新年、韓国の情報通信技術(ICT)企業が日本と中東市場で新たな成長エンジンを確保する。

大韓貿易投資振興公社(KOTRA)東京貿易館によると、日本は2021年にデジタル庁を新設するなど、デジタル転換に拍車をかけている。公的機関や民間企業のインフラを5年以内に飛躍的に向上させる計画だ。

IT専門調査会社のIDCジャパンの発表によると、日本のITセキュリティ支出額は2024年に1兆円を初めて超え、2027年には1兆2,488億円に達すると予測している。

特に、Jiransecurity(ジーランセキュリティ)は長い間、日本市場に力を入れてきた。現在、4つのメールセキュリティソリューションを日本に提供し、メールセキュリティソリューションの累積顧客は1万5000社に達する。毎年2倍以上の成長を目指し、日本の現地法人であるJSECURITY(ジェイセキュリティ)と緊密に協力していく方針だ。

PIOLINK(パイオリンク)は2004年に日本支社を設立した後、昨年9月に日本に現地法人「PIOプラットフォーム」を設立した。韓国製品で日本のゼロトラストのエコシステムを広げる計画だ。PIOLINKは昨年、海外売上高65億ウォン(約6億9,953万円)を達成し、今年は100億ウォン(約10億7,600万円)に達すると予想される。

日本のセキュリティ市場におけるユーザー支出額の予測資料(出典:IDC 2024)

AhnLab(アンラボ)は2002年に日本法人を設立し、スマートフォンセキュリティソリューション「V3モバイル」を中心に、モバイルセキュリティ市場でパートナーとの協業を強化している。中東など新規市場への進出も活発だ。

AhnLabの関係者は、「昨年4月、サウジアラビアのサイバーセキュリティおよびクラウド供給企業SITE(サイト)とサイバーセキュリティ合弁法人(JV)の設立契約を締結した」とし、「合弁法人Rakeen(ラキーン)が正式に発足し、来年の本格的な事業成果が期待される」と話した。

生成型人工知能(AI)企業のAllganize(アルガナイズ)は、三井住友銀行(SMBC)、野村證券、大和証券など主要金融会社はもちろん、外務省、防衛省まで顧客に抱えている。昨年は通信会社のKDDI、NTTドコモなどの顧客社を追加で確保し、この成果をもとに日本で株式上場にも挑戦する。

AI検索企業であるWrtn(ルートン)は、日本でコンシューマー生成AIサービスを提供し、2024年11月時点で月間アクティブユーザー(MAU)45万人を達成した。日本の宮崎大学教育学部附属中、東京学芸大学と生成AIを活用した授業を行うなど、日本の教育界との生成AI協力の基盤も拡大している。Wrtnは、新年に100万MAUを達成する計画だ。

韓国企業の海外進出の新たな前哨基地として浮上した中東でも成果が期待される。

NAVER Cloud(ネイバークラウド)は、NAVERとともに、最近、サウジアラビアをはじめとする中東市場に力を注いでいる。ソブリンAIをはじめとする自社技術の普及に向け、第4四半期にサウジアラビアに中東統括法人を設立する。これに先立ち、昨年3月にはサウジアラビアのアラムコデジタルと「中東・北アフリカ(MENA)地域のデジタル革新のためのパートナーシップ業務協約(MOU)」を締結した。

クラウド管理サービス事業者(MSP)のBespin Global(ベスピングローバル)は、アラブ首長国連邦(UAE)のデジタル企業e&Enterprise(イーアンドエンタープライズ)から1,400億ウォン(約150億6,400万円)の投資を受け、中東に合弁法人を設立した。ドバイの自動車プラットフォーム企業のドバイカー、中東最大のブックストアであるザリールブックストア、中東のグループ会社であるブカティルグループなどを主要顧客社として確保した。

MEGAZONE CLOUD(メガゾンクラウド)はサウジアラビアの石油会社アラムコと提携した。韓国AI、クラウドモデルでサウジアラビアのデジタル転換を支援する。

MEGAZONE CLOUDの関係者は、「韓国でクラウドのニーズを満たしてきた技術力、ノウハウが中東市場で強みとなっている」とし、「中東はデジタル転換の速度が比較的遅く、中東特有の政治と文化を考慮した管理が必要なため、韓国で培った競争力が新年の中東で光るだろう」と話した。

原文:https://www.etnews.com/20241220000136