NAVER(ネイバー)とKakao(カカオ)が今年、新規人工知能(AI)サービスをさまざま展開する。NAVERは検索・コマースなどコアサービスにAI技術を本格適用する。Kakaoは今年、対話型AIメッセンジャーサービスであるkanana(カナナ)を核に、KakaoTalk(カカオトーク)、Kakao Map(カカオマップ)など他のサービスにもAI技術の適用を拡大する。Kプラットフォームを代表する両社が今年、AI技術を活用して収益化を本格的に実現させる計画だ。
◇NAVER、検索・コマース・広告にAIサービス適用
NAVERは早ければ来月にも検索に新規AIサービス「AIブリーフィング」を適用する。続いてコマースにもAIブリーフィング技術を適用し、今後、ブログ、カフェなど他のサービスにもAIブリーフィングを適用する案を検討中だ。コアサービスにAI技術を適用する「On-service AI(オンサービスエイアイ)」戦略の一環だ。
AIブリーフィングは検索結果をAIが要約し、ソースを表記して示すサービスだ。単純に回答を要約する既存の生成型AIに代わって、ブログ、カフェ、ショートフォームなど、NAVERの幅広いコンテンツと連動させる点が特徴だ。当初、NAVERは今年上半期中に検索でAIブリーフィングを公開すると明らかにしていた。だが、最近は、早ければ来月にもAIブリーフィングを公開できる段階になった。

NAVERの「AIブリーフィング」の活用の様子<資料:NAVER>
NAVERは早ければ4月にも公開予定の「NAVER Plus Store(ネイバープラスストア)」のアプリケーション(アプリ)でも超パーソナライゼーションを目指し、多様なAI技術を適用する計画だ。検索に適用したAIブリーフィングを用いて、商品検索時に必要なときはいつでもユーザーに商品に関する情報を提示する。また、ユーザーのショッピング検索を支援するショッピングナビゲーター「AIショッピングおすすめ」機能を導入する。この機能は、ユーザーの隠れた探索意図や脈絡、ショッピング履歴を総合的に分析し、具体的な商品情報が入力されていない場合でも、希望する商品を見つけられるようサポートする。物流サービスの革新とともに、生成型AIが検索効率を高め、ユーザーの滞在時間を拡大する役割を果たす見通しだ。
NAVERは利害広告など他のサービスにも既にAI技術を適用している。AIを組み込んだ広告プラットフォーム「AD Boost(エイディーブースト)」に対する非公開ベータテスト(CBT)を実施している。年内に順次機能をアップデートする計画だ。NAVERの関係者は「広告にAIを導入して効率化する様々な機能を順次披露する予定だ」と明らかにした。
◇Kakao、OpenAIとタッグ組み、新規サービス…コアサービスも機能拡大
Kakaoは今年OpenAI(オープンエイアイ)の生成型AI応用プログラミングインタフェース(API)を活用して新規AIサービスを発表する。KakaoTalkにAIを組み込んだような対話型メッセンジャーサービスに、Kakaoプラットフォームを行き来させる「AI秘書」サービスも新規に発表する計画だ。
Kakaoはまず対話型AIサービス「kanana」を今年上半期中に発表する。4月に、一般人を対象としたCBT形式で公開する可能性もある。現在、Kakao内部ではkananaのテストを行っている。OpenAIのAPI技術を活用してサービスの質を高めている。
KakaoはAIと一対一で対話する既存のサービスとは異なり、グループ対話室でもAIを活用できるという点でkananaに競争力があると見ている。OpenAIのChatGPT(チャットジーピーティー)など、他の対話型AIサービスでは、AIとユーザーが1対1の会話を行っている。kananaは1対1の対話はもちろん、グループ対話でもAIを活用できるため、業務用として活用価値が高いとの見方が出ている。
Kakaoの関係者は「(kananaは)数十人が共通に活用できるAIを機能として取り入れた」とし、「報告書などを要約したり、議事録をまとめることができる」と説明した。

Kakao kananaエックスのイ・サンホ成果リーダーが22日、ソウル近郊の京畿道龍仁市のKakao AIキャンパスで開かれた「if kakaoAI 2024」で、Kakaoの新規人工知能(AI)サービス「Kanana」について紹介している。 <資料:Kakao>
Kakaoは今年、OpenAIと共同で開発する「AI秘書」サービスも発表する。KakaoTalk、Kakao Map、Kakao Tなど、Kakaoのプラットフォームを行き来してパーソナライゼーションのサポートをする見通しだ。まだ具体的なサービス名は公開していないが、年内のリリースを目指している。
その他、KakaoはコアサービスであるKakaoTalk、Kakao Mapでパーソナライゼーション推薦を強化した「AI Mate(メイト)」の機能を組み入れた。AIを活用したユーザーカスタマイズ型プレゼント・商品おすすめサービス「AI Mateショッピング」を今年上半期中にKakaoTalkチャンネルで活用できるようアップデートする。ユーザーが求める脈絡に合わせて場所を推薦する「AI Mateローカル」も導入する。この機能はKakao Mapなど他のサービスにもつなげる。
◇AI覇権競争の中、サービス開発に注力…政府支援が必要
市場ではNAVERとKakaがAIサービスを本格的に始めたことを受け、収益実現の可能性について注目している。フングク証券は10日、NAVERの2024年実績発表以後、事業部内の人工知能(AI)の影響を確認したと評価し、今年の新規AIサービスに対する期待感を示した。KIWOOM証券(キウム)証券はKakaoについて、AI企業消費者間取引(B2C)サービスの形態が非常に具体的に見られると評価した。しかし、グローバルビッグテックと競争するためには、競争力あるサービスを開発しなければならないとの声も出ている。政府の政策・制度の支援も、規制より振興中心につなげていかなければならない。
漢陽(ハニャン)大学ファイナンス経営学科のカン・ヒョング教授は「NAVER、Kakaoだけでなく、スタートアップや研究機関がAI技術を開発して商用化するためには、政府レベルのR&D支援が必要だ」とし、「クラウド、半導体、データインフラなど、AIエコシステム全般を支援する政策が重要であり、特に、過度な規制よりも、技術開発を促す柔軟な規制サンドボックスを運営し、AIサービスの実験が可能になるようにしなければならない」と話した。