My Sole Storyー代表 ヤン・ジミン

ファッションの本場イタリアのIstituto Marangoni(イスティトゥート・マランゴーニ)にて高級服飾デザインを専攻。流通管理についても学ぶ。
グローバルファッション業界で、様々なブランドとのコラボレーション経験や、グローバル市場戦略について習得したのち、2024年7月にMy Sole Storyを創業。コーヒーかすを再利用した機能性シューズインソールを開発・製造(OEM)・販売。
日本をはじめとするグローバル市場に参入し、さまざまなコラボレーションを推進。ブランドの社会的価値向上に努めている。


My Sole Story創業のきっかけは、靴デザイナーとしての悩みと気づき

弊社My Sole Storyは、コーヒーかす(抽出後のコーヒーの粉)を再利用して、環境にやさしく、機能性のあるインソールを開発・製造(OEM)・販売している会社です。

まず、私がこの会社を設立した経緯について少しお話させてください。
私は、ファッションの本場イタリアで高級服飾デザインを専攻し、主に靴のデザインをしていました。

ファッションが大好きな私は、可愛くてお洒落な靴をデザインすることに心から喜びを感じていましたが、デザイン性の高い靴の多くは、長時間履くと、どうしても足が疲れてしまうんです。女性の皆さんは経験のある方が多いと思いますが、ハイヒールやサンダルなどは、靴擦れを起こしやすいですし、長時間履いていると痛みが出たり、足の血流が悪くなって、ひどく浮腫んでしまったりしますよね。

お洒落だけど、楽に履ける靴は作れないのだろうか。

そんな葛藤を抱えながら、過ごしていたある日、学校の授業を通して世界的有名ブランドSTELLA McCARTNEY(ステラマッカートニー)とお仕事をする機会に恵まれたんです。

今でこそ、世界中で、多くのブランドが、サステナブルやSDGs(持続可能な開発目標)を意識した活動を行なっていますが、まだその概念が確立されていなかった時期から、STELLA McCARTNEYは、持続可能性とファッション性の両方を実現するという経営哲学のもと、ファッション業界の先頭を走っていました。

私はその仕事をきっかけに、「お洒落」という価値と同じくらい「環境にやさしい」という価値が、ファッション業界で重要視されるようになってきていることを知り、環境問題に深い関心を持つようになりました。

そして、「デザイン性の高い靴を楽に履けること」と、「環境にやさしいファッション商品を作ること」の両方を実現したいと考えた私は、靴ではなく、靴のインソールに注目して、2024年にMy Sole Storyを創業しました。

以降、「環境を壊しながらモノを作るのではなく、環境を保護しながら、持続可能な生産にこだわる姿勢を忘れずにいよう」という企業理念を掲げて、活動しています。

ホテルマンや軍人、足を酷使する職業の方に愛用されるインソールを

実は、靴のインソールに注目しようと思った最初のきっかけは、実兄との会話にあるんです。

私の兄は、ホテルマンとして働いています。ホテルマンは、毎日革靴を履いて施設内を歩き回ったり、立ちっぱなしの仕事をしたり、足を酷使する仕事です。

兄曰く、ホテルマンの多くが、慢性的な足の浮腫や痛みに悩んでいて、中には、足の疲労からくる不調によって、ホテルマンの仕事を続けること自体が難しくなってしまう方もいるそうです。

本当に大変なお仕事ですよね。

また以前、軍人の方からもお話を伺う機会があり、軍隊では、通常の勤務中はもちろん、過酷な訓練時にも、常にブーツを着用するため、多くの方が足の疲れや靴の中の衛生面を気にされていることを知りました。

このように、兄をはじめとする、様々な人の足のお悩みストーリーを聞くたびに、足の健康を守るインソールを作る仕事がしたいという気持ちが、だんだんと強くなっていきました。

三大特徴は、高い通気性、消臭効果、優れた耐久性

そうして足の健康を守ることを最優先に開発された弊社のインソールには、3つの大きな特徴があります。

1つ目は、「高い通気性」です。

通気性の悪い靴を履き続けると、水虫などの皮膚疾患リスクが上がります。

弊社のインソールは、履く人の足を皮膚疾患から守るため、130もの通気孔に加え、空気の流れを考慮したサイド設計になっています。内部の空気を自然に排出し、長時間の使用でも快適さを保てるようにデザインされているのです。

少し前に、韓国で軍に勤務する方から、「このインソールは水虫や水ぶくれになることがなく快適だった」と嬉しいフィードバックをいただいたんです。「足を酷使する訓練の時にも、このインソールが足の健康を守ってくれた」という言葉を聞いた時、本当に必要な人に、本当に価値のあるものを提供できる大きな喜びを感じました。

そして2つ目は、「消臭効果」です。

足の裏は、意外と汗をかきやすく、なんと1日でコップ1杯もの汗をかくと言われています。1日中履き続けた靴は、汗がたっぷり染み込んだ高温多湿な環境となり、雑菌が繁殖、それが臭いの原因になります。

特に、革靴やハイヒールは通気性が悪いので、どうしても臭いが発生します。

消臭効果のあるインソールを開発しようと考えた私は、早速調査を始めました。

そして、「コーヒーかす再利用」に辿り着きました。

コーヒーかすには、汗に含まれるアンモニア臭を除去する効果があり、その消臭効果は、活性炭の約5倍以上と言われています。それを活用して靴の中特有の嫌な臭いを抑えることで、革靴やハイヒールだけでなく、運動をする時に履く靴にもお使いいただけるようになりました。

最後に、3つ目は、「耐久性」です。

実は、コーヒーかすには、臭いを除去する効果の他に、優れた耐久性があることも立証されています。

少し前にオーストラリアの研究チームが、コンクリートの強度を向上するために、コーヒー豆のかす利用したというニュースも注目を集めました。

このように、捨てられるはずのコーヒーかすを、再利用したインソール開発は、良い製品を生み出すだけでなく、環境と人間が共存できる未来を作る一助になるのではないかと考えています。

ILS2024に参加し、初めて気づかされた自社の市場価値

昨年12月、東京で行われたILS2024に参加しました。創業以来、初めての訪日でした。

いろいろな業界の方と一度にお会いできる展示会参加は、自分たちの製品の魅力について再認識できる、とても有意義な時間でした。

企業の担当者をはじめ、たくさんのお客様が、「コーヒーかす再利用」について興味を示してくださったり、スポーツ業界の方が、「スポーツ業界でも重宝されそうだ」と高い関心を寄せてくださったことで、自分だけでは気がつくことができなかったインソールの需要を実感できました。

そして、幸運なことに、なんと6社とのパワーマッチングに成功しました。

靴は、毎日の生活に欠かせないものですし、どこの国にも足を酷使するお仕事に就いている方がたくさんいらっしゃいます。つまり、裏を返せば、「インソール産業」は、どこの国にもビジネスチャンスがあるということです。 どんな製品であっても、本当に良いものは、時代が変わっても、必ず市場に残り続けます。

私も、弊社の企業理念に共感し、弊社の製品を愛用してくださる方を一人でも増やせるよう、誠実な姿勢で、長く愛されるインソールを作り続けていきたいです。

自分が開発したインソールが、世のため、人のために尽くされる方の健康に貢献できていると実感できる瞬間は、何にも代えられない宝物。

いろんな市場に出かけていって、いろんな業界の方とお話することで、自分も知らなかった顧客ニーズを知ることができると学んだので、今後も韓国国内だけでなく国際的な展示会には積極的に参加していこうと決めています。

10年後は足専門のヘルスケア企業に成長していたい

私たちは普段、足の健康を特別に意識することはあまりないですよね。

でも足の健康を甘く見てはいけません。

「足は第二の心臓」と言われ、足裏は血液循環のポンプのような役割を果たしています。

そんな足裏に負担がかかり、歩き方が悪くなると、膝や腰にもストレスがかかってしまい、それが全身の不調へと繋がってしまう場合もあります。

また、足の傷から入った細菌ひとつが、人の命を脅かすことさえあります。

立ちっぱなしの仕事や、歩く時間が多い方は、常日頃から自分の足に合う靴を履くように心がけて、足に傷や水ぶくれを作らないように気をつけていただきたいですし、そのために弊社のインソールを活用いただけるなら、こんなに嬉しいことはありません。 

弊社は10年後までに、インソールだけではなく、足の健康を様々な角度からサポートする製品を開発して、足専門のヘルスケア企業に成長することを目標にしています。

日本には、これからも頻繁に来る予定ですので、弊社にご興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡いただけると幸いです。


My Sole Strory
HP:www.msolestory.com