ちょい事情通の記者はスタートアップが世界を見る「窓」です。スタートアップを愛する第3者の目線から、とても忙しないスタートアップ業界を見逃さないよう記事を集めてお届けします。
1. 株価が上がるNAVER...理由は検索?中東?AI?
実際、NAVER(ネイバー)は独特な会社です。世界において、アメリカの企業ではないにもかかわらず、AIに毎年数千億円単位の金額を投資するローカル企業はほとんどありません。日本においても珍しいです。NAVERの年間R&D金額は日本の最大通信会社であるNTTと同様の水準です。売上はほぼ10倍の差がありますが。
最近、停滞していたNAVERの株価が上昇傾向にあります。理由は誰も知りません。ある人は、NAVERが中東進出に成功するという期待感からだと言い、また誰かは検索広告が復活したからだと言い、また別の人はショッピングアプリを分離するという決定が正しかったと言っています。ただ、誰もAI投資が実を結ぶ時だとは言っていませんね。OpenAI(オープンAI)とGoogle(グーグル)が主導するAIにローカル企業が対抗すること自体が無謀なことかもしれません。それでも、NAVERにはスタートアップ起業家のようなDNAが残っているのではないかと、期待しています。
歴代最大の営業利益を上げたNAVER…AI検索・ショッピング・サブスクリプションを強化する
[原文] 「空間AIがチャンス」…NAVER、サウジ国営企業と合弁会社
今年4月、サウジアラビアの首都リヤドで開催された中東最大のIT展示会「LEAP 2024」に設けられたNAVERのブース/聯合ニュース
2.「LLMによる死」...AIの登場で死ぬ企業たち
ChatGPTの登場により、没落する企業が続出するという話は多くありました。エコノミストが整理しましたね。3つの企業の事例です。
Chegg(チェグ)はもともと学生の課題解決を助ける無料のAIだったのですが、株価が99%下落したそうです。最近、従業員の20%を解雇しました。ChatGPTの登場により、学生たちは即座に回答を得られるようになり、無料のChatGPTに移行しました。その結果、Cheggは50万人以上の加入者を失ったと言われています。
開発者プラットフォームであるstack overflow(スタックオーバーフロー)もトラフィックが半分に急減したそうです。エンジニアたちがコーディングの問題を解決するため使っていた会社ですが、Microsoft(マイクロソフト)のAIに押されています。イーロン・マスクは「LLMによる死」とX(急Twitter)で語ったそうです。みんなが「隙間産業」はあると言っていますが、LLMの拡張はすべてのエコシステムを飲み込むことができるという警告ではないでしょうか。 RWSも崩壊の危機です。1958年に設立された翻訳サービス企業です。ChatGPT以降、株価は57%下落しました。
エコノミストは「生成型AIで自社は安全か」を見るポイントをいくつか提案しています。まず、エラーの影響がどれほど大きいのか。言い換えれば、生成型AIは多くのエラーがありますが、そのエラーが致命的な分野であれば、自社はまだ安全だということです。例えば、大学生が「宿題の歴史エッセイ」を提出する際に生成型AIを使用すると、実際に少し誤りがあったとしても、その大学生は大きな問題にしません。しかし、医療処方箋に誤りがあると、その薬局は致命的です。つまり医療処方箋はまだ安全です。
カスタマイズサービスの有無です。テキストの翻訳やコードの作成などの作業は、AIが即座に可能です。しかし、「人材採用」のような細かいカスタマイズサービスはまだ安全です。逆転の発想で、AIを活用して生き残る方法もあります。Duolingo(デュオリンゴ)は今年の9月にAIキャラクターLilyというビデオチャット機能を発表しました。
[原文] What ChatGPT’s corporate victims have in common
今年5月、アメリカのシアトルで開催されたMicrosoftの年次開発者会議「Build(ビルド)」でスピーチをするOpenAIのサム・アルトマンCEO。
3.第3四半期のグローバルVC投資は7年ぶりに最低...日本だけ増加
投資に関する憂鬱なニュースです。今年第3四半期のグローバルベンチャーキャピタル(VC)投資が7年ぶりの最低水準に落ちたそうです。10億ドル以上の大型取引も減少しました。第2四半期は955億ドルから第3四半期は701億ドルに減少しました。アジア・太平洋地域のVC投資は第3四半期に156億ドルで、7年ぶりの最低水準だそうです。例外は日本で、180億ドルのVC投資で、むしろここ12四半期で最高水準だそうです。
韓国ベンチャー業界は年末に「ポートフォリオ減額問題」で頭を悩ませているといいます。投資ポートフォリオの中で、完全債務超過や休業・廃業、倒産、営業停止のスタートアップに対する投資金を減額処理するという話です。減額が大きくなると、VCが受け取る報酬が減るという構造です。今年の第3四半期において、上場企業14社の中で前年と比較して管理手数料が減少したのは9社です。
[原文]SamjongKPMG(サムジョンKPMG)、「第3四半期のVC投資は7年ぶりの最低…AIに集中」[投資360]
[原文] 実績が非常事態に陥るVC...スタートアップ経営悪化にベンチャーファンド減額続く
[原文] 韓 VC 大型ファンドが相次いで…ベンチャー市場を盛り上げる [Geeks]
4.TossもNASDAQ...じゃあMUSINSA(ムシンサ)は?
Toss(トス)を運営するViva Republica(ビバリパブリカ)がアメリカのNASDAQ(ナスダック)に行くそうです。実は、Tossが韓国で上場すると言ったとき、むしろ「なぜNASDAQではないのか」という反応が多かったです。
Tossは今年の2月から韓国国内上場を検討していましたが、結局は断念するようです。Tossは直前の投資ラウンドでは9兆ウォン(約9900億円)に近い企業価値だったため、上場は当然10兆ウォン(約1.1兆円)台の企業価値を望むでしょうが、韓国の株式市場では簡単ではない状況です。coupang(クーパン)とWebtoon Entertainment(ウェブトゥーンエンターテインメント)に続いて、Tossもアメリカに行きますね。
[原文]NASDAQ行を選ぶToss、coupang・NaverWebtoonの悪材料があっても評価されるか[マーケットイン]
[原文]NASDAQに挑戦するToss···時価総額10兆(約1.1兆円)の評価を受けることができるのか
[原文]プットオプションの期限が迫るMUSINSA、企業価値はどこまで?
Viva Republicaのイ・スンゴン代表