ニュース

【デスクが会いました】韓国ソフトウェア産業協会のチョ・ジュニ会長「韓国のSW産業を成長させるにはSaaSで海外に勝負すべき」

アイキャッチ
目次

【デスクが会いました】韓国ソフトウェア産業協会のチョ・ジュニ会長「韓国のSW産業を成長させるにはSaaSで海外に勝負すべき」

  • グローバルDPGアライアンスの初代議長務める
  • デジタルプラットフォーム政府、輸出の官民協力をリード
  • SaaS化で投資コストを抑えて利益率を向上
  • AWS・MSプラットフォームを活用した販売が簡単に
  • 行政網障害対策、大企業の参加は限定的
  • 実質的な予算の増額・修正など、根本的改善が必要

会話の間、韓国のソフトウェア(SW)産業に対する愛情が伝わってきた。SW産業の現実を論じるときは、複雑さと残念さが感じられたが、今後の方向性と目標を明らかにするときは、断固たる決意が感じられた。

韓国ソフトウェア産業協会(KOSA)のチョ・ジュニ会長は、SWが韓国経済をリードする主力産業となるだろうし、「必ずそうなるべきだ」と強調した。

その一環として、チョ氏は昨年末に発足した「グローバルデジタルプラットフォーム政府(DPG)アライアンス」の初代議長を務めた。グローバルDPGアライアンスは、民間と汎政府部門が協力してDPGモデルの輸出を最大化することに焦点を当てた。民間主導でSWの成果を最大限に引き上げるという腹案だ。

チョ会長は、韓国のSW産業が成長するためには、企業自らが競争力を確保して積極的に海外に進出しなければならないと見通した。今はアマゾンウェブサービス(AWS)マーケットプレイスやマイクロソフト(MS)Azure(アジュール)などのプラットフォームを通じてSWをサービス型ソフトウェア(SaaS)で簡単に販売できる道まで開いたと付け加えた。

政府は公共SW事業で実質的な予算を確保し、SW企業が自生力を持つように支援しなければならないと明らかにした。予算のない計画は空虚なものに過ぎないというのがチョ氏の考えだ。チョ会長は、これを通じてSWの品質を高め、「第2の行政網シャットダウン」の事態を防がなければならないと話した。

チョ会長に会い、韓国のSW産業が進むべき道と今後の計画を聞いた。


聞き手=アン・ホジョン電子新聞AIデータ部長

-昨年KOSAが成し遂げた最大の成果は何か。

グローバルDPGアライアンスを発足させたことだ。グローバルDPGアライアンスには、行政安全部(部は省に相当)と科学技術情報通信部、企画財政部、外交部などの海外進出支援部署はもちろん、韓国知能情報社会振興院(NIA)と情報通信産業振興院(NIPA)、グローバルデジタル革新ネットワーク(GDIN)、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)などの関連機関が全て参加している。
また、民間初の超巨大AI推進協議会を発足させた。世界的な超巨大AIの波にいち早く対応するためだ。協議会は韓国の人工知能(AI)ビッグテックであるNAVER Cloud(ネイバークラウド)とLG AI研究院が会長社を務め、130社余りが参加している。

-グローバルDPGアライアンスとは何か、なぜ重要なのか。

グローバルDPGアライアンスは、簡単に言えば、海外にデジタルプラットフォーム政府(DPG)モデルを輸出するために官民が共同で取り組むことだ。このため、輸出に乗り出す韓国企業をNIAなど関連機関に全て登録させる予定だ。KOSAには韓国のほとんどのSW企業が加入しているため、アライアンスに統合することが可能だ。
実は以前は、DPGモデルを輸出する際、各省庁が各国を個別に訪問していた。DPGの輸出の成果を最大化するためには、今や全ての省庁、機関を結集しなければならない。NIAがDPGモデルを輸出する金額はどの程度になるのだろうか。兆単位を超える。
もし、韓国政府が開発途上国などにDPGモデルなどを公的開発援助(ODA)する際、競争力ある韓国企業と一緒に参加すれば、より良いのではないか。韓国企業が独自にその国に進出することは容易ではない。
今、(グローバルDPGアライアンスを通じ)我々の企業が政府と一緒に同伴進出することができるようになった。

-韓国のSW業界の海外進出を強調する理由は何か。


これまで韓国のSW業界は公共SW市場に依存してきた。公共に依存する企業は、量的・質的成長に限界があることは明らかだ。SWが韓国の代表産業として定着するためには、海外で成功しなければならない。公共SWの事業対価の現実化だけでは足りない。

-韓国のSWの海外進出拡大のための方策は何か。

今やゲームもPCではなくモバイルでやる時代だ。モバイルゲーム市場が活性化したのは、グーグルプレイストアやアップルストアがあるからこそ可能なのだ。SWも同様だ。韓国のSW企業が海外市場にSWを販売するためには、AWSマーケットプレイスやMicrosoft Azure(マイクロソフトアジューレ)などのプラットフォームに乗らなければならない。最終的にはSaaS化して販売しなければならない。SaaSで販売する方が利益率も高い。
代表的な事例が、韓国を代表するICT企業であるDOUZONE BizOn(ダゾンビズオン)だ。DOUZONE BizOnは、プラットフォーム部分の事業利益率が全事業部門の中で最も高い。
私たちのSW企業は今後、SaaSを基盤に海外に積極的に進出しなければならない。SaaSをやらないと生き残れないというのが世界的な趨勢(すうせい)だ。
昔は、SWを輸出する際、各国ごとにバージョンを作らなければならなかった。既存のレガシーシステムと連携する必要があり、コストもかかった。しかし、今はどうだろう。AWS、MSのプラットフォームに載せれば世界に配信される。比較的少ない投資費用で、大きく稼げる仕組みだ。

-各企業がSaaS化するには。

公共SW事業を通じてリファレンスを確保し、資本を蓄積した企業がSaaS事業に参加するように、エコシステムがクラウド-SaaS中心に再編されなければならない。従来のシステム統合(SI)中心のエコシステムは、労働集約的・垂直的な構造だった。SaaSベースのエコシステムは、技術・知識集約的・水平的な構造で、短期間でSaaSへの転換が可能だ。

-コストの問題を理由にSaaS化が容易ではないという企業も多い。KOSAはどのように対処してきたか。

既存のオンプレミス(構築型)ベースのSW企業は、SaaSに転換する際に費用がかかる。中小・中堅企業単位では自己投資が難しい規模だ。
このようなジレンマを抱えた企業のために、KOSAは政府とビッグテック企業が手を差し伸べるべきだと考えた。そこで、政府にファンド造成を強く提案した。幸い、政府がこれを受け入れ、200億ウォン(約22億4,000万円)規模のファンド・オブ・ファンズの造成を計画した。いわゆる「SaaSイノベーション」ファンドだ。本予算が昨年末に国会を通過した。今年から運営されることが期待される。
最近、若い世代が起業するSW企業はすべてSaaSが主力だ。SaaSへの移行が容易でない場合は、M&Aを活性化させるのも一つの方法だ。


조준희 한국소프트웨어산업협회장. [사진= 박지호 기자]<韓国ソフトウェア産業協会のチョ・ジュニ会長>

-KOSAは韓国のSW企業の海外進出をどのように支援しているのか。

韓国のSWエコシステムが成長するためには、海外進出を目標に事業構造を多様化、高度化する必要がある。何度強調しても言い過ぎではない。
最近、KOSAは既存のグローバル室をグローバル事業本部に拡大改編した。SWの海外輸出と資金調達のためのグローバルネットワークの拡大に集中する。6カ国を追加支援する。代表的な場所がドバイだ。NIPAもドバイに新オフィスを設ける。最近では豪州と米国のシリコンバレーが注目されている。このような地域でSWの輸出を集中的に支援する考えだ。
企業が既存の良いSWをSaaS転換することに躊躇している。理由などを集約し、今年上半期中にKOSA傘下のSaaS推進協議会を通じて政府側に解決策なども提示する予定だ。

-生成型AIの発展により、SW業界にも大きな変化が起きている。現状をどう見ているか。

昨年2023年は、AIデジタル時代を迎える変曲点となった年だった。生成型・超巨大AIが大きな波及力を持つことを確認し、韓国企業も積極的に成果を出した。
韓国は世界でも有数の独自の巨大言語モデル(LLM)を有している。現地に最適化された言語をもとに、バーティカル(特化)戦略でグローバルLLMに対抗する競争力を備えている。
AIベースの応用サービス部門の場合、競争力のあるスタートアップはすでに世界市場で注目されている。
今や超巨大AIの応用サービスもSaaSで作られている。一般的に「SaaSはSWで、応用サービスはプラットフォーム」と考えられているが、そうではない。二つは実際には同じだ。今後は、超巨大AIの応用サービスが起業と雇用を拡大するだろう。超巨大AI応用サービスをSaaSに転換し、企業を育成・養成することが重要になるだろう。

-SW産業がなぜ重要なのか。

韓国は国内総生産(GDP)に対する製造業の割合が高い。生産性の不均衡を打破するためには、先進国のように高付加価値の融合産業に転換する必要がある。SW産業がこのような転換を導くことができる。
昨年、ChatGPTで生成型AI市場を拡大したOpenAIの企業価値は1年で290億ドル(約4兆3,754億3,700万円)から1,000億ドル(約15兆円)まで跳ね上がった。
今年初めに閉幕した世界最大の家電・IT博覧会「CES 2024」でもAIが話題となった。グローバル企業は機器自体にAIを搭載した「オンデバイスAI時代」を予告した。
SW技術は、このように様々な産業分野で既存産業の生産性を高め、新しいビジネスモデルを創出することができる。

-行政網障害に対する政府の対策を評価するなら。

政府の対策を見ると、700億ウォン(約78億4,000万円)規模以上の公共SW事業で大企業の参加を許可した。現在、公共SW事業で訴訟が進行中のものを見ると、大企業が参加したものだ。政府は漠然と大企業だからより高い責任感を持って公共SW事業を推進していくだろうと考えているようだ。
このようなアプローチはダメだ。大企業が参加できる事業規模の基準がなぜ700億ウォン(約78億4,000万円)以上なのかも分かりにくい。
公共SW事業の品質を高める根本的な方策は結局、予算だ。どんなに良い対策を打ち出しても仕方ない。予算が伴わないと改善されない。
今回の政府対策は、実質的な予算反映計画が含まれていないため、現実性が低い。政府は第2の行政網シャットダウンが起こらないように、確定された予算を増額または修正する努力をしているのか疑問だ。
韓国は過去最大の予算を新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)時に投入した。行政網がシャットダウンすれば、被害規模は新型コロナのパンデミックの時以上になる可能性がある。政府対策が実現可能なように予算編成を変えなければ、行政網の障害は続くだろう。

-KOSA会長としての今後の計画は。

昨年だけで、政府主催の会議に100回以上行った。3日に1回の頻度だ。第18代に続き、第19代KOSA会長を務めながら、SW産業の振興のために奔走している。
いつまで会長を務めるかは分からないが、与えられた期間、SW産業が国家のメイン産業になれるよう貢献したい。
SWはすべての産業の基盤となる基幹産業だ。国家の成長動力産業という認識を広め、国民の記憶に残る協会長となりたい。

안호천 AI데이터부장과 조준희 한국소프트웨어산업협회장. [사진= 박지호 기자]<電子新聞のアン・ホチョンAIデータ部長と韓国ソフトウェア産業協会のチョ・ジュに会長>


◇チョ・ジュニ会長
チョ・ジュニ会長はuracle(ユラクル)を創業したSW起業家だ。2021年からKOSA会長を務めている。
国家科学技術諮問会議委員、グローバルDPGアライアンス議長、デジタルプラットフォーム政府委員会委員、産業エコシステム分科委員長、公共データ戦略委員会委員などを兼任している。最前線でSW産業の発展とエコシステムの改善をリードしている。



<画像=韓国ソフトウェア産業協会のチョ・ジュニ会長>

原文:https://www.etnews.com/20240206000170



/media/電子新聞
記事を書いた人
電子新聞

今年で創刊40周年を迎えた電子新聞は、電子情報分野におけるサクセスストーリーのスクープを追ってきた知識経営の専門紙です。 韓国を代表するIT専門誌である電子新聞は、産業·経済を融合したメディアとして成長していきます。

  • ホーム
  • ニュース
  • 【デスクが会いました】韓国ソフトウェア産業協会のチョ・ジュニ会長「韓国のSW産業を成長させるにはSaaSで海外に勝負すべき」