「日本のデジタル転換は絶好のチャンス…一度突破すれば金脈となる市場」
「日本のデジタル転換は絶好のチャンス…一度突破すれば金脈となる市場」
Quad Miners 日本法人長であるソ・ミョンソプ氏の日本進出戦略
- [編集者注]尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になって日韓関係に追い風が吹く中、日本進出に乗り出す韓国のスタートアップ企業が増えている。日本のベンチャー投資市場が急成長していることに加え、岸田政権が経済全体の効率・生産性向上のため、社会各分野のデジタル転換(DX)を加速させたことで、新たに市場が広がったのだ。昨年下半期から続く投資難で韓国のスタートアップ業界が資金繰りに苦しんでいる中、日本が「チャンスの地」として注目されている。
「デジタル化が急速に進展し、事実上すでに飽和状態にある韓国のセキュリティ市場を超え、日本で突破口を見つけに来た」
昨年4月に東京IT支援センターに入居したQuad Miners(クアッドマイナー)の日本法人長であるソ・ミョンソプ氏は、日本市場に進出した理由を尋ねられ、このように答えた。ソ日本法人長は、「日本のセキュリティ市場は大規模なDX(デジタル転換)投資のおかげで、今後韓国の4~5倍に成長するだろう」と展望した。
彼がこのように判断した理由は、まず日本の中央政府や地方自治体で、行政処理やサービスを電算化する作業が行われているからだ。日本政府は、韓国の住民登録証と公認認証書機能を組み合わせた形の「マイナンバーカード」を開発・普及する事業を推進している。目標とする行政の電算化が実現すれば、これまで紙の書類で行っていた養育費や介護申請などがスマホでできるようになり、マイナンバー(住民登録)を銀行口座と連携して各種補助金も支給できるようになる。このサービスが安全に運営されるためには、モバイルアプリ・プラットフォーム・サーバー・ネットワークを総合的に管理できるセキュリティソリューションが必要だ。
2017年に設立されたQuad Minersは、このようなシステムに適用できるネットワーク検知・対応ソリューション(NDR)の「ネットワークブラックボックス」を開発・販売中だ。
ネットワークで発生するあらゆる種類のサイバーセキュリティの脅威を迅速に発見し、適切な対応策を提示するソリューションだ。例えば、ハッキングなどのネットワーク侵入形態が検出されると、どのような経路で侵入し、ネットワーク網のどこまで広がり、またどのような行為が行われたかを自動的に分析して知らせてくれる。
Quad Minersは、グローバルIT市場調査機関であるGartner(ガートナー)の代表ベンダーに4年連続で選定され、世界市場で製品競争力を証明している。
また、最近OpenAIの人工知能(AI)チャットボットである「ChatGPT」関連のセキュリティ問題を解決する技術を発表し、注目を集めた。ChatGPTの使用中に起こりうる個人情報及び会社機密漏洩事故を防ぐための、実質的な対策を講じようとする企業から注目されている。
Quad Minersは2020年に米国市場進出に成功した後、2021年から日本市場進出の準備を進めてきた。ソ日本法人長は、「日本のネットワークセキュリティ技術はまだ古い方法にとどまっている。ハッカー攻撃に対する誤検知が多く発生し、攻撃が行われた場合は、通信端末とともにホスト(各端末からデータ処理要求を受けて処理する中心のコンピューター)を追加分析する必要がある。そのため、対応に時間がかかり、適切な処理が難しい」と診断した。その上で、「当社のNDRソリューションは、ネットワークで発生するすべての脅威情報を人工知能が分析して対応するため、迅速な対応が可能。」と強調した。
Quad Miners 日本法人長のソ・ミョンソプ氏/写真=Quad Miners
ソ法人長は、まず日本の総代理店とリセラーを発掘することに注力している。これについて、「最初は、販売代理店など現地のパートナー企業と協業して事業を展開し、事業がある程度成長したらジョイントベンチャーを設立する。その後、販売を拡大しながら認知度を高めていく」と話した。このために、顧客向けの無料PoC(技術検証)の拡大、技術デモセンターの設立、技術アドバイザーの採用などを行う予定だ。
ソ法人長は、今後3年以内に日本市場で韓国の売上(データラボ資料基準2022年の売上高81億ウォン{約8億9,000万円})水準を超えることを目標にしている。「私は日本のビジネスを、『零一万(0-1-10,000)』と表現している。0から1を作るには非常に長い時間がかかるが、1を作ればそこから10,000を作るのはあっという間だ。」とし「日本はビジネスの進行速度が韓国に比べて遅く、進出するのも難しいが、一度契約を結べば売上グラフは急上昇する。」と抱負を語った。
ソ法人長は、日本進出を成功させるためには、様々な販売実績を積み重ね、徹底した現地化戦略が重要だとアドバイスした。これについて、「日本の官公庁や大企業を対象に営業するには、韓国内外企業の納品・運営実績を積み重ね、日本企業のニーズに合わせた『現地化戦略』で信頼を築くことが重要。」と強調した。また、「東京IT支援センターのようなスタートアップ支援機関を通じて、韓国企業に必要な日本市場の情報と動向、特性などを綿密に把握する必要がある。」と付け加えた。
<写真:Quad Miners 日本法人長のソ・ミョンソプ氏/Quad Miners提供>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2023072717552761224
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