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クラウドセキュリティの重要性と可能性を世界に広めるTatumSecurityの挑戦|TatumSecurity-ヤン・ヒョクジェ代表

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TatumSecurity -ヤン・ヒョクジェ代表

大学時代、物理学を専攻したヤン代表。コンピューター技術の本質を極めるセキュリティソリューションに強い関心を持ち、2020年TatumSecurityを創業。多数のスタートアップ創業経験の他に、第一金融圏クラウドセキュリティコンサルティング経験、インフラ診断コンサルティング経験を持つ。


-需要が増え続けると確信したクラウドセキュリティ事業

弊社は、今韓国で急成長しているクラウドセキュリティプラットフォームのスタートアップです。

もう少し具体的に申し上げると、クラウド環境でサービスを提供する企業や団体の情報保全を担うクラウドセキュリティを担っています。我々は2020年に弊社を設立しましたが、実は、最初からセキュリティ事業を立ち上げようと考えていたわけでも、クラウドセキュリティに対して特別な問題意識を持っていたわけでもありませんでした。

当時、別の仕事のプロジェクトを進める中で、クラウドセキュリティ界隈が思っていたよりも、手をつけやすい分野だということを知ったんです。比較的新しい分野で、市場もそんなに大きくなく、我々が持ち得る技術や知見を使えば十分に勝負できることが分かりました。

政府機関や企業が完全なデジタル環境に移行し続け、情報はクラウドから流れていく現代の世の中で、この分野は、これからかなり需要が増えるんじゃないか、深く開拓する意義があるんじゃないかと確信し、一緒に仕事をしていたチームメンバーと、すぐに会社を設立しました。

 

-どの産業群にも需要がある、汎用性の高さが魅力

今や、セキュリティに関する脅威は信じられないほど複雑化し、攻撃者は、あらゆる手段を使って、セキュリティを脅かしてきます。

特にクラウド上では、すべてのコンポーネントに24時間365日リモートでアクセスできるため、クラウドセキュリティが脆弱だと、蓄積しているすべてのデータが一気に危険にさらされます。クラウドセキュリティ対策をしない企業や機関は、常にデータ侵害の不安に悩まされ、それは「お客様の機密情報を安全に管理できない」「コンプライアンスを維持できない」などの大きな信用問題に繋がっていきます。個人情報や会社の機密情報は、何よりも“高い”んです。

弊社のサービスは、どの産業群にも需要があり、金融圏、保険事業、公共サービス、イーコマースなど、様々な場所で導入されています。

特に金融圏のお客様には、弊社ソリューションの優秀性を高く評価していただいています。規制が最も厳しいと言われている銀行の審査もクリアし、韓国5大銀行(KB国民・新韓銀行、ハナ銀行、ウリ銀行、NH農協銀行)全てが、弊社のソリューションを導入しています。

この導入実績こそ、弊社のソリューションが社会で信頼されていることを証明してくれるものだと思います。


 

-TatumSecurity最大の武器は、“人財”

 弊社が、ここまで急成長できている理由は、間違いなく“人財”にあると思います。人財開発には、かなり力を入れています。セキュリティソリューションというものは、IT業界の中でも、本当に扱いづらく難しい領域です。

 いわゆるファッションテックや、アドテックのように、一般的に社会の広範囲に浸透し、たくさんの人の目に触れるようなものではなく、むしろ、人の目に触れないほど、その存在価値が高いと言えるような領域なのかもしれません。

秘匿性が高い情報を扱うことも多いため、専門知識の他に、高い倫理観を持ち合わせている人間を雇うことが重要です。弊社には、尖った専門知識を持ち、セキュリテイ業界を知り尽くしたスペシャリストがたくさんいます。

 2019年韓国情報技術研究員のホワイトハッカー養成プログラムで優秀な成績を収めた創業メンバーの他、米国で勉強したのち、ITの本場シリコンバレーで実務経験を積んだ開発者や、韓国軍サイバー部隊出身者、世界的大企業サムスンのセキュリティ担当出身者などの精鋭が揃っています。

彼らの経験や知見があったから、このスピード感で成長してこられました。

 

-セキュリティ市場動向に合わせた、使いやすさを追求

弊社ソリューションの強みは、なんといっても、使いやすさです。

世界には、弊社と同じように、コンプライアンス機能があって、レポート作成ができるクラウドセキュリティソリューションが、数多くあります。でもその使いやすさまで、本当に追求できているかは、また別の問題です。

弊社のソリューションは、クリックひとつでレポートを作成することができたり、とにかくユーザーの手間をひとつでも減らせるように工夫されています。

 また、国や地域によって、セキュリティ市場の風潮は違うし、抱えている問題も少しずつ違うんですね。我々のソリューションは、マニュアルを重要視し、規定の多い日本のセキュリティ市場動向に注目して開発されている部分が多いです。それが一番の強みと言えますし、間違いなく、日本のセキュリティ市場とは、かなり相性の良いソリューションだと自負しています。


-開発時に最重要視するポイントは、“ユーザー体験”

また、ソリューションを開発するときに、一番重要視していることは “ユーザー体験”です。例えば、企業のセキュリティ担当者と言うと、セキュリティに詳しくて専門家並みの知識があるというイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、実際はそうでない場合がほとんどです。だからこそ、ユーザー目線の使いやすさが重要になってきます。

そんなに詳しい知識がない人でも、簡単に理解でき、運用できるサービスに近づけていくのが我々の使命ですし、その出来栄えが、導入実績に比例していくものだと思っています。

 

-近々日本へ進出予定、世界的なソリューションサービスを目指す

今後、最終的には、もちろん世界中に認知してもらえるようなソリューションに育てていきたいですが、そのためにも、日本への進出は必要不可欠だと考えています。

日本に進出するメリットは、大きく2つあります。

 1つ目は、やはりその圧倒的な市場規模。

私が市場調査をした限りでは、世界のサイバーセキュリティ市場の中で、日本は3番目に大きいです。日本に進出すれば、韓国国内だけで活動するより、より大きなチャンスに恵まれると確信しています。

 韓国国内での実績を元に、まずは日本国内のフィンテック企業などにアプローチし、存在を知ってもらいたいです。また、同時に日本国内のVC の皆さんとも接点を持つために、積極的かつ精力的に活動していきたいです。

2つ目は、地政学的なメリットです。飛行機で約2時間の距離にある日本と韓国。

物理的な距離も近いですが、国民性や文化面での親和性も高いですよね。私の周りを見渡してみても、日本への留学経験があるなど、日本に馴染みのある人が、すごく多いです。

先ほども申しましたように、弊社のサービスは、日本のセキュリティ市場の動向をよく研究して開発されていますので、期待感は大きいです。せっかく進出するのだから、まずは、世界トップレベルを誇る日本のセキュリティ市場で、確かな爪痕を残すことを目標にしたいです。

また、日本で本格的に事業を定着させるためには、日本語ネイティブの方が必要不可欠。近い未来に、弊社のミッションに興味を持ち、理念に共感してくださる日本人の仲間をお迎えできたら嬉しいですね。


TatumSecurity -ヤン・ヒョクジェ代表

HP:https://www.tatumsecurity.com/

/media/島津優実
記事を書いた人
島津優実

1989年生まれ。KORIT編集部取材記者、フリーランス通訳者・翻訳者。 会社員時代、都内の日本企業にて弁護士、医師、税理士のインタビュー記事を多数執筆。 現在は、複数の韓国企業で通訳や翻訳を担当。対応言語:韓国語、英語。

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