「スピード配送」は、Eコマース企業の重要な競争力の一つとして定着している。これは、製品をできるだけ早く受け取りたいという消費者のニーズを満たすだけでなく、再購入の促進効果や、在庫維持費用の削減など、様々な要因が相互に作用した結果だ。

Coupang(クーパン)が2021年にNASDAQへ上場し、当時の時価総額100兆ウォン(約10兆円)を記録した背景には、「今日注文すれば明日届く」サービスである「ロケット配送」の影響が大きい。ロケット配送は、流通・物流市場の新たな基準となり、Coupangの市場支配力を維持する要因となっている。

Coupangの物流システムは、大規模なEコマース事業向けに設計されているが、一方で、中小規模の物流センターや倉庫を運営するブランド企業や中小規模事業者(SME)に最適化された配送ソリューションも求められている。

そのようなニーズに応えるスタートアップとして注目を集めているのが、フルフィルメントサービス「Poomgo(プンゴ)」を運営するDOHANDS(ドゥハンズ)だ。フルフィルメントサービスとは、物流専門企業が販売者に代わって、商品が物流倉庫から顧客に配送されるまでの全プロセスを処理する「物流一括代行サービス」を指す。

フルフィルメントセンター12カ所、全国翌日配送サービスを提供

DOHANDSの企業概要/画像=イム・ジョンチョル

Poomgoは、ブランドの成長段階に応じたサービスを提供するのが特徴だ。 △物流インフラ(センター・設備・ミドルマイル)、△3PL(サード・パーティー・ロジスティクス:入庫・保管・受注・ピッキング・梱包・配送・CS処理)、△注文処理の自動化、△グローバル展開の支援まで、物流業務全般を行う。

DOHANDSは、京畿道と忠清南道に12カ所のフルフィルメントセンターを展開しており、顧客企業に全国単位の翌日配送サービスを提供している。特に、自社開発した運営管理ソリューション「Poomgo Now」は、企業の特性や状況に応じて最適なフルフィルメントサービスをサポートしている。

DOHANDSのパク・チャンジェ代表は、「Poomgo Nowは、効率的なフルフィルメント運営に必要なOMS(注文管理システム)、WMS(倉庫管理システム)、LMS(配送管理システム)を統合した物流自動化ソリューションだ。顧客企業が製品開発や販売に専念できるように支援している。」と述べた。

さらに、「160以上のオンライン販売先とのリアルタイム注文連動により、複数のフルフィルメントセンターから同時に出荷できる機能も開発した。」とし、「複数の配送会社を一括で処理したり、配送の割り当て順序を調整する機能など、高度な連携技術も導入されている。」と説明した。

NFAに加盟…「到着保証」サービスの品質向上へ

「NAVER到着保証」専用のフルフィルメントセンターとして運営されている陰城地域のPoomgoセンター/写真=DOHANDS提供

DOHANDSは、NAVERがスマートストア販売者の物流問題を解決するため、2021年に発足したフルフィルメント協力ネットワーク「NFA(ネイバーフルフィルメントアライアンス)」に加盟した。NAVERは、様々な物流企業と提携するNFAを通じて、各販売者に合ったフルフィルメントサービスを提供している。

NFAはCoupangに対抗するためのモデルであり、「到着保証」サービスなどを通じて迅速な配送を実現している。DOHANDSは、NFA専用のフルフィルメントセンターを設置し、到着保証サービスの品質向上に努めるとともに、スマートストア販売者の在庫管理・保管・配送など物流業務を代行している。

パク代表は、「同じ販売先で販売していても、『スピード配送』のタグが付いていたり、スピード配送に関する訴求点(購買意欲を高めるアピールポイント)がある場合、月間売上が最低17%から最大300%まで増加することが実際のデータで確認されている。」と述べた。

さらに、「最も重要なのは、販売者の業務を自動化しているという点だ。これにより、今まで販売者がExcel作業に費やしていた時間を、より付加価値の高い業務に使い、組織の規模も抑えることができる。」と付け加えた。

顧客企業の海外進出を支援…物流のパラダイムシフト

DOHANDSは昨年、「日本5日到着保証」をはじめ、韓国では「週7日当日配送」や「冷蔵・冷凍専門フルフィルメント」などを導入し、サービスの範囲を美容、健康、機能食品、生活用品などの日用消費財(FMCG)に拡大した。

この成果をもとに、DOHANDSは昨年、過去最高の売上433億ウォン(約43億7,000万円)を達成した。前年に続き、2年連続の黒字だ。パク代表は、「外部投資を受けるためのIR活動は行っていない。自社の営業利益だけで事業を拡大する資金が調達できている。」と述べた。

また、Poomgoの成果について、「物流サービスのパラダイムを変えた。」とし、「従来の物流は、安さを追求するだけのものであったが、Poomgoは顧客会社の売上向上と海外進出を支援するサービスとして、物流の新しい考え方を提案し、価値を生み出している。」と強調した。

DOHANDSは、顧客企業の迅速な配送を支援するため、サービスを拡充した結果、運営コストが増加したにもかかわらず、2023年から今年までの3年間、顧客企業の配送費単価を凍結している。これは、NFAの到着保証商品を含む全体の配送に反映され、一年間適用される。

提携企業を通じて運送業務を行うフルフィルメント企業の特性上、配送費の引き上げ分は、単価に反映されるのが一般的である。しかし、DOHANDSは顧客企業の費用負担を減らし、価格競争力を確保するために配送費の凍結を決定した。

パク代表は、「事業初期から顧客企業と共に成長することを目標に、一緒に困難を乗り越えてきた。Poomgo Nowを活用したコスト削減により運営費の増加分を相殺し、ソリューションを継続的に高度化を続けることで、さまざまな面で顧客との相互成長を追求していく。」と述べた。

「日本5日到着保証」サービスをさらに強化

DOHANDSは、総合物流企業「国際エキスプレス」と日本向け物流サービス強化に向けた業務提携を結んだ。 (左から)国際エキスプレスのナ・スンド代表とDOHANDSのパク・チャンジェ代表/写真=DOHANDS提供


DOHANDSは、公式パートナーであるFedEx(フェデックス)との単独提携を通じて、世界220カ国への安全配送を保証している。また、通関問題の対応、関税処理、輸出実績データの登録など、全般的な物流プロセスを担当している。

今年はグローバルビジネスをさらに活発に推進し、韓国ブランドの海外進出を積極的に支援することを目指している。特に、日本の現地パートナーとの協力を強化し、「日本5日到着保証」サービスの配送期間を4日、3日へと徐々に短縮する計画だ。

パク代表は、「韓国の化粧品ブランドや健康機能食品企業のグローバル進出に対する需要が高い。」とし、「中国発のEコマースプラットフォームの影響で、韓国市場は厳しくなり、成長が鈍化している。そのため、顧客会社は海外進出を切実に求めている。」と話した。

続けて、「韓国では、NFAを活用して差別化されたフルフィルメントサービスを提供し、日本では『到着保証』サービスで市場での競争力を高めている。韓国内でのスピード配送とグローバルサービスの拡大に注力し、顧客企業と商品購入者が共に利益を享受できるよう、物流の革新を進めていく。」と強調した。

<画像=DOHANDSのパク・チャンジェ代表/写真=チェ・テボム記者>

原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2025031005071785312