風邪をひくと喉が腫れて声が変わるように、病気の人と健康な人の声には違いがある。しかし、喉や声帯に関係のない疾患であれば、病気を認識するのは難しい。最近、認知症や糖尿病、心不全など様々な疾患を声だけで予測・診断するAI(人工知能)技術が続々と登場し、注目を集めている。
19日、関連業界によると、耳鼻咽喉科専門医のシン・ジョンウン代表が設立したVOINOSIS(ボイノシス)が、声で認知症を早期発見する技術を開発した。20年以上にわたり難聴患者を主に診察してきたシン代表は、声の変化に伴う脳の機能低下パターンを発見し、これを基に、音声バイオマーカーを利用した疾患予測・診断AI技術を開発したという。
この技術は、精度も優れている。昨年開催された「アルツハイマーAI判別世界大会」では、87%の精度で認知症患者を判別し、1位を獲得した。さらに、昨年米国で開催された「スタートアップ・ワールドカップ」には韓国代表として参加し、準優勝に輝いた。
VOINOSISの関係者は「最近、HYUNDAI(現代自動車)と実証実験を終え、大韓航空やHanwha Ocean(ハンファオーシャン)など大手企業ともPoC(概念実証)を進めている。」とし、「今年末か来年初めを目標に、音声を活用した認知症診断ソリューションを正式にリリースする計画だ。」と述べた。HYUNDAIとはドライバーの脳の疲労度を測定する技術、大韓航空やHanwha Oceanとはそれぞれ飛行機のパイロットや船舶乗務員の体調を確認する技術の開発を進めている。
声だけで診察が受けられる「音声聴診器」を開発する企業も登場している。漆谷慶北大学病院の神経外科准教授パク・ギス代表が率いる「NEOPONS(ネオポンス)」だ。聴診器で体内の音を聞いて健康状態を確認するように、音声聴診器も声で健康状態を診断できるアプリケーションだ。同社によると、このアプリケーションは言語分析を通じて脳卒中などの言語関連疾患を約95%の精度で判別することができるという。現在は、言語の発達障害を持つ幼児や認知症を患う高齢者を対象に、声で病気を予測するプラットフォームを開発している。
海外でも声を利用して病気を診断する様々なAIモデルが登場している。カナダのヘルスケア企業Klick Applied Sciences(クリック応用科学)は、声で2型糖尿病の疑いがある患者を判別するAIモデルを開発した。後天的に発症する2型糖尿病は、インスリンの分泌自体には問題がないものの、その働きに問題が生じることにより血糖管理が難しくなる病気で、代表的な慢性代謝性疾患である。初期に特別な症状がないため、今まで早期発見が難しかった。同社によると、音声データを分析し、男性86%、女性89%の精度で糖尿病の疑いのある患者を判別できたという。
この他にも、英国のBlueskeye AI(ブルースカイAI)は、顔の筋肉や声の変化を捉え、アルツハイマーやパーキンソン病などの疾患をAIで迅速に診断する技術を開発している。KTが投資した米国のスタートアップ「Sonde Health(ソンドヘルス)」は、声でうつ病や呼吸器疾患、認知症、アルコール中毒の有無まで判別する技術を開発している。
デジタルヘルスケア分野に専門的に投資しているあるベンチャーキャピタルの審査役は、「体に異常が生じると声の発声や発音、呼吸に影響が出る。これを分析するAI技術の発展が急速に進んでいる。」とし、「韓国の医療関係者も声で肺の病気や心不全など、様々な疾患を診断する技術を開発しており、今後もさらに関連企業が増えるだろう。」と話した。
<声で様々な病気を予測・分析する韓国内外のスタートアップ/画像=イ・ジヘ>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024111817050061446