銀行圏青年創業財団 D・CAMP キム・ヨンドク代表
2日に行われた「新韓Future’s Lab Japan Forum」では、日韓のスタートアップエコシステムを担うキーパーソンにインタビューを行いました!
「新韓Future’s Lab Japan Forum」は、11月4日の「新韓Future’s Lab Japan」発足式に先立ち開催された交流フォーラムです。既に日本進出している韓国スタートアップや、支援機関、日本の大企業、VCが登壇し、日本市場についてのインサイトを共有・パネルディスカッションを行ったイベントです。
詳しい内容はこちら⬇️
交流フォーラムの様子:日韓スタートアップの交流を促す「Shinhan Future’s Lab Japan 2022 Forum」が終了
発足式の様子:日韓のベンチャーエコシステムを連結・拡張「新韓Future’s Lab Japan」発足
*D・CAMPは、2012年に19の金融機関が若者の起業支援を通じて雇用創出に貢献するために設立した韓国最大のスタートアップ財団。これまで銀行が共同出資した合計は累計8,450億ウォン(日本円で約850億円)にも及ぶ。「未来への投資」「成長を支える空間」「世界と地域をつなぐ」の3要素をつないで、多様なスタートアップ支援を行う。
‐今回のイベントに期待することは?
韓国と日本は地理的に近いのに、韓国は日本のスタートアップについてよく分かっていません。日本も同様だと思います。これまで日本とは交流も多くあり、韓国は日本から多くのことを学んできました。
スタートアップが出てきて、世代が変わりました。これから韓国の若者たちが日本に進出したり、日本のスタートアップが韓国に進出したり、また協業して一緒に海外に行く場合もあると思いますが、これを進めていくには直接顔を合わせる必要があると思います。
一緒に働くなどの交流をしていく必要があると思いますが、今回のこの新韓Future’sLab Japanの行事がこういった交流をしていくための始めの一歩ではないかと思います。
新型コロナの影響でこれまで直接会えていませんでしたが、今回をきっかけに出会いを雪だるま式にどんどん大きくしていけば、日韓両国にとってWin-Winになると思っています。
‐日本市場のどのようなところに魅力を感じていますか?
韓国スタートアップからみて日本のような魅力的な市場はありません。アメリカは遠いです。シリコンバレーがスタートアップの中心ですが、かなり先進的な企業が多いので競争も激しいのです。
そして、韓国企業は韓国を拠点にすることが一番良いですよね。そう考えた時に、日本は地理的にかなり近いです。会社をしている人であれば地理的な問題がどれだけ大事なことか分かると思いますが、仕事があればすぐ来れます。なにかあれば当日に対応ができるということは大きなメリットです。
そして、日本と韓国は補完的な関係だと思います。日本は技術や事業的にも進歩しているので、韓国は日本から学んできました。そしてまねて、まねたものをさらに発展させてきました。そして、韓国の革新的な部分や、早く行う文化が、日本の企業文化にも何か役に立つのではないかと思っています。
また、日本市場は大きいです。アメリカが一番大きいといいますが、アメリカを西部・東部・南部・中部の4つに分けたときに、日本一つでアメリカの西部と同じ規模だと考えると日本市場は大きいのです。
韓国スタートアップが日本に進出するのは短期的には難しい場合もあると思うのです。海外進出はそもそも難しいですし。ですが、それを乗り越えればこれほど魅力的な市場はありません。
究極的には、両国にとって良いことだと思います。日本と韓国がお互いに相互進出することは、単純に顧客を確保するということではありません。多様なビジネスネットワークができたり、パートナーシップを結んで一緒に事業を行うことができるので、お互いの事業のエコシステムが発展することに役立つと思います。
-KORIT読者や日本のスタートアップエコシステムに関わる方へ
現状、韓国の投資家は日本のスタートアップについてよく知らないと思いますし、日本の投資家たちもまた韓国のスタートアップをよく知らないと思います。
両国の事業エコシステムがミックスしてシナジーを出すには、まず、投資家同士が親しくならなければなりません。ですが、韓国のVCはシリコンバレーがあるアメリカに投資をし、日本も同様の動きをしています。韓国と日本は近いにもかかわらず、投資家同士で交流も多くなく、親しいとは言えません。なので、まずはやく親しくなってほしいですね。VCたちは英語もできる場合が多く、英語で交流することが十分できるはずなので交流が増えるといいなと思いますね。
若い創業者や学生たちに伝えたいことは、自分の国で一生懸命に頑張ることもとてもすばらしいことですが、ひとつの地域にいるよりも、他の国の経験があるとかなり競争力が上がるということです。韓国は国外を考えた時にまずアメリカを考えますが、日本はとてもいい機会になりますし、韓国、日本での経験を同時に持っていることはとてもいいことのように思えます。
日本の若者に対しても同じ話をしたいですね。韓国は遊ぶところも多く、楽しいと思います。そして、ぜひスタートアップで働く方とも会ってみて、若者同士で交流していただきたいですね。
そういった相互の交流を通して、日本の「こつこつと、完璧に」という文化と、韓国の「早く行う」文化が補完的に作用すること願っています。