起業家にも、スタートアップから降りるべき瞬間がやってきます。あるいは、スタートアップという生命体は、設立数年目には「より良い代表」を探すこともあります。残酷ですね。起業家は直感します。スタートアップが私より優秀な「専門家」を探しているんだ、と。起業家はペインポイントを解決しようとスタートアップを立ち上げますが、実はほとんどの場合、既存産業と何らかの接点があります。専門家が存在します。スタートアップの2期は専門家を必要とすることもあります。
ファン・ヒヨン代表は2015年12月opensurvey(オープンサーベイ)に参加しました。高年俸で有名なMcKinsey(マッキンゼー)からスタートアップのCPOに移り、翌年1月に代表に就任します。opensurvey第2期のスタートです。ファン代表はその後、株式を取得し、大株主になります。
opensurveyは2010年代初めに「モバイル調査」という当時としては革新的な手法で登場したスタートアップです。 「チキン屋の社長も市場調査ができる新しい市場」を夢見ました。起業時の夢はまだ実現できていません。しかし、McKinseyの専門家を船長にして、小さなピボットを繰り返しました。現在、売上高は150億ウォン(約16.3億円)を超えました。グローバル展開を準備中です。
スタートアップに専門家の補充は必須です。しかし、どのように補充すればいいのでしょうか。時にはその専門家はCEOでもある時もあります。ファン・ヒヨン代表は珍しいケースです。スタートアップでは「専門家の補充方法」を伝える経験者であり、主人公です。逆に「専門家集団」、つまり「ペインポイントの解決策を持ってきたのに、既存市場の理解度が低くて残念なあるスタートアップ」に入りたい「専門家の誰か」には、一度聞いてみたい事例です。ファン代表は、大企業や有名企業のチーム長・役員が知らないスタートアップを経験してきたためです。
今日のインタビューは堅苦しいです。あえて表面的に面白い逸話を謳うわけでもなく、「専門家の補充」を考えているスタートアップや、「スタートアップへの参加」を考えている専門家にとっては良いチュートリアルでしょう。

opensurvey ファン・ヒヨン代表 /opensurvey
目次
1.浦項(ポハン)工科大学出身の研究専門家がスタートアップに参加
-前後をカットして聞いてもいいですか?なぜopensurveyを買収したのですか?
「最初は買収者として入ったわけではありません。私の人生はopensurvey以前と以後で分かれます。2016年1月からopensurveyを担当して運営しています。その前はMcKinseyでマーケティングエキスパートとして働いていました。マーケティングエキスパートは、企業が消費者動向や分析が必要な戦略プロジェクトを行う際に、データをもとにサポートする役割です。そんな仕事を9年くらいしていました。文脈的には大して変わらないんです。その前は韓国Pizza Hut(ピザハット)でマーケターとして働いていました。ブランドマネージャーとインサイトマネージャーを兼任する立場でした。実際のデータを使ってブランドを育てるための戦略を立てることですが、やはり文脈上、大きくやることはあまり変わっていないと思います。」
-消費者を分析して、企業の戦略プロジェクトをサポートする仕事なので、McKinseyのマーケティングエキスパートやオープンサーベイやアップの本質は同じですよね?いわば、入社当時、この分野の専門家だったんですね。
「工科大学を出ました。 (※ファン代表は浦項工科大学化学工学科で学士と修士を取得。マーケティングとコンサルティングの専門家ですが、革新的な技術のスタートアップに非常に近いのは、このような工学部出身であることが大きいようです)。最初に仕事を始めたのは、工学部の修士課程を卒業した2001年からです。修士論文のテーマは、薄型テレビを作る素材です。フィールドエミッションをご存知ですか?」
「フィールドエミッションという方法でフラットパネルテレビを作る実験ベースの研究をテーマに修士号を取得しました。当時のフィールドエディションという技術の特性上、広い面積に適用するには限界がありました。小さなデバイスではありますが。私の研究は、フィールドエミッションの素材をカーボンナノチューブに置き換えるというテーマでした。フィールドエミッションは昔のブラウン管テレビが非常に初期の技術です。」
-「ブラウン管を薄くし、広くする」というのは、当時としては最先端の次世代技術?
「はい。フィールドエミッションが電気を強く撃ち、スクリーンにある蛍光体を刺激して光を出すんです。ブラウン管は撃つソースが1つです。1つのソースで広い面積を撃とうとすると、画面とソースの間に距離があってこそ、映すことができます。昔のブラウン管テレビが分厚かった理由です。私の研究は、このソースを画面上のピクセルの数だけ複数作ろうというものでした。より短い距離から、映して光るようにしようというものです。」
-残酷な話ですが、修士課程で市場競争で失敗した技術を研究したんですね。
「当時は失敗しませんでした。失敗したというより、適切な活用先が見つからなかったと思います。当時、研究の中心はカーボンナノチューブでした。この素材をフィールドエミッションに応用することと、次に電池・蓄電池の素材として使うこと、この2つを研究してきました。
「2001年、博士号ではなく、会社に行かなければならないと思いました。外の世界が気になって。研究していた分野以外にどんな仕事があるのだろう。最初に担当したのは、(モニターグループでの)消費者データの収集・分析でした。当時は、消費者データを収集するためにアンケートを持って一軒一軒訪問していた時代です。通りすがりの人を捕まえなくてはなりませんでした。当然、時間もお金もかかります。しかし、この方法では、「本当にこの人が店の中に入って棚を見たときに、いろいろな商品の中からどれが一番目立つのか、どれが一番買いたいのか、なぜそう思うのか」を尋ねる方法がありませんでした。」
「本当に消費者が購買の意思決定をする瞬間を捉えたり、あるいは長期間にわたって購買の意思決定を追跡してパターンを見つけることは難しいです。なぜなら、(戸別訪問や路上で人を探す際に)同じ人に何度もコンタクトを取って聞くことはできないためです。非常に多くの制約がありました。2013年に初めてopensurveyと仕事をすることで目が覚めました。」
2.買収契約書はなかった
-繰り返しの質問ですが、「なぜopensurveyに来たのか」という質問の答えは、opensurveyで可能性を見つけたということですか?
「そうです。モバイルなら可能なんですね。消費者がお店に入ったとき、店頭で見守るとき、あるいは1週間で購入するときの記録、これらを全部合わせると、この人の意思決定のパターンが見えてくるんですね。 (McKinseyにいる間)2013年から2015年までopensurveyとプロジェクトをたくさんやりました。そういう実験をたくさんしたんです。私にとっても新しい試みで、当時はopensurveyでもやったことのない方法でした。」
「なぜなら、opensurveyは紙で行っていたアンケートをモバイルに変える技術的なソリューションを作りましたが、このソリューションを様々な状況でどう使うかは….。いわば、すごく想像力が必要なんです。例えば、店頭ですぐにリアクションを確認できるように設計する必要があります。お客様のニーズを知り、私たちが持っている技術的なソリューションをどのように融合させたときにどのようなものになるかを想像することができなければなりません。当時、opensurveyは技術的な理解はあったものの、顧客が本当にどのように拡張して使いたいかを想像する力はなかったと思います。」
-opensurvey代表になる前は、opensurveyと協業する既存業界の専門家だったんですね。
私は、「実は技術も技術だけではダメで、どんな問題を解決する方法を見つける姿勢と意志が大事なんだ」ということを伝える役割を担っていました。当時、opensurveyにはその意志と問題解決に優れた人がたくさんいました。2つが組み合わさったときに良いソリューションが生まれるという経験を繰り返すことができたので、「もっとうまくやってみたい」という思いが大きかったですね。」
-opensurveyにはいつから参加されたんですか?どのような方法で
「2015年末に入社しました。当時は会社を引き受けるつもりで入社したわけではありません。CPOとして参加しました。2016年1月には私が代表を務めることになりました。」
-2016年1月に代表に就任したときは、買収者ではなかったんですよね?
「2016年1月以降、6年かけて株式を取得しました。」
-一度にではなく、6年間に分けて買収?資金は?
「資金は20年間稼いだお金と、これから20年間稼ぐ予定のお金で用意しました。一度に大きなお金がなかったので、時間がかかりました。」
-買収契約書も書いてない?
「正確には、会社を買収した当時、起業家と私の間には株式取引に関する契約書がありませんでした。当時の取引契約は、株式などの義務に関する契約は創業者と投資会社との間に存在していました。私は会社を任されましたが、プロの経営者としてスタートしたんです。徐々に株式を取得し、現在は大株主の立場になったわけですが、それには時間がかかりました。6年くらい。」

3.「マックスが蹴られたら、次のステップをリードする人が来なければなりません」
-スタートアップの残酷な側面ですね。起業家も、起業してある時期を超えると、できないことが出てきます。スタートアップの1年目から30年目まで、起業家である私がすべてを任せられないのは当然です。ピボットもしますからね。起業家が常に専門家であったり、最適なCEOであるとは限りません。実は一番良いモデルは、優秀な専門家がCEOになる場合です。韓国では容易ではありません。外国はわかりませんが。
「海外では珍しいケースではないそうです。特に投資家が主導して、会社の次のステップをより良く引っ張ってくれる経営陣と、徐々にその人に会社を任せるという方法は非常に多く存在する。」
「会社のポジションは、一人ができる限界が来たら、当然その人には別の役割を与え、次の段階を担う人を連れてきて埋めますよね。スタートアップの代表だからって、その座だけは一人で続ける?今までソリューションがないと思っていたのですが、企業というエコシステムから見ると、当然そういうことができるようになるはずだと思います。」
-ファン代表も、いつかもっと適任のCEOに席を譲らなければならないかもしれませんね。
「おっしゃる通り、私にもいつか適用されるでしょう。私がすべてをこなせない時期、「私が成長した分だけ会社も成長するんだな」と感じるのですが、その成長はすべて、私が全部、自分でやるというやり方ではうまくいかないと思います。ある部分は、本当に信頼できる、それが得意な方をお迎えして、その方と私の間で信頼関係を築き、その方の意思決定を全面的に信じてサポートすることで、その部分がうまく回るようにするのも私のスキルだと思います。」
「優秀な人をopensurveyという器に入れ、その人がきちんと機能するようにサポートし、必要な助けを提供することも、私の能力の非常に大きな部分です。でも、このやり方でカバーされるところと、本当にある時点で自分が変わらなければならないところがいつか来るかもしれません。まだ私も想像がつかないのですが、その時点になると、おっしゃる通り、この段階をもっとうまくできる他の方に….。どんな形であれ、その人がうまくやれるような仕組みを作らなければならないと思っています。」
-ユニコーンであるKOREA CREDIT DATA(韓国信用データ)の創業者であるキム・ドンホ氏がopensurveyの創業者ですよね。
「実は当時の状況では、転換を主導したのは創業者ではなく、投資会社でした。キム・ドンホさんも投資会社とコミュニケーションしたでしょうし、私も投資会社とコミュニケーションしました。そのため、キム代表との直接的なコミュニケーションはあまりなかったですね。」
-opensurveyに参加した当時は、「自分の会社にしよう」という意識はなかったんですか?
「いえ、当時はありませんでした。本当に。なぜなら、そういう状況だとわかって入ってきたわけではないからです。実際、「会社が存続するのは難しいだろう」という出来事があり、その状況でどうするのかという決断に近いです。 「このブランドが、このサービスがなくならないでほしい」という思いが大きかったです。出資が全くない0%の状態で会社を引き受けるという決断をし、かなりの期間、出資がなかったり、マイナーであったとしても、会社を引っ張っていく上で大きな問題はなかったと思います。」
-世俗的な質問ですね。McKinseyの年収はかなり高いですよね。McKinseyからスタートアップに来る時、年収はどれくらい下がりましたか?今現在、当時のMcKinseyの年俸と同レベルになりましたか?
「まだなっていません。最初に来たとき?McKinseyで高額を貰っており、その時にopensurveyからオファーがあったんです。opensurveyで長い間共に仕事をしていて、「そんなにやりたいことがたくさんあるなら、いっそのこと来てください」という提案でした。最初はあまり現実味がありませんでした。」
「スタートアップというものを考えたこともなかったし、どんな責任者の位置、組織を引っ張っていく位置、そういうことを考えたこともなかったためです。でも、この仕事自体はやりたいと思っていました。それから(年収を)考えました。」

ファン・ヒヨン代表が2015年12月にopensurveyに参加した後に書いたハンドライティング。
4.「ルーキーを脱却しよう」
-当然です。サラリーマンにとっては、自分の能力を組織がどれだけ評価しているかという尺度ですからね。
「その時、改めて数字を見て、でもこの数字は自分にとってどういう意味で重要なんだろうということを考えたんです。 「この数字を自分の価値を認められる何らかの成果物として捉えているんだな」と。会社が私を最高だと思うなら、私はここで最高レベルの数字を見たい。でも、会社が私を最高だと考えたとき、支払える数字は絶対値ではなく、相対値かもしれない。opensurveyには、「私にとってこの数字はとても重要で、この数字が持つ意味は私の価値をどう認めてくれるか、である。私を最高と思ってくれるなら、会社でできる最善を尽くしてほしい」と提案しました。そして、その数字に決まりました。」
「パーセンテージは正確には言えませんが、(McKinseyの年収と比較すると)50%よりは高いですが、かなり差がありました。」
-スタートアップに来たときに最初にやったことは?やりたかったことは?
「最初はほとんど商品に関するものでした。入社初日から3日間、手書きで書いたものがあります。こういうのがあったらいいなと書いて、ホッチキスで留めておいて、これをどうしようかな。なぜなら、最初に与えられたポジションはCPOだったからです。でも、いきなりそれしか考えてはいられない立場になったんです。」
-スタートアップのCEOはどうでしたか?最初の1ヶ月?2ヶ月?
「そうですね。全体を見ないといけなくなった。会社としてはほぼ天変地異のような状況だったので、まずはチームを安定させる必要がありました。チームが私を信頼してもらわないといけないじゃないですか。 「すごく大きな変化があったけど、またこうやってやっていけばうまくいくよ」という信頼。一朝一夕でできるものではありません。当初は、ほとんどの時間を信頼関係を築くことに費やしたと思います。個人的には一度も経験したことのないようなことをたくさんしなければなりませんでした。例えば、1月に代表を務めてみたら、1月末に社員の給料交渉があったんです。私個人の年収以外、他の人の年収について考えたことがなかったんです。」
「どのような基準で昇給を決定し、ポジションを変更するかは、40年の人生で初めて悩んだと思います。ひとつひとつ新しく学んでいくのです。そうやって適応するのに2~3年はかかったと思います。正直なところ、準備が整っていない変化をするときは、外で考える以上に、あるいはその前に私が考える以上に、ある種の適応期間が必要なんです。」
「なぜなら、1人で適応すれば3ヶ月でできるかもしれないのに、50人、当時はそのくらいのスタッフがいたんです。50人が適応しなければならない段階だと、50倍以上の時間がかかるからです。なぜなら、50人の相互作用というものがあるからです。」
-「ルーキーを脱却しよう」と言ったそうですが?
最初の3年間は、「ルーキーを脱却しよう」がテーマでした。opensurveyの初期のビジネスモデルは、リサーチサービスを提供するモデルでした。すでに市場が形成されている分野ですし、何十年もやっている会社もあります。そして、リサーチサービスは専門性が必要な分野です。もちろん、opensurveyほど製品を多様に展開できる武器を持った会社はありませんでした。opensurveyのメリットはあるのですが、先ほど、顧客がこのデータをどのように使いたいのかを理解すること、そして基本的にデータを扱う方法論の理解が不足していたのは事実です。」
「opensurveyに来る前に(McKinseyで)あるクレジットカード会社のプロジェクトで、非常に重要なデータ収集をすることがありました。私がopensurveyを活用しようとクライアントに提案したところ、クライアントは「opensurveyはサンプリングの概念もよくわかっていないようですが、いいんですか」と困惑しました。製品のターゲット顧客層に合わせて、回答者の範囲をどうするかなどをサンプリングといいます。それもよくわからないのに、会社と一緒に仕事をしていいのかという質問でした。」
-初期だけ見ると、opensurveyはリサーチ会社なのに、リサーチの基礎がしっかりしていなかったということですか?
「当時はopensurveyを見る市場の認識でした。このタグを外さなければならない。」
「opensurveyが誕生したとき、ターゲット市場は企業顧客ではありませんでした。後から聞いた話ですが、当時の起業家たちは「チキン屋の社長もアンケートをとれるようにしよう」ということだったそうです。中小企業よりももっと下まで、ロングテール市場でも使えるツールになればいいなと思ったそうです。製品もそうなっていました。」
「現在、製品には企業やチームという概念があります。同じチームに属する10人のユーザーが入ってきて、同じワークスペースを共有しながらデータ作業をするというコンセプトです。最初のオープンアンケートは全て個人アカウントです。ワークスペースでは個人的なことしかできず、誰かと共有したり、コラボレーションするという概念自体がありません。そうなったのは、実はこのような市場をターゲットにしたからです。でも、実際にビジネスを始めてみると、お金を払ってデータを使う意思があるのは、より大きな企業だったんです。」

5.外部から専門家を補充する方法
-現在のopensurveyの指標はどうですか?最も重視する指標は?
「プロジェクト単価というか、私が来たときは120万ウォンくらいでした。今は700万ウォン(約76万円)以上です。ばらつきは非常に大きいですが、最終的に1つのプロジェクトで顧客が私たちに使えるお金が増えるということは、それだけ顧客企業がopensurveyから得られるデータの価値を認めているということです。」
-opensurveyの専門性強化のために、専門家を補充したケースはありますか?
「私も一人ではできないので、助けてもらいました。opensurveyに来て、実のところ、こんな人が来てくれたらいいのにと思うことが結構あるんです。 実際にそのような方を迎え入れられた例は、8年間で1件だけです。先輩です。リサーチ関連の会社で25年ほど働いていた方です。私と同じ組織で働いたことは一度もありません。Pizza Hutでブランド・インサイトマネージャーを務めていた時、そのデータを提供してくれる会社のトップを務めていた方です。」
-Pizza Hutはデータをどのように活用していますか?
「Pizza Hutには配達の顧客がいるじゃないですか。お店に来る顧客もいますしね。2組の顧客の経験を数字で管理します。でも、指標が違うんです。例えば、配達の顧客がどれだけ満足しているかという数値がありますが、この数値に影響を与える他の要因があります。食べ物なので、食べ物の味、それから配達のスピードなどです。」
「食べ物の味には温度が影響します。指標を管理するというのは、顧客の満足度が重要ですから。配達は季節によってかなり異なります。ピザは、冬はデリバリーだと冷めてしまうんです。」
「冬は温度管理がすごく大事なんですよね。インサイトマネージャーの役割は、経験指標を整理して毎月社長に報告することなのですが、当時指標が少し悪化したのです。スコアが悪くなったら赤信号を出すか、次回まで様子を見て判断するかを決めなければなりません。当時、データを見た経験のない私には、悪さの程度を判断することができませんでした。当時聞いたところ、季節の影響もあるし、今は何月なので、来月まで様子を見て、悪くなったり良くなったりしなければ、その時に問題にしよう、今は様子見してもいいとアドバイスしてくれました。」
「データに基づいて、ビジネスでどのようなアクションをとるべきかまでアドバイスしてくれる見識のある方なので、とても参考になりました。opensurveyに来て、そういう役割をしてくれる人がいたらいいなと思いました。現在、会社の中でその役割を果たしてくれています。」
-外部から20年以上の経験がある方がスタートアップに来ると、組織内の役割の整理が難しいのでは?
「この方は、従来のリサーチ会社にいた時と今が一番違うんです。リサーチ社にいた頃は、自分が先頭に立っていました。opensurveyに来て、各事業グループの顧客管理を行うアカウントマネージャーが活躍できるようにサポートする役割を担っています。」
「アカウントマネージャーのアドバイザーであり、大きなクライアントの関係を管理するための一種のコンサルタントの役割も担っています。」
-外部から専門家を連れてきて、組織がダメになるスタートアップの事例もないわけではありません。
「その人、その能力と機能を持ち込みたいんでしょう。例えば、リサーチ会社やコンサルティング会社は、ある特定の業界を顧客にしたいとき、他の会社でその業界を多くやっているチームを丸ごと連れてくることがあります。最も一般的な方法です。でも、もしopensurveyでそのような試みをしていたら、完全に失敗していたと思います。」

6.外部から何を持ち込むか…しかし、既存のものを取り入れるのは別の問題だ。
-既存の組織と衝突が生じる?丸ごと移植するのは危険?
「組織化や衝突だけでなく、結局、opensurveyが与えたいのは、既存の業界が提供するものとは違う部分ですよね。明らかに違う面があってこそ、顧客は当社を使うのです。既存のものをそのまま取り入れるということは、別のものを提供するという考えは捨てるということですからね。もしそれをやっていたら、間違いなく失敗したと思います。」
「最初の6ヶ月くらいは売り上げが伸びるかもしれませんが、結局はダメだったでしょう。私が選択したのは、1人の能力をより多くの人に移植できる仕組みを作ることでした。」
-専門家を採用する際には、能力も重要ですが、キャラクターも見なければならないということでしょうか?
「opensurveyでは、自分が前に立つよりも、やる気のあるアカウントマネージャーのアドバイザーになってもらいたかったんです。もちろん、この方をお招きした理由は、韓国において、消費者データ関連で、気になることがあるときに私が訪ねる唯一の方であるためです。この方以外、他の人には聞かないと思います。なぜなら、この方ほど正確で、かつ使用状況を考慮した答えを出せる方はいないと思うからです。」
「そこまでの専門性を身につけるには時間が必要です。その時間がこの方に与えてくれた別のクオリティがあります。自分が成長したいという欲求でいっぱいになっている時点では、「自分が前に立たない」という選択はできないんです。その時期をすべて経験されたからこそ、今度は違う形で貢献したいという気持ちはすでに持っていたのでしょう。」
「もちろん、スタートアップにも特定の機能を移植する必要がある場合もあるでしょう。当社と協業している親会社は、保険設計を組織に新たに設定する必要がありました。当然設計士経験者を連れてきてセッティングしなくてはならないじゃないですか。
「設計士の知識を活用するわけですが、組織では、インタラクションが変わってくるので、それを受け入れられる方を探す必要があると思います。その能力が(スタートアップの)製品の中で、あるいは会社の中でどのような役割を持つべきかによって、何を外から持ってきて、何を当社と合わせるべきかを確認するのです。」
-スタートアップが持っている強み、つまり尖った部分はそのままでいいということでしょうか?追加の移植は、それ自体がリスクになる可能性があります。方向を変えてしまったり、その鋭さを鈍らせたり。
「当社の場合はそうでした。1つの分野で頂点を極めた人が必要だったんです。」
7.「顧客はオープンサーベイに年間2400万ウォン(約260万円)使う…B2Bというその信頼の大きさだ」
-opensurveyの顧客は100社を超えましたね。1社あたりだいたいどのくらいの金額をオープンアンケートに使うのですか?
「重要視している指標は、どれだけ多くの企業が当社と仕事をしているか、つまり顧客企業の数と、その企業が年間に当社にどれだけの支出をしているかという2つです。
「最初の浸透率は、当社のサービスが広く使われることを意味し、年間支出額は、顧客が私たちに与える信頼の大きさだと思います。B2Bは信頼です。B2Cは特色がある商品を一度購入することで、顧客は満足することができます。B2Bのお客様には、これを使うことで自分の成果に本当に役立つことを証明する責任があります。」
「そういう信頼がないと、なかなか購入の意思決定ができないんです。1つの顧客が私たちと1年間に費やす金額の規模が100万ウォン(約10万円)台の場合と2000万ウォン(約200万円)台の場合では違いがあります。2015年と2023年を比較すると、600万(約65万円)~700万ウォン(約75万円)程度から約2400万ウォン程(約260万円)に大きくなっています。」
-opensurveyを信じて、そのデータに年間2400万ウォン(約260万円)を使うということですね。
「今、2400万ウォン(約260万円)程になったので、新しいビジネスに挑戦するにあたっては、逆方向に行こうという選択をしました。opensurveyの既存のビジネスは、小規模事業主、中小企業というロングテールから始まり、エンタープライズの方にどんどん上がっていきました。新規事業であるSaaSは、逆にエンタープライズから下に降りていこうという意思決定をしました。現在、SaaS製品の販売価格は平均2000万ウォン(約220万円)程です。」
-SaaSの新規事業ですか?顧客にリサーチできるツールをSaaSで提供?
「現在のリサーチサービスは、新製品を出そうとする顧客と、まずは基本的な話をします。製品のターゲット顧客層をどこに見ているのか、それを踏まえて、回答者はこのような条件に該当する人たちで構成するのか、どのような質問をすれば購買意欲を確認できるのかを提案します。そして、データを収集してお客様にお伝えしています。opensurveyの現在のビジネスモデルです。」
「購入意向を5段階評価で聞いています。評価してお知らせします。様々な新製品の中で、それぞれの成功の可能性はどうなのか、相対的にどうなのか等。」
「新しいSaaSは少し違います。年に数回、opensurveyに新製品を依頼するときは、今のやり方でも大丈夫です。新製品のアイディアをいくつかあげればリサーチします。最近では、新製品の発売サイクル自体が早くなっただけでなく、既存製品の改良も非常に頻繁に行われています。このような時は、依頼して結果を待ってから意思決定をするのがとても大変になります。早くしたいなら自分でやるしかないでしょう。自分でやるにはツールが必要です。もともとopensurveyが使っていたツールを顧客が直接使えるように機能を整備したのが「dataspace(データスペース)」です。
-dataspaceは企業が消費者リサーチ機能を内在化できるツール?
「大企業にもリサーチができる人しかいないんです。インフラはない場合がほとんどです。現在、SaaS製品をサブスクライブしている顧客はほとんど大企業です。」
-ツールを売ってしまったら、既存のビジネス、つまり依頼を受けてリサーチ分析結果を出すというビジネスモデルに打撃を受けるのでは?
「同じニーズを依頼せずに自分でやれば、コストが安くなるので、opensurveyハントは損じゃないの?少し違います。最初は自分でできるようになると、もっと頻繁にやるようになります。例えば、代表的な顧客であるYuhan-Kimberly(ユハンキンバリー)では、dataspaceを導入した前後で比較すると、データ収集・活用するボリュームが5倍に増えました。dataspaceは、回答を収集する量、データを蓄積する量に比例して課金を行います。基本購読料があります。そこにデータがたくさんたまると、さらに受け取る部分があるんです。ボリュームが増えれば増えるほど、opensurveyも売上を伸ばすことができます。」
「さらに、既存のサービスも引き続きご利用いただけます。なぜなら、企業が直接取り組むには、自分たちの顧客プール、つまりユーザープールが必要だからです。Yuhan-KimberlyはmomQ(ママキュウ)という育児用品のコマースを運営しています。momQは、子育てママの間では認知度80%、利用率50%という、すごいフォームです。ここでデータを収集します。でも、そんなKimberlyも競合他社の顧客を気にするんです。あるいは、新製品を出すときに、momQのお客様だけを対象にするわけにはいきません。その時にまたopensurveyに依頼します。opensurveyが持つ回答者プールは、Yuhan-Kimberly製品の顧客だけでなく、Yuhan-Kimberlyの競合他社製品の顧客も含む、中立的な消費者グループを代表するプールを持っているからです。」
-ファン代表は実は珍しいケースです。 リリースです。1回ではなく、3回ぐらいに登板して完投しています。夢は何でしょうか?
「大それた夢、こういうのを話すのは得意ではないんです。悲しみが解消されれば、夢が叶うような気がします。切なさ。McKinseyでもそうでしたし、opensurveyの顧客と仕事をする時もそうでした。実はデータをうまく使えるものは、顧客がすでにたくさん持っているんです。データを理解し活用し、問題解決のプロセスにデータを組み込み、うまく使うことができます。韓国企業はその点で、世界どこと比較しても全く引けを取らない、おそらく最も良い環境にあると思います。」
「まだ、そのデータを積極的に活用できていないんです。opensurveyがすぐには売れない多くの試みをするのは、すべてこれと関係しています。最終的には「データで働く文化」を企業に作りたいと思っています。」
「opensurveyがリサーチ会社のように必要なデータを供給するだけで、当面のデータニーズは満たすことができます。でも、これ以上広がらないんですよね。データがデータとして残るだけ。」
「データがパフォーマンスを向上させるための意思決定に使われるべきなのに、外部の人が提供するデータには常に限界があることを私たちは長い間見てきました。SaaSを出しながら、自分たちが直接ユーザーからデータを収集する場合、その価値は全く違います。」
「opensurveyというブランドが今後30年は無条件に続いてほしいです。10年くらいは私がやったので、今後20年後もデータという領域で良いブランドとして残っているのを見たいです。」