韓・米・欧のカーボンニュートラル企業が選んだ「EEIO」
韓・米・欧のカーボンニュートラル企業が選んだ「EEIO」
炭素排出量の公示義務が拡大され、企業が自主的なESG経営に取り組むなど、カーボンニュートラルに向けた動きが加速している。グローバルリサーチ機関のフューチャーマーケットインサイトによると、グローバル炭素会計市場規模は2022年現在で13兆ウォン(約1兆4,401億4,780万円)を超え、2032年には131兆ウォン(約14兆5,062億3,000万円)規模に成長すると予想される。
従来はスコープ3(サプライチェーンの全過程で発生する炭素排出量)の計算の際、個別サプライチェーン全過程の環境負荷を計算するLCA(全過程評価法、Life Cycle Analysis)方法論が主に使用されてきたが、データ入力の誤りや欠落によって結果値に大きな差が発生するなどの問題が起きる恐れがあり、物理的な時間とコスト負担が大きいという限界もあった。
これに、グローバル代表炭素会計企業は最近、企業の税務・会計データを活用してLCA方式に比べ少ない時間と費用で炭素排出量を把握できるEEIO(環境産業連関分析、Environmentally-Extended Input-Output Models)方法論を採用する傾向にある。
米国の炭素会計企業「Watershed」、成長可能性が認められ、大規模な資金調達とユニコーンに浮上
米国の炭素会計ユニコーン企業であるWatershed(ウォーターシェッド)は、EEIO方式を活用して企業が排出する炭素排出量を測定、管理するSaaSソリューションを提供している。
Airbnb(エアビーエヌビー)、Spotify(スポティファイ)などのグローバルテック企業をクライアントとしているWatershedは、成長可能性が認められ、昨年1月に7千万ドル(約94億6,000万円)規模のシリーズB資金調達に成功した。累積投資額1億3,000万ドル(約205億9,700万円)を達成し、ユニコーンの仲間入りを果たした。
Watershedはカーボンニュートラルのために必要な企業のデータを収集し、分析結果に基づいて計画、実行、進行状況を追跡することはもちろん、自動的に更新されるダッシュボードを提供。企業のメンバーがカーボンニュートラルに参加できるよう支援している。
Watershedは、上位計算(High-level)と細部計算方式(Granular)の二つを相互補完的に活用している。コストベースの計算の場合、正確な計算のために専門家がWatershedのEEIO係数を継続的に更新することが特徴だ。
フランスの「Greenly」、EEIO方法論を活用したソリューションで50人以下の小規模企業に人気
カーボンニュートラル市場をリードする欧州でもEEIO方法論が注目されている。フランスに本社を置く炭素会計プラットフォームGreenly(グリーンリー)もスコープ3の計算にEEIOの方法論を活用し、支出ベースと活動ベースの炭素排出量計算の両方を費用(支出額)ベースで行っている。
Greenlyは50人以下の小規模企業が使用するのに適したサービスを提供している。スコープ1~3の排出量測定、消費ベースの排出量管理、Amazon Webサービス、Shopify(ショピファイ)などの分野別の汎用ITサービスとの連結、セクターベンチマークデータ、社員教育サービスなどを年間1,000ドル(約14万6,000円)前後で提供し、コスト負担が大きい中小企業に人気を集めている。
Greenlyを初めて使用する企業は、まず会計と財務データを連動させることから始め、財務と会計APIソリューションを提供するCodat(コダット)を活用して様々な金融データとの連動もサポートしている。
2PMLabInc、韓国で唯一EEIO方法論を取り入れたカーボンニュートラルSaaSソリューション「greenflow」提供
韓国では、アーステックスタートアップの2PMLabInc(オファドトゥーシーラボ)が運営する「greenflow(グリーンフロー)」が唯一、EEIO方法論とLCA方法論の両方を活用した炭素排出量計算サービスを提供している。様々な方法論をすべてサポートし、企業の炭素会計の必要目的に応じて効果的な炭素排出量の計算が可能だ。
greenflowを活用すれば、従来使用されていた化石燃料やエネルギー使用量など、面倒で複雑な単位のデータ入力過程を省略し、企業の税務・会計データだけで簡単に炭素排出量を測定することができる。これまで炭素管理の死角地帯に置かれていた中小企業もgreenflowを通じて合理的なコストで炭素排出量を簡単に計算できるよう提供することで、炭素管理の普及を早めたと評価されている。
2PMLabIncはこれに加え、「炭素排出量計算方法及びそのシステム」の特許を出願し、より正確な炭素排出量データを提供するために努力している。greenflowのEEIOベースの「簡易」計算は、従来のEEIOよりもさらに簡単で迅速な計算をサポートし、直感的な炭素排出量の確認が可能なため、企業は自社事業場をはじめ、サプライチェーンの全過程で炭素排出量管理が急務の部分を素早く把握し、戦略的に管理することができる。
2PMLabIncは、製造、ファッション、環境、データなど様々な産業群の企業と協業し、各企業の炭素発生データを分析し、サービスを高度化していく方針だ。今後は、細分化されたコストデータの入力項目を徐々に増やしながら、より正確な炭素排出量の計算をサポートする。また、サプライチェーンごとのデータを入力して測定する方式(LCA)もさらに高度化し、多角的なスコープ3対応を支援していく計画だ。
原文:https://platum.kr/archives/212633
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