inabooth(イナブース)-オ・ウンジンCEO
inaboothの創業者兼CEOであり、26歳で初めて起業した。キャラクターIP業界での経験を通じて、複雑なIPライセンスや契約管理の手続き、そして高い参入障壁といった課題を把握した。これらの問題を解決するため、2020年にinaboothを創業し、IPライセンス手続きを簡素化し、高効率な契約管理を支援する革新的なプラットフォームを提供している。
-知的財産を、もっと身近に
弊社の事業内容を一言で言うと、「IP(知的財産)のプラットフォーム」です。
もう少し具体的に申し上げると、IPを利用しようとする企業とIPを持っている企業・クリエイターをマッチングするサービスの運営をしている会社です。
例えば、ある化粧品会社が“商品やパッケージにサンリオのキャラクターを使いたい”と考えたとしましょう。
こういう場合、もちろん勝手に使うわけにはいかないので、サンリオが所有するIP使用に対するライセンスを取らないといけないのですが、この手続きは、想像以上に煩雑なんです。我々のサービスは、まさに、そんな時のためにあります。
IPを使いたい側と、IPを提供したい側が、オンラインを通じて、簡単にマッチングできる便利なシステムです。
IPの活用が、いろんな企業やクリエイターにとって、もっと身近になれば良いなという思いを込めて、2020年に事業をスタートしました。
-“ワンストップサービス”だからこそ生み出せる付加価値がある
弊社の強みは、ズバリ、“ワンストップサービス”であることです。前述の通り、基幹事業は、IPの需要と供給をマッチングするサービスなのですが、ただ仲介をするだけでなく、キャラクターの管理、開発、商品製作、販売、さらには、ポップアップショップの企画運営までできる。これが、私たちの一番の強みであり、競合他社と差別化を図れるポイントだと認識しています。
しかもグッズ商品の製作は、50個くらいの小ロットでも相談可な場合もあり、小回りが利く点もアピールポイントになると思います。
キャラクターのグッズを販売して流通させるようなコマースプラットフォームは非常に多いのですが、弊社のように、全てを一つのプラットフォーム内で完結させることができる会社は、かなり少ないです。
企業やクリエイターの立場で考えれば、一つのプラットフォームで、やりたいことが全て完結するのは、余計な手間が省けるし、我々は、数多くの企業様やクリエイター方々と関わる度に、ニーズやトレンドを知ることができ、IPに関するノウハウを蓄積できます。
先日、日本でもポップアップショップを開催したのですが、キャラクターの人気を肌で感じられて、本当に勉強になることばかりでした。そこでの気づきや改善点は、次の商品製作や販売方法にすぐ活かしていこうと思っています。
このように“ワンストップサービス”だからこそ、元あったIPの価値に、さらなる付加価値をつけることが叶う。本当に理想的なサイクルだと自負しています。
-キャラクター大国・日本への進出は、大きなビジネスチャンス
近い将来、日本にも進出したいと考えています。日本進出の一番の理由は、その圧倒的な市場規模に魅力を感じるからです。
IPに対してロイヤリティを支払って、IPを使用するというビジネスモデルが、日本ではもう既に確立・整備されていて、その市場規模は韓国の10倍以上と言われています。
韓国でも、最近オリジナルキャラクターの人気が上昇しているのは確かですが、それでも日本の市場規模には、まだまだ及びません。
考えてみれば、サンリオやドラえもん、クレヨンしんちゃんなど、超有名かつ世界中で愛されているキャラクターは、日本発祥のものばかり。IP産業も、その人気に比例して、世界トップレベルに盛んというわけです。そしてその事実は、裏を返せば、日本には、韓国にはないビジネスチャンスがたくさんあるということになります。
また、韓国のオリジナルキャラクターが日本で支持されていることも、日本進出の追い風になると考えています。先ほども申し上げたように、日本では、サンリオやクレヨンしんちゃんなど、何十年も愛されている歴史の長いキャラクターの人気があるのに対し、韓国では、最近、個人のクリエイターが作ったキャラクターが割と人気だったりするんです。
それらのキャラクターを心底愛し、商品を求めて、わざわざ韓国に旅行する日本人の方が増えていると事実を知った時、日本進出のニーズは確かにあるなと確信しました。
日本に進出するということは、日本のライセンシング市場の動向を調査したり、日本企業との接点を作ったり、日本語版でのサイト開発を進める必要があったりと、苦労することもありますが、それでも日本に進出することに可能性を感じる部分の方が、ずっと多いです。
これから日本国内でパートナーシップを組める企業様を探し、日本進出を実現させたいです。
-無名なクリエイターの才能や可能性を発掘できる場所
また我々のサービスは、個人のクリエイターに、夢を叶える場所として活用していただける可能性も秘めていると考えています。
最近は、個人でコンテンツを作る人が増え、それで生計を立てている人も多いですよね。SNSなどが普及し、クリエイターの活躍の場は以前より確実に増えましたが、IPにまつわるトラブルが増えているのも事実です。作ったキャラクターを無断使用されることでクリエイターの著作権を侵害されたり、知的財産権や著作権に関する手続きを怠ったが故に、思わぬところで法に触れてしまうトラブルは、国を問わず、多く発生しています。
こうした側面から見ても、クリエイターの権利を守りながら、社会の中にキャラクターの価値を見出すことができる弊社のようなサービスは、まさに一石二鳥と言えるのではないでしょうか。
実際、弊社のプラットフォームに登録している7,500人(※2024年9月現在)のクリエイターのうちのほとんどが、個人のクリエイターの方です。
才能のあるクリエイターが年齢やキャリアに関係なく、IP市場のニーズを知ることができ、企業にアプローチできる機会を得られることは、働き方の多様化が進むこの世の中で、とても意義深く、社会貢献性も高いと思います。
-韓国の国民的サービスに成長させ、世界中に認知されたい
今後の展望としては、まず「IP に関する相談ならinaboothだよね」という、オンリーワンで、代名詞になるようなサービスを目指しています。
少し前に、これまでの努力が実って、韓国で人気のあるIPを独占的に契約することに成功しました。こういう幸運な機会やご縁を大事にして、トライアンドエラーを繰り返しながら、韓国の国民的サービスにしていきたいです。
また、最近ウェブトゥーンの領域にも、確かなニーズがあることが分かりました。ウェブトゥーンは、日本国内でも、かなり人気が高まっています。今後さらに需要が増えそうなので、顧客ニーズを逃さないよう、能動的に行動していかなくてはいけません。既にウェブトゥーン関連の商品製作やポップアップショップの開催が決まっている案件がありますので、まずはその仕事を成功させたいです。
それから、これは本当に基本的なことですが、サイトの利便性やセキュリティ強化には、常に気を遣っています。2023年12月末には、3.0バージョンをリリースしました。
サイト全体をリニューアルして、リリースしたのですが、その結果、前年同期比で加入者が8倍以上に増えました。
我々の最終目標は、IP市場でグローバルな事業展開ができるようになることです。そのためにも、信頼できて、かつ、便利に使えるサイトであり続けられるよう、これからも工夫や改善を重ねながら、誠実に運営していくつもりです。
inabooth -オ・ウンジンCEO
Instagram:https://www.instagram.com/inabooth.jp/