世界のスタートアップの資金が枯渇する中、日本は投資を拡大
韓国では日本との関係を「遠くて近い国」と表現することがあります。歴史的にも複雑な関係にあり、人々の歴史認識によって言い争いになることもあります。それにもかかわらず、1965年の両国の国交正常化以降、政治・社会・文化・経済など、あらゆる面で多くの交流がなされ、経済的なパートナーとして共に成長している隣国でもあります。
最近、緊縮財政でグローバルスタートアップ投資が萎縮する中、日本は金利引き下げ政策を継続しています。それだけ新規投資が多く行われている今、韓国のスタートアップが日本に進出したり、進出を検討していることを伝える記事が多く、その内容をお伝えしたいと思います。
なぜ韓国のスタートアップは隣国である日本に進出しようとするのでしょうか?以前は、スタートアップが海外進出を検討する時、最初に挙がるのは米国やシンガポールでした。しかし、日本政府のデジタル転換政策と円安によって投資資本が集まり、韓国のスタートアップ企業の進出が続いています。
実際、日本のスタートアップ情報誌「INITIAL Japan」が発行した「2022 Japan Startup Finance」のレポートによると、昨年、日本のスタートアップの投資額は8,774億円と過去最高を記録しました。一方、韓国のスタートアップの投資規模は、金利引き上げとベンチャーキャピタル(VC)間の競争激化で、投資規模はむしろ減少しました。
日本政府は昨年11月の発表で、今後5年間にスタートアップへの投資規模を現在の10倍水準である10兆円に増やすことを発表しました。今年3月には韓国と日本の首脳会談が行われ、関係改善ムードが続いており、スタートアップの進出に再び追い風が吹き始めました。
それに伴い、韓国でも政府機関がスタートアップの日本進出プログラムを実施しているほか、韓国の中小ベンチャー企業部(省)長官が日本を訪問し、日本の中小企業・スタートアップ分野を担当する大臣と会い、スタートアップ進出をはじめとする様々な企業支援政策を議論しました。
政府ではなく、民間領域でも投資は続いています。韓国のあるメディアの報道によると、日本のゆうちょ銀行も全国のスタートアップに1兆円を投資することを明らかにし、みずほフィナンシャルグループも100億円をファンドで造成してスタートアップを支援する計画を明らかにしました。
もう一つの理由は韓国のスタートアップが切実だからです。日本のスタートアップはこれまで内需市場にとどまり、安定的に成長することはできましたが、それゆえ市場で企業価値が高く評価されず、シリーズBやCでIPOを行う場合が多かったです。
韓国の場合は内需市場が小さいので、海外で実績を出さないとユニコーンを望めない状況なので、スタートアップへの挑戦に積極的です。米国、中国に次ぐ世界3位の経済大国である日本ですが、韓国のユニコーン(企業価値10億ドル以上のスタートアップ)企業は22社(2022年現在)であるのに対し、日本は11社(2022年7月現在)に過ぎないことがこの主張を裏付けています。
StartupAlliance主催 JapanBootCampの様子
このように両国政府と民間領域で政策と支援が続き、韓国のスタートアップが日本への進出を積極的に模索しています。実際に先月、東京では韓国のスタートアップを日本に紹介する「ジャパンブートキャンプ」が開催され、参加可能は10社であるのに対し、80社の応募がありました。最近、最もホットな話題である生成型AIをはじめ、フードテック、エドテック、モビリティ、SaaSなど、参加企業の顔ぶれも様々でした。
既にKORITを通じて紹介した企業であるWrtn technologies(リートンテクノロジーズ)も今回のブートキャンプに参加しました。wrtnは韓国の代表的な生成型AIスタートアップで、生成型AIスタートアップとして初めて日本に進出し、今年4月に「生成AIアジア2023東京カンファレンス」を開くなど、積極的な日本市場攻略に乗り出しています。
実は、日本はこれまでグローバルスタートアップ投資市場において注目されていた地域ではありませんでした。しかし、これまでデジタル化が遅れていた分、むしろ日本市場の成長可能性が最近注目され始めています。ベトナムがアジアのスタートアップの新しい拠点地域として注目されているようにです。
韓国のスタートアップの投資市場が急激に冷え込む中、今後も多くのスタートアップが日本の門を叩く見込みです。KORITの読者が韓国のスタートアップへの投資を検討しているのであれば、今が一番良い時期かもしれません。韓国の有望なスタートアップのニュースをより広い視野で見ることができるKORITで確認してもらえたらと思います。