韓国投資のパイオニアに聞く(3/5):エンタメ大国・韓国はプラットフォームも制覇|合同会社PKSHA Technology Capitalパートナー海老原秀幸
エンタメ大国・韓国はプラットフォームも制覇
―最近は韓国企業が他国のコンテンツプラットフォームを担うまでに成長しています。日本のお家芸とされてきたアニメやマンガといったコンテンツは今後、日韓ビジネスのなかでどのようになっていくのでしょうか。
海老原さん 日本のアニメやマンガは依然として世界中の人たちを惹きつけていますが、一方でそのコンテンツプラットフォームはアメリカや韓国に押さえられつつあります。とくにグローバルなプラットフォームについては、ほぼ外資頼みになっているといっていいでしょう。もはやこれからそういったグローバルなプラットフォームに対抗することは難しいので、日本はIP(知的財産)ホルダーとして成長していく道しかないように思います。
―実際、韓国でも日本のIPを原作としてドラマなどを制作する動きが顕著になってきていますね。
海老原さん 最近、韓国では小説やライトノベルなどをマンガ化し、それがヒットしたら映画化するという流れが定着しつつあるので、日本のIPもその流れのなかに取り込まれていくのではないでしょうか。
―プラットフォームを押さえていることもさることながら、韓国のエンタメ業界の躍進には驚かされるばかりです。
海老原さん 日本のテレビ関係者も話していましたが、もう日本と韓国のエンタメは10年くらい差がついているんじゃないでしょうか。日本のマンガを実写化するとなったときに、日本で制作するよりも韓国に任せたほうがはるかに良いものができる可能性が高いし、世界的にヒットする可能性も高いわけです。そうなると、ゆくゆくはいかに韓国と協業し、たがいの強みを生かしながら世界にコンテンツを発信していくかということが重要になるかもしれません。
―なぜ韓国のエンタメ業界はここまで成長を遂げることができたのでしょうか。
海老原さん 他の産業と同様、やはり海外市場にはやい段階から目を向けていたことが大きいと思います。韓流ブームの先駆けとなったドラマ『冬のソナタ』(2002年)の頃は日本市場をターゲットにしていたように思いますが、その後は着実に欧米の市場に目を向け、近年では世界的なプラットフォーマーであるNetflixとドラマを共同制作するなどの取り組みを進め、数多くのヒット作を世界に送り出してきました。結果、今や韓国ドラマはNetflixにとってなくてはならないコンテンツになっています。こういった先見性や積極性が日本のエンタメ業界には欠けていたのかもしれません。
<関連記事>
韓国投資のパイオニアに聞く(1/5):日韓スタートアップの違い
韓国投資のパイオニアに聞く(2/5):レガシーが日本企業の成長を阻害している
韓国投資のパイオニアに聞く(4/5):韓国企業の長所を生かした投資スタイル
韓国投資のパイオニアに聞く(5/5):いずれは韓国からの投資も拡大するか
関連記事
-
潜在的なニーズを発見し現場業務のデジタル化を実現する|Shopl & Company 日本事業開発部リュ・ダオン
#AI -
専門の技術者集団と共に人々の生活を革新していく|株式会社AL.Robot日本駐在事務所代表 島田 信之
-
法令遵守の社会を陰で支える法・規制・政策モニタリングプラットフォーム|CODIT-代表 チョン・ジウン
#法律 -
長期的信頼と積極的な政府支援が韓国スタートアップの日本市場進出を加速させている|中小ベンチャー企業振興公団 東京事務所 チョン・ハリム所長
#イベント -
「みんなのAI」として広く価値を届けたい|株式会社リートンテクノロジーズジャパン-日本ビジネスマーケティング責任者 増田良平
#AI -
電子黒板市場の未来とAHAの日本進出戦略|株式会社AHA-高橋 貞行代表
#B2B #教育