#1 韓国スタートアップで働くとは
はじめまして。韓国のITスタートアップで働くエミカです。
日本の大企業に通う社会人の生活を飛び出し、韓国で生活を始め、今は韓国のスタートアップで日本事業の責任者として働いています!本業の傍ら、韓国のIT事情についての情報発信もしています。
このたびご縁があり、KORITにて「韓国のITスタートアップで働く生活を現地の目線でお届けする連載」を持たせていただくことになりました!
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、記念すべき第1回は、「韓国ITスタートアップで働くとは」についてざっくばらんとお話しをしてみようかなと思います。
超高速成長する韓国ITスタートアップに就職して
日本の大企業を退職し、韓国留学生活を経て、音声配信アプリSpoonを運営するSpoon Radio Inc.に日本人第1号社員として就職し4年になります。
就職した当時、社員数25人程度。
ベンチャー企業を支援する施設の中にある学校の教室くらいの広さの一室がオフィスでした。韓国でサービスを始め、東南アジアに進出し、次はいよいよ日本に進出するぞ!というタイミング。狭いオフィスの中は、やる気と熱気と夢で満ち溢れていました。
4年前のSpoonオフィス
――― 4年後の現在、どうなっているかというと?
ソウルの一等地カンナムに自社オフィスを構え、100人をゆうに超える多国籍なメンバーと共に、音声プラットフォームでグローバルナンバーワンという大きな目標が現実的に捉えられ、しっかりと進んでいけるまでに成長しました。
現在のSpoonオフィス
ここまでわずか4年。会社とそれぞれのメンバーが共に高速で成長してきた証です。
韓国のITスタートアップの速度感は尋常ではありません。
最初は正直ついていくことに精一杯でしたが、日々をこなす中で感じたのは、「恐れずに挑戦し続けることこそが成功までの最短距離」だと会社のメンバー全員が考えているということでした。
失敗が怖くて怖気付いている間に、ライバルは何かに挑戦し失敗しそこから気づきを得て前に進んでいる。昨日の失敗が、今日の成功になればそれは失敗じゃない。
極度の心配性だった自分が、今ではこんなマインドを持つようになったのは韓国ITスタートアップの働き方のおかげだと言っても過言ではありません。
仕事も息抜きも全力
書き出しから暑苦しいことを書いてしまったので、「韓国ITスタートアップって、もしや仕事だけする超ブラック企業なのでは」と不安に思った読者の方もいらっしゃるかもしれません。
個人的には仕事だけではなく、息抜きも全力でするのが韓国だなと思っています。
入社して1年目の頃、会社全体のとある目標を達成した時の話です。(コロナ前)
「全社目標を達成したので、一泊二日でワークショップに行きます!しかも平日に!」という連絡がSlack(社内チャット)に掲載されました。
お祝いのタイミングで、何かおいしいものをみんなで食べにいくとかではなくワークショップ・・・泊まりがけでグループワークをすることを想像し、正直複雑な気持ちでいたのですが・・w
その発表後、社内の雰囲気は超ハイテンション。不思議に思っていました。
当日、みんなでバスに乗ってどこかへ移動。
1時間くらいたった頃に、レクレーションをするから降りてと案内があり到着した場所は、ATV(四輪バギー)の乗車体験でしたw
二人組になって、バギーで山中をぐるっと一周。ゴールデンウィークの旅行かな?というレベルで楽しみました。
(その後バナナボート体験までして、濡れることなんて一切想定せず荷物を持ってきた自分は完全に着替え不足になり困ったりもしましたw)
その後宿舎についてからも、グループワークなんて始まらず、ただひたすら社員同士でたのしく交流。夜には念願の美味しいものも食べて、すっかり韓国式ワークショップを満喫しました。
その後も毎回、目標を達成するたびに全社員でワークショップに行きました。エバーランド(韓国の有名な遊園地)にいった時もありました!
みんなで会社オリジナルパーカーを着てエバーランドに行ったとき
コロナになってからは、ワークショップに行けなくなってしまったので、代わりに全社員にホカンス(ホテルでバカンスという意味の造語)ができるチケットを配布してくれたりもしました。
働く時は全力で働き、結果を出す!そして全力で楽しむ!
そんなメリハリも、韓国ITスタートアップのいいところかもしれません。
会社から配布されたホカンスチケット
連絡速度超特急、手段を選ばず「パリパリ」
韓国人はせっかちな民族で、そのおかげで通信速度の発達が他国よりも進んでいるという冗談みたいな本当の話は結構有名ですよね。
光の速さでタイピングし連絡をとっている姿は、社内チャットでもメールでもよく見られる姿です。
入社当初、韓国語をタイピングする速度が他のメンバーに比べて著しく遅かった私。返事を一生懸命打っていると、さっきまで私にチャットしてきた開発メンバーが「直接話した方が早いと思って」と言いながら、私の席に直接来るなんてこともしょっちゅうありました。
その時々に合わせて一番早い方法で連絡を取る、これは韓国人の基本的な働き方なのかもしれません。
そしてこれは、そんな文化にまだまだ馴染みきれていなかった頃の話です。
韓国に来て今の会社で働き始めたとき、「名刺を作るから電話番号を教えて」と言われました。私が日本の大企業で働いているときには、社用携帯が支給され常にスマホ2台持ちをしていたので、当然会社用のスマホが別途あるもんだと思い込んでいました。
そのため「まだ社用の電話番号が発行されていない」と伝えると、「そんなものはないから私用の電話番号を共有してくれればいいんだよ」と。
そう言うものなのか?と思いつつ私用電話番号を共有し、名刺を作成してもらいました。
当時の名刺
これは当時作ってもらった思い出の名刺です。今はデザインが変わってしまったのですが入社当時の名刺は、本人の似顔絵が入ったデザインだったんです。私の似顔絵が入った私専用の特注名刺と言う感じでめちゃくちゃ嬉しかったことを覚えています。
デザインに大満足し、取引先と会議の際に名刺交換もしたりして、すっかり名刺に書いた電話番号のことなんて忘れていたわけなんですが。
ある週末に突然見覚えのない連絡先からカカオトークが。
誰だ、この人?と思いながら開くと、「エミカさん〜〜!こんにちは、〇〇(取引先の会社名)のキムです。週末にすみません!!進行中のプロジェクトの件で至急確認したいことがあり!!!」と書いてありました。
プロジェクトの件は一旦置いておいて、そもそもどこから私のカカオトークわかったの?とめちゃくちゃびっくりしてしまいました。
急ぎの内容だったのでそのままカカオトーク上で業務の処理はしたものの、なんだかずっともやもやしていたので韓国人の知人に相談したのですが、反応はかなりあっけらかんとしたものでした。
「名刺に書いてある電話番号から取引先のカカオトークのアカウント見つけるのは普通のことだよ」
目から鱗というか、そうか、その手があったかという感じで。
手段を選ばず一番早い方法で確実に連絡する、という韓国人の働き方を肌で感じ、取引先との連絡はメールが基本と思っていた私の固定観念を思いっきり壊してくれた事件でした。
――― 初回からざっくばらんにいろいろな話を書いてしまいました。
これから連載を通して現地だからわかるリアルな韓国会社員生活をお届けしようと思います!次回もお楽しみに!
川村絵美香(かわむら・えみか)‐Spoon Radio ジャパンカントリーマネージャー
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