株式会社 Mediquitous  – CBOパク・ハミン

ファッションECプラットフォーム「nugu」の総括ディレクターとして、2017年に日本市場での事業を開始。韓国ブランドが日本で成功できるよう、オンラインとオフラインを融合したバリューチェーンを構築し、日本国内のファッション流通に新たな機会を創出している。

現在は、nuguを日本と韓国のファッションブランドをつなぐプラットフォームへと発展させることを目指し、日本国内のオンライン・オフライン事業を拡大中。韓国および日本市場におけるKファッションブランドの定着を支援する取り組みを進めている。


前回に引き続き、韓国発ファッションプラットフォーム「nugu」を運営するパク・ハミンさんにお話を伺っていきます。

第二弾の本記事では、nuguの運営会社である株式会社Mediquitous(メディクォータス)が2月に買収したSHOPLISTに関するお話しを中心に今後の日本市場での戦略についてお話いただきます。

前回インタビューはこちら👀

買収先としてSHOPLISTを選んだ理由を教えてください。

日本には多くのECサイトがありますが、その中でもSHOPLISTは、認知度も高く、10年以上にわたって日本のEC市場で運営されてきた信頼できるプラットフォームだったからです。

すでに確立されたビジネスインフラやコンテンツが魅力的で、これを活かすことで日本市場での新たな挑戦ができると考えました。

また、長年にわたって蓄積された内部システムのノウハウも大きな魅力でした。物流の面でも、1万坪以上の物流センターが自動化されており、非常に大きな強みがある、と今後の成長を確信しました。

現在のSHOPLISTの取引額は減少傾向にありますが、お話ししたように、しっかりとした基盤があるので、より良いコンテンツとマーケティングを追加すれば、成長のチャンスは十分にあると考えています。

売上減少の最大の要因はコンテンツの不足だと考えていて、特にZ世代などの若い世代に刺さる要素が足りないと感じています。
そういった点を改善するために今後は、より魅力的な商品ラインナップを強化し、マーケティング施策を積極的に展開していきます。

nuguとSHOPLISTは今後どうなっていくんでしょうか?

nuguとSHOPLISTはどちらもファッションECですが、それぞれスタイルやターゲット層が異なります。

nuguは韓国ファッションを中心に、インフルエンサーのスタイリングやブランドを多く取り扱っています。

一方、SHOPLISTは日本のブランドが中心で、よりローカルなニーズに応える形で運営されています。
また、SHOPLISTはファッションだけでなく、カラーコンタクトや化粧品などのビューティー関連商品も扱っています。
今後はさらに韓国アイドルグッズや韓国関連のライフスタイルアイテムなども取り入れ、総合的なECプラットフォームへと進化させていく予定です。
これによって、SHOPLISTの既存ユーザーに新しい楽しみ方を提供すると同時に、nuguの韓国トレンドを取り入れることで、新しい顧客層も開拓できると考えています。

SHOPLISTが持つ日本市場での認知度やインフラを活用し、nuguの強みである韓国トレンドを融合させることで、お互いの足りない部分を補いながら成長させていきたいと思っています。

日本市場における貴社の強みは何ですか?

nuguに関して言えば、日本市場に適応したローカライズが進んでいて、それが他にはない強みになっていると思います。

nuguは韓国ファッションECだと考える方もいますが、日本のインフルエンサーが韓国の製品をセレクトして販売しており、コンテンツは完全に日本向けです。

近年、韓国のファッションスタートアップが日本市場に入ってくるケースがかなり多いですよね。
ですが、nuguは日本のインフルエンサーが日本に合う服を選び・スタイリングしているため、提供しているコンテンツははっきりと違うと言えます。
韓国で流行している商品と日本の人気インフルエンサーが出会い、コラボレーションをしています。

現在、韓国ファッションは流行をけん引していますが、日本のユーザーは取り入れにくいと思っている部分もあるようです。
日本のユーザーの意見を知るためのユーザーインタビューを行う中で、好きなアイドルが着用した服があったとしても、「その服はそのアイドルに似合っているのであって、自分に似合うわけではない」と考える傾向があることに気が付きました。

韓国では、好きなアイドルが着ていて、さらに流行している服なら、似合う似合わないは関係なく「着なくては」と思う傾向が強いので考えてもいない意見でした。

日本の方々はアイドルと全く同じように着こなしたり、新しいスタイルに挑戦することは難しいけれど、流行に乗りたいという欲求はあるんです。
なので、いかにも「韓国」なコンテンツではなく、でも「韓国っぽい」コンテンツを提供し、抵抗感を感じられないようなアプローチをしています。

そういった韓国っぽさと、日本らしさがうまく組み合わさっている点をユーザーは好んでくれているのだと考えています。

会社全体という視点では、これまでにSHOPLISTを含む3つの日本企業の買収で築かれた、日本での事業基盤があるためスピーディーに規模を拡大できる点が強みですね。

ディレクターの選んだアイテムだけでなく、様々なブランドが入店している

今後の計画とビジョンについて教えてください。

事業開始当時と比較するとnuguも会社自体も成長しましたが、まだ成功したとは言えないと思っています。
これまで蒔いてきた小さい種がようやく少し芽を出したところです。
なので、日本市場でこれから取り組んでいきたいことも山積みです。

今年上半期には約60億円の資金調達を完了する予定で、その資金を日本市場に積極的に投資していきます。

最近、韓国ファッションだけでなく、Kビューティーやライフスタイル関連のコンテンツも日本市場に進出しています。
私たちはECプラットフォームとして、そうしたコンテンツを魅力的に発信するだけでなく、マーケティング支援も含めて消費者に届けられる会社を目指しています。

そのためにオンラインだけでなくオフライン展開にも注力していきます。
昨年、韓国の「現代百貨店」、日本の「PARCO」とMOUを締結し、「emis(イミス)」、「Matin Kim(マーティンキム)」、「sienne(シエンヌ)」などの人気韓国ブランドのポップアップストアを支援しました。
今年は大阪万博もあり、日本人だけでなく、日本旅行を楽しむ海外の顧客にも韓国ブランドの魅力を伝える機会が増えると期待しています。

さらに、一時的なポップアップストアだけでなく、長期的な店舗展開の機会も準備中です。
オフライン市場でもZ世代に「面白い」と思ってもらえるコンテンツを提供し、nuguとSHOPLISTの相乗効果を最大限に引き出したいと考えています。

東京・中目黒にあるnuguのプレスルームにて

それと並行して日本のブランドがnuguを通じて韓国市場に進出できるような仕組みも準備していて、実際に、韓国・ソウルの「現代(ヒョンダイ)百貨店」でポップアップストアを展開できる機会を提供する予定です。

こういった取り組みを通じて、日本のZ世代を中心に韓国ブランドを紹介すると同時に、日本ブランドの韓国進出もサポートできるようなプラットフォームを目指しています。

様々な事業を実現するためにも、今年は強い戦力となる人材の採用を強化し、新たなパートナーシップやM&Aの機会も積極的に模索していきます。

最後に、KORITの読者にお伝えしたいことはありますか?

nuguは今年で5周年を迎えました。試行錯誤を重ねながら成長してきましたが、まだまだやるべきことはたくさんあります。
SHOPLISTの買収を通じて、日本市場でのポジションをさらに強化したいと考えています。

また、日本のZ世代は韓国文化に強い関心を持ち、韓国のZ世代も日本のコンテンツを楽しんでいます。日本と韓国は経済的にも密接な関係を持つ国同士であり、こういった流れを受け、今後ますます相互のコンテンツ交流が重要になっていくと考えています。

今後も日本のパートナー企業や優秀な人材とのつながりを大切にしながら、日本と韓国を繋ぐ様々な事業展開を進めていきます。

ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。


nugu
HP:https://www.nugu.jp/

Instagram:https://www.instagram.com/nugu__official/

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