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配達員の代わりにロボットが配達…市場活性化に期待

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目次

配達員の代わりにロボットが配達…市場活性化に期待

  • [ビックトレンド] 配達ロボット市場、本格始動
  • 突発的な状況に対処する汎用ロボットの知能が成長の鍵に

韓国内の自律走行配達ロボット市場が幕を開けた。昨年11月、法的に自律走行ロボットの一般歩道走行が認められてから約10ヶ月後のことだ。配達ロボットは、従来のデリバリー網で対応できない近距離の配達需要を補うとともに、ますます高騰する配達コストの負担を軽減してくれることが期待されている。

しかし、配達ロボットの活性化のためには、ロボットが自ら目の前の状況を認識し、対処する汎用知能が不可欠だ。配達ロボット企業も、汎用知能の開発に注力している。

ロボット配達市場に参入したNeubilityと運行認証を取得したBaemin

仁川松島でチキンを配達しているNeubilityの自律走行ロボット「neubie(ニュービー)」 /写真提供=Neubility

韓国の配達ロボット市場に最初の一歩を踏み出したのはNeubility(ニュービリティ)だ。Neubilityは、配達アプリのyogiyo(ヨギヨ)と提携し、仁川松島地域で配達ロボットサービスを正式にローンチした。これまでは限られた地域でPoC(概念実証)を行ってきたが、正式に配達ロボットサービスを開始したのは国内で初めてだ。

Neubilityの自律走行配達ロボット「neubie(ニュービー)」は、アパート団地内やオフィスビルなど、配達員の確保が難しい短距離エリアで主に活用されている。店舗から最大半径1.2㎞圏内の注文に対して、ロボットが店舗で料理を受け取り、配達を行う。yogiyoアプリでロボット配達を選択して注文した顧客は、配達完了の通知が届くと、指定された場所で料理を受け取ることができる。配達は、1回の運行で1件のみ行われる。

Neubilityとyogiyoは、約2,000台の配達ロボットを投入し、仁川松島を皮切りに全国にサービス運営地域を拡大する計画だ。Neubilityの配達ロボットサービスが可能になったのは、昨年11月に施行された「知能型ロボット開発および普及促進法」(以下、知能型ロボット法)によるものだ。この法律の改正により、自律走行ロボットは屋外の車道はもちろん、歩道、横断歩道、公園などを走行できるようになった。

Neubilityは今年1月、産業通商資源部指定の運行安全認証機関である韓国ロボット産業振興院から運行安全認証を取得した。これは韓国初で、自律走行ロボットが屋外環境で安全に運行できるかどうかを判断するものだ。合計16項目から構成されている。

配達アプリ「Baemin(配達の民族)」を運営しているWoowa Brothers(ウーワブラザーズ)も、昨年7月に運行安全認証を取得した。Woowa Brothersの配達ロボット「Dilly(ディリー)」は、2018年に忠清南道天安のフードコート、2019年にソウル蚕室レイクパレスアパート団地などでPoCを行った。2021年には本格的な屋外配達PoCも実施した。現在、Dillyは開発の最終段階にあり、早ければ年内に本格的な配達ロボットサービスを開始する予定だ。

市場調査会社のFortune Business Insights(フォーチュン・ビジネス・インサイト)によると、世界の配達ロボット市場は2023年の3億630万ドル(約439億円)から2030年には21億4,310万ドル(約3,068億円)に成長する見込みだ。

Neubilityの関係者は、「最初の1~2週間はサービス安定化のために、現場にスタッフが同行する予定だ。」とし「それ以降は完全無人で運営する。配達のパラダイムが変わるだろう。」と説明した。

突発的な状況に対応する汎用ロボット…知能の高度化に注力

ソウル江南区テヘラン路でPoC中の「Dilly」 /写真提供=Woowa Brothers

しかし、配達ロボット市場が本格的に開かれるためには、汎用ロボット知能の高度化が必要だ。汎用ロボット知能とは、ロボットが人間のように様々な環境で与えられた任務を遂行し、新しい状況に対して学習・適応能力を持つことを意味する。これにより、突発的な状況に柔軟に対応することが可能になる。

今年初め、OpenAIのヒューマノイドが「何か食べるものがほしい。」という人間の要求に対してリンゴを渡したのが、汎用ロボット知能が活用された代表的な事例だ。従来のアルゴリズム型AI(人工知能)は、リンゴをつかむまでに必要なシナリオを一つ一つ入力する必要があったが、LLM(大規模言語モデル)の発達により、VLM(視覚言語モデル)を通じて文脈的に状況を推測し、突発的な状況に即座に対応することが可能になった。

Neubilityが今年初め、自律走行R&D(研究開発)分野にソン・ヨンジュン理事を引き入れたのもこのためだ。ソン理事は、HYUNDAI(現代自動車{244,500ウォン ▲7,500 +3.16%})、42dot(フォーティートゥードット)、STRADVISION(ストラドビジョン)、RGT(アールジーティー)などの大企業・スタートアップで、15年近く自律走行技術を研究してきたベテランで、Neubilityでは汎用ロボット知能の開発に取り組んでいる。

Woowa Brothersも汎用ロボット知能の開発に注力している。2021年には、光教アイパークで屋内外の配達PoCを行い、様々な状況に対応する能力の開発に集中した。これにより、Dillyはアパートの自動ドアやエレベーターと継続的に通信を行いながら、自由に移動できるようになった。

さらに、走行中のロボットの「目」となるLiDAR(ライダー)でスキャンした周囲の情報を、数多くの点で構成された3D(3次元)マップと比較することで、自らの位置をリアルタイムで把握できるようにした。収集した情報を基にディープラーニングを行い、信号機や障害物などの交通状況を自ら判断する。

ソン理事は、「今回ローンチしたサービスは現時点では屋外に限られている。」とし、「屋外だけでなく、屋内移動やエレベーターを使った垂直移動も可能にする計画だ。」と話した。また、「配達領域を拡大し、各領域に適したシナリオを解釈できる汎用ロボット知能も開発中だ。」と付け加えた。



<写真=Microsoftデザイナー>

原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024091306081052256





/media/UNICORN FACTORY
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UNICORN FACTORY

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