2022年10月、東京で行われた韓国最大のスタートアップ支援NPOであるStartup Alliance主催の「JAPAN BOOT CAMP 2022」に参加した韓国スタートアップから3社のインタビュー記事を公開いたします!
グローバル展開の地として日本市場を選んだ韓国スタートアップは、日本市場をどのように見ているのか、多種多様なスタートアップのインタビューをお楽しみに!
Startup Alliance(スタートアップアライアンス)とは?
Startup Allianceは、韓国のスタートアップエコシステム活性化し、スタートアップエコシステムにいる人々を繋げるために2014年に発足した民間非営利機関です。Startup Allianceは、創業家やエコシステムのメンバーを繋ぐネットワーキングプログラム、海外のエコシステムと交流ができるプラットフォームを提供するグローバル事業、バランスの取れたエコシステム情報を提供するためのリサーチ活動など、スタートアップエコシステムの好循環を作る多様な事業を行っています。
(Startup Allianceホームページ:startupall.kr)
JAPAN BOOT CAMP(ジャパンブートキャンプ)とは?
JAPAN BOOT CAMPは、韓国の有望なスタートアップを日本市場に紹介するグローバルアウトバウンドプログラムです。韓国のスタートアップはJAPAN BOOT CAMPを通じて日本市場を理解し、日本市場へ進出する機会を模索することができます。 また、日本のベンチャーキャピタル、アクセラレーター、大企業など、現地のビジネスネットワーク構築のためのサポートをしています。これまでJAPAN BOOT CAMPに参加した韓国のスタートアップの中には、Hyperconnect、Watcha、ZIGZAG(現Kakao Style)、カンナムオンニなどがあります。
Shopl & Company(シャップル・アンド・カンパニー)
こんにちは、Shopl&Company代表取締役のイ・ジュンスンです。事業を起こす前、会社員として11年間、SAMSUNG(サムスン電子)で中華圏と東南アジアの店舗管理業務をしていました。当時現場に特化したソフトウェアが必要だと切実に思っていましたが、適した製品を見つけることはできず、自分で事業を始めることとなりました。会社員として働く中で、アジア地域(台湾、香港、東南アジアなど)でサムスン電子の海外店舗管理の経験をしながら、現場の業務のデジタル化に苦労しました。この問題を解決するためにさまざまなソフトウェアを探しましたが、結局適切なツールが見つかりませんでした。会社を辞めてから最初の2年間、いくつかのB2Cアイテムを試しましたが、満足のいく結果は出せませんでした。そんな中、「自分がよく知っている問題を解決する必要がある」というアドバイスをもらい、会社員時代に経験した問題点を解決することに着目し、2017年末からShopl(シャップル)の準備を始めました。Shoplは、店舗業務の特性に合わせて店舗で必要な多様な機能を1つにまとめた「店舗業務協業ツール」です。
ーShopl & Companyはどんな会社ですか?
「Shopl & Company」は、店舗業務をデジタル化するためのB2B SaaSソフトウェアを開発する韓国のスタートアップです。店舗の業務協業ツールであるShopl(シャップル)と、現場の施設管理ソリューションであるHADA(ハダ)の2つのソリューションを提供しています。現在、36人が勤務しており、過去3年間で毎年200%の成長を続け、売上の約70%が海外で発生しているなどの実績があります。
ーShopl & Companyが提供するサービスはどのような強みと特徴がありますか?
現場にいるスタッフがさまざまなソフトウェアを使わずに、Shopl1つで店舗で必要な大部分の業務を遂行できるようにしたことが差別化されている点です。店舗での仕事の性質上、出勤してからさまざまな種類の業務を行いますが、(例:店舗販売員の場合、通勤、スケジュール、チェックリスト、各種レポートの作成、新商品研修、顧客クレーム対応、店舗展示の在庫調査、競合データ収集など)既にそれぞれの業務別にかなり専門的なソフトウェアがありますが、現場ではさまざまなソフトウェアが混在している状況です。
その結果、企業は、1) ソフトウェアのコスト、2) トレーニングの難しさ (店舗スタッフは勤続期間が短い)、3) データ分散と統合管理の難しさについて不満を持っています。特に、人件費水準が高くない地域や業種では、複数のソフトウェアを使用している場合があり、高額な使用料の負担が大きくなる傾向があります。さらに、特定の機能に焦点を当てたソフトウェアは非常に高度な機能を備えていますが、その複雑さから現場スタッフのトレーニングが必要となり、管理者にとっても負担となります。特定の機能だけに焦点を当てたプロフェッショナルソフトウェアのレベルを実現することは難しいですが、Shoplのメリットは、店舗で求められるレベルの機能をオールインワンで実装されたことだと言えます。
ーどんな顧客がShoplを好んでいますか?
Shoplは店舗スタッフのスケジュールとタスクを管理し、すべてのコミュニケーションをサポートします。特に、従業員がトレーニングなしで使えるようにシンプルなデザインになっているので使いやすいです。リーダーは、管理する組織や職場の重要な内容をShopl1つで簡単に確認することができます。
この便利さから、Shoplの顧客ロイヤリティは非常に高いです。2019年にサムスン電子のメキシコでスタートし、現在サムスン電子のグローバル子会社9社で使用されています。新型コロナウイルスの影響で困難はありましたが、2021年後半から再び香港やハンガリーなどに広がっています。ローンチ後の有料顧客の離脱率は0%で、ユーザー満足度が高いです。韓国では、ロッテ百貨店、新世界百貨店、CHANEL KOREA、大韓航空などの民間企業だけでなく、ソウル市、仁川国際航空、釜山ファシリティコーポレーションなどの公共機関でも利用が増えています。
ー「HADA 」は2021年にリリースされました。どのようなサービスで、強みはなんでしょうか?
HADA(ハダ)は施設の点検ソフトウェアです。現場の業務に従事している際に、施設点検に対するニーズがあることに気が付きました。工場のような大規模な施設向けの施設点検ソフトウェアは既に存在しているにもかかわらず、比較的簡易的な施設点検(清掃、消火器、車両点検など)は紙で行われているのを見て、これをQRシールでデジタル化できるソフトウェアを作りました。施設検査に関わる人が比較的高齢でデジタルに慣れていないことを考えて、アプリのダウンロードや会員登録などのプロセスをすべて省き、意図的に簡略化することが初期の普及につながりました。昨年1年間のベータ運用でビジネスの可能性が確認され、2022年に別途社内チームが結成され、10月には公式サービスを開始しました。主に流通機関や公共機関から初期の顧客を確保しており、現在の無料サービスを2023年から有料サービスに切り替える予定です。
ー日本市場をどのように見ていますか?
日本は現場の天国だと聞きました。現場スタッフへの依存が基本となっている国、そして、今だに多くの部分でデジタル転換に対する需要が高い国ということで、弊社が逃してはならない市場だと考えています。2022年10月、日本のスタートアップエコシステムに私たちのサービスを初めて披露しましたが、VCだけではなく潜在顧客やパートナー会社の反応がとても良く、日本国内でもB2B SaaS企業の内、店舗現場を対象としたサービスが存在していることを知り、嬉しく思いました。現在、日本企業がDX転換を単なるスローガンとしてだけでなく、実際に企業が達成すべき課題として見ているということです。
ー次の計画や目標は何ですか?
マーケティングよりも製品開発に重点を置いてきましたが、既存のユーザーが転職先の企業で弊社のソフトウェアを導入することで口コミが広まり、毎年2〜3倍の成長を続けています。もちろん、今年の11月以降には、マーケティングを通じて企業やサービスを少しずつ宣伝する努力もしていますが、景気低迷は負担です。来年は世界経済が縮小すると予想されるため、店舗業務のデジタル化への関心が下がる可能性があると思っています。しかし、店舗業務のデジタル化は変化しにくい大きな流れだと考えているので、時間をかけて挑戦し続けるつもりです。
日本では、リファレンス顧客を確保することが優先事項だと考えているので、協力してくださる企業を探しています。日本でのサービス成功事例を作り、より多くの日本企業に自信を持って紹介したいと思います。現在、ShoplとHADAはどちらも日本語サービスを提供しており、現地には日本語が可能な職員が常駐しています。今年に続き、来年も日本での展示会を計画しています。私たちのサービスに関心のある企業は、どんな提案も受け付けているとお伝えしたいです。
Shopl & Company(シャップル・アンド・カンパニー)
会社HP(日本語): https://jp.shoplworks.com/
HADAウェブサイト(日本語): http://jp.hadaworks.com/
LinkedIn アカウント:https://www.linkedin.com/company/shopl-company/
その他のお問い合わせ:support@shoplworks.com
画像提供:Shopl & Company