現実と仮想の境界崩すXR、新概念のマーケティング手段として脚光

現実と仮想の境界崩すXR、新概念のマーケティング手段として脚光

先端IT技術が発展し、産業界のマーケティング戦略も足並みをそろえるように進化している。NFT、メタバースなどの新技術とパラダイムが既にマーケティングトレンドとして位置づけられている中、生き生きとした実感型コンテンツを作るクロスリアリティ(XR)技術が注目されている。

XRとは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)すべてを合わせた技術だ。VRは360度映像やコンピュータグラフィックスで制作された空間内で現実とは完全に分離された体験ができ、ARは現実世界の上にコンピュータグラフィックスで情報とコンテンツを表示する。

XRはこの2つの技術を個別に使用したり混合して活用しながら、現実と仮想の相互作用を強化し、その境界の区別が難しい拡張された現実を創造する。

単純購買より意味のある消費とパーソナライゼーションされた経験を重視するMZ世代が消費の主軸として浮上し、XRはユニークな経験マーケティングコンテンツとして脚光を浴びている。

自社IPとXRを組み合わせて生き生き感と没入感に優れた実感型コンテンツを制作し、差別化した顧客経験はもちろん、テック企業としてのブランドイメージの向上、製品やブランドに対する顧客の忠誠度向上などの効果を得ることができる。

△「私の姿が『非常宣言』のポスターに」… 「XRポスター」

直感的な使い方と一目で見られる結果物で、全年齢層で好評なXRポスターは、映画配給会社が欲しがるマーケティングアイテムになった。

XRポスターは映画「パラサイト 半地下の家族 モノクロ版」や「パイレーツ 失われた王家の秘宝」など、興行作品の宣伝イベントに登場し、マスコミとSNS上で話題を呼んだことがあり、現在、メガボックスCOEXの映画「宇宙+人」の宣伝にも活用されている。

最近公開された「非常宣言」も、ソウル市内の永登浦（ヨンドゥンポ）のタイムズスクエアに位置する4DX宣伝ブースでXRポスター体験ゾーンが設けられている。

FXGear（エフエックスギアー）はユーザーをポスターにリアルタイムで合成し、観客が映画の主人公と一緒に撮影できるような没入感を提供する体験型コンテンツ「XRポスター」を制作するスタートアップだ。

XRポスターはFXGearの独自技術を適用し、別途にグリーンスクリーンがなくてもユーザーを各テーマに合った背景映像やイメージにリアルタイムで合成できる。ユーザーは主人公たちの前後左右を行き来し、好きな構図で写真や動画撮影が可能だ。

これは、機器がユーザーと俳優の間の3D空間を認識し、ユーザーの位置を分析して遠近感を反映させた自然な姿で合成するためだ。また、従来の無人フォトプリントサービスやファッション・スポーツ業界で主に使用される拡張現実方式のソリューションとは異なり、ユーザーの後ろ背景まで合成可能な高い技術自由度で差別化に成功した。

今後、XRポスターは映画界を越えて他の公演、展示分野でも活用されそうだ。

△仮想世界のランウェイを見てショッピング

ファッション業界でもXRマーケティングに乗り出している。CASTELBAJAC（カステルバジャック）、FILA（フィラ）、Peaches.（ピーチス.）、Tchai Kim（チャイキム）など4つのブランドは、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)の制作支援を受け、XRファッションショーを企画して披露したことがある。

フランスのエッフェル塔や雪山、宇宙空間など各ブランドのコンセプトに合う3次元仮想空間を背景に、実際のモデルが登場し、ランウェイを歩く姿がオンラインを通じて配信された。消費者が製品を立体的に確認できるAR技術のサービスとともに、リアルタイムで購買が可能なライブコマースとも連携した。

△再開発の未来見せるブランド館も登場

また、XRコンテンツを通じて特別なオフライン空間を作ったりもしている。

 ソウル中区のセウン財整備促進地区（セウン地区）の開発を主導しているハノ建設グループは、自社のブランド館「セウンブロックフラッグシップハウス」にXR体験館を開設し、セウン地区の変わる未来を実感的に見せている。

ここでは訪問客が足を運ぶ度に区域別に新しく入る建物が壁と床にXRで再現され、まるで未来のソウル都心の真ん中を歩いているような体験ができる。これにより開発事業に対して肯定的なイメージを高め、効果的に情報を伝達することはもちろん、需要が限られたモデルハウスを多様な消費層が訪問できる複合文化空間に生まれ変わらせたとの評価を受けている。

FXGearのチェ・グァンジン代表は、「XRポスターは、経験消費とパーソナライゼーションされたコンテンツ、新しい体験を重要視する消費トレンドに最適化されたソリューションだ。エンドユーザーである消費者だけでなく、IPとブランドを消費者のソーシャルチャンネルとオンライン上に広めようとしている企業にも効果的なマーケティングソリューションとして認められ、多くの協業が進められている」と話した。

写真：映画「非常宣言」のXRポスター体験ゾーン 

原文：https://mirakle.mk.co.kr/view.php?sc=51800015&year=2022&no=666496