- 専門家座談会で課題挙がる
- AXが遅れれば競争力後退
- データ標準化が最優先課題
世界が医療人工知能(AI)の覇権戦争を繰り広げる中、韓国でもデータの標準化、規制改革といった対応が切実との声が高まっている。世界最高水準の電子義務記録(EMR)の普及率から、医療IT先進国に挙げられる韓国だが、AI転換(AX)に遅れれば、医療サービスの競争力まで後退し得ると指摘されている。
5日(ラスベガス現地時間)、世界最大の医療ITカンファレンス「HIMSS 2025」で電子新聞が主催して開かれた専門家の座談会では、政府、病院、企業などはAXに代弁される新たなパラダイムに韓国が国を上げて注力すべきとの主張が出された。
今年のHIMSS 2025での話題は断然「AI」だ。生成型AI技術が医療ソリューションに本格導入され、診療はもちろん、行政、病院の業務環境全体が新たに定義づけされている。これに合わせてグローバルIT企業はもちろん、伝統的な医療機器・ソリューション企業までAIを売りにし、医療IT産業の地形まで大幅に変えている。
実際、Microsoft(マイクロソフト、MS)は今回のイベントで大型ブースを設け、AIヘルスケア秘書「ドラゴンコパイロット」を公開した。音声認識、自然言語処理、生成型AI技術などを活用して患者-医療スタッフの会話をテキストに変換し、依頼書の作成など、業務処理も自動化されている。特にデータの標準化、カスタマイズされた文書作成機能まで提供しており、医療スタッフの業務革新を支援している点に関心が集中した。
会場では、老舗EMR企業のEpic(エピック)と医療機器企業のIntuitive Surgical(インチューティブサージカル)もAIを活用したカスタマイズ型疾患分析、皮膚組織の状態を分析した手術アシスタント機能など、デジタル革新機能をこぞって披露した。
一方、韓国はAIベースの医療映像情報読み取りソリューションを除けば、医療AIの全領域で歩行レベルと指摘されている。政府が医療サービスの価格を統制する状況で、AIとの連結などのデジタル転換支援は強力な個人情報規制が障壁となっている。

HIMSS 2025の会場全景
ソウル大学病院のパク・ジュンシン診療副院長は「現在、AI技術は電子健康記録(EHR)領域などですぐに使用可能なほど、技術の成熟度が高い」とする一方、「多様な情報規制やクラウド導入の障壁などで対応が容易ではない状況だ」と話した。
AXのため、データの標準化を最も喫緊の課題に挙げた。EMRなど、互いに異なる病院情報システムを使用しているため、病院ごとにデータが異なる様式で集まり、これは大規模なビッグデータの活用を難しくする。結局、海外の医療機関や協業、ソリューションの開発にも障壁となる。データ標準のための政府支援を拡大し、これを研究やソリューションの開発に活用するよう、個人情報保護法、医療法など、規制の改善が急務だ。
ケミョン大学トンサン病院のチョ・チフム医療院長は「韓国は過去には医療IT分野で先を進んでいると自信を持っていたが、標準化されていないデータや規制などで、現在は東南アジアや南米よりも遅れを取りかねない恐れが出ている」とし、「データの標準化で効用性を高めることを最優先し、クラウドなど革新技術が導入できるよう、規制を柔軟にしなければならない」と強調した。
<画像=米ラスベガスで開かれた世界最大の医療IT展示会「HIMSS 2025」で、MicrosoftはヘルスケアAI秘書「ドラゴンコパイロット」を公開した。>