチャンでもあることから子供たちや家族全員が一緒に見ることができるウェブトゥーンプラットフォームを作ろうという考えを持ち、これまでになかったクリーンなプラットフォーム、Pentacomixを作りました。
会社設立のきっかけについてお話しすると、私たちのビジョンである「BTS」に繋がります。
「BTS」はそれぞれ、
Share values and profits(価値や利益を共有する)
Be Humble(成長しても謙虚である)
Take care of the weak(弱点を補い、弱者を守る)
という意味を持っています。
世界各国の中でも韓国と日本には才能ある漫画家が特に多いと考えていますが、彼らがグローバル進出を目指す際に大きな壁となるのが「言語」の問題です。
素晴らしい作画に加え、面白いストーリーだとしても母国語以外の言語で表現することは非常に困難です。
私たちが得意とする、ウェブトゥーンに特化した翻訳と編集の技術を活かし、韓国と日本の作家が世界中のファンと出会う機会を作ることで、この課題を解決できるのではないかと思いました。これは私たちの「Take care of the weak」というビジョンに基づいています。
このように世界各国の漫画家が持つグローバル進出の障壁を解決するため私たちTrulite Koreaが設立され、Pentacomixも作られました。
Pentacomixは現在、弊社が翻訳、編集した作品のみを掲載していますが、来年からは作家や制作会社が作品を自らアップロードできるプラットフォームへと更なる進化をしていく予定です。
そして、アップロードされたファイルは様々な言語に自動で翻訳され、ファイルをアップロードするだけで、誰でも世界中の読者により簡単に作品を届けられるようになります。
ウェブトゥーンに特化したAI自動翻訳の技術
-日本や韓国以外の他の国でもサービスを提供している中で、国ごとに好まれる作品の違いはありますか?
私たちは最初にスペイン語でPentacomixをローンチしましたが、南米の場合はファンタジー作品から現代ロマンスやドラマなどの作品もランキングに入っていて、非常に多様な作品が好まれているように感じます。
南米はストーリーがしっかりと作りこまれている作品ならジャンルに関わらず好まれる傾向にあるようです。
また、アジア圏に関しては韓国からスタートを開始しました。韓国ではロマンスファンタジーやゲームファンタジーなど特定のジャンルの人気が非常に高いように思います。
日本ではこれから提供するサービスを通してどのような作品が好まれるのか、調査していきたいと考えています。
-今回の日本進出の最大の理由について教えていただけますか?
日本のコミック市場は世界の中でも最大のマーケットであり、韓国、中国、アメリカを合わせたほどの市場規模を持っています。
そのため、コミックに関連するビジネスをする上で最も可能性の高いマーケットだと考えました。
実際に日本を訪れると、空港・タクシー・地下鉄などいたるところで流れる広告に漫画が使われていて、これほどまでに頻繁に、自然に漫画に触れられる国は世界中で日本しかないのではないかと思いました。
また、私たちの取引先においても日本企業が多く、弊社の売上の約70%から80%が日本での売上でもあるので、日本進出を決定しました。
-今後のビジョンなどがあれば共有をお願いいたします
弊社が提供するPentacomixでは、あるグローバルIP会社と手を組んでキッズ向けのウェブトゥーン2,000本を独占的に連載していきます。2025年5月にはこれらの作品の内、200作品でリリースしていき、5つの言語にローカライズしてワールドワイドに配信していきます。5年後には作品数を2000作品まで増やすことを目標にしています。
キッズ向けウェブトゥーンは通常、10代後半から始まるターゲット年齢層が多いです。
しかし、韓国では、ウェブトゥーンを見始める年齢が小学校1~2年生(6~7歳)のため、通常より少し対象年齢を下げてサービスを提供する予定です。
親の立場からすると、既存のプラットフォームは正直安全だとは言い切れないものが大半です。そのため、親子ともに安心してウェブトゥーンや漫画という文化に触れられるようにデバイスを共有できるプラットフォームを提供していきます。そして、子供たちが楽しむだけでなく、複数の言語を比較しながら同じ作品を鑑賞し、言語を習得できるようなサービスを作っています。
子供たちを含む世界中の皆さんが良いコンテンツを見て楽しみ、少しでも幸せになれるように、昨日よりも今日がもっと幸せになるように貢献できる会社にしていきたいと思います。
-最後に、KORITの読者に伝えたいことはありますか?
元々日本で始まった漫画の歴史も非常に尊重しており、そこから学んでいきたい部分もたくさんありますが、日本でもPentacomixという名前でウェブトゥーンプラットフォームを提供し韓国で始まったウェブトゥーンという文化をもっと広めていきたいと思っています。
また、弊社のサービスに関心を持っていただいているのは読者だけでなく、漫画家志望の方々もいます。そしてそれはもちろん大人だけではありません。漫画家を目指す子供たちに向けても、安心して楽しめる年齢に合ったウェブトゥーンを提供していきたいと考えています。
韓国・日本だけでなく世界中の方々に広く知っていただき、また夢を実現できる場を作るために今後も努力していきます。
引き続き関心をお寄せいただき、ご利用いただけたら幸いです。
Trulite Korea
HP:https://trulite.co