「危機の時に投資してこそ稼げる」…ベンチャー投資過酷期の逆説
「危機の時に投資してこそ稼げる」…ベンチャー投資過酷期の逆説
- ドットコムバブル崩壊・サブプライム発の経済危機
- 2002年・2009年IRR 8.5%・8.6%記録
- 「有望スタートアップ低評価…投資の最適期」
韓国のベンチャー・スタートアップ業界が投資の酷寒期に入った中、不況期に結成されたベンチャー投資組合の収益率が平年はもちろん、好況時よりも高いことが分かった。投資会社は財布の紐を固く締めているが、スタートアップのバリュエーション(価値評価)が低くなり、大きな収益を出すことができる投資適期を迎えていることを意味する。
25日、韓国ベンチャーキャピタル協会によると、2000年代に結成されたベンチャー投資組合の内部収益率(IRR)が高い年は2002年(8.5%)と2009年(8.6%)だ。それぞれ、ドットコムバブル崩壊(2001年)とサブプライム住宅ローン事態(2008年)に触発された経済危機に見舞われた時期という共通点がある。今年がロシア-ウクライナ戦争などでグローバル経済危機を迎え、投資心理が急激に凍りついたように、当時も金融危機が吹き荒れ、投資心理が急激に委縮した。だが、活況期に急成長したスタートアップが低迷期に再調整され、ベンチャーキャピタル(VC)にとっては、有望なスタートアップをいわば「拾い上げる」ことができる最適な時期だったわけだ。実際、「第1ベンチャーブーム」だった2000年はマイナス収益率(-2.1%)を記録し、2001年も1.5%にとどまった。
一方、2008年の金融危機以降、大沈滞期と呼ばれた2009~2010年、ベンチャー投資収益率は潤った。2009年に続き、2010年(7.6%)と2011年(9.6%)の収益率も高かった。2012年のユーロ圏における債務危機の際に結成された組合の収益率は17.5%もの高収益率を記録した。これは特段動きがなかった2003~2006年の収益率でさえ1.2~5%にとどまったことと比べてもかなり高いことが分かる。
主要経済指標である経済成長率と比較しても、景気の好・不況とベンチャー投資組合の収益率は相関関係にあることがうかがえる。相対的に経済成長率が上がると組合収益は下がり、経済成長率が下がれば収益率は上がる傾向にある。
VC業界の関係者は「思ってもみないスタートアップが最近、投資ラウンドでバリュエーションが大幅に低くなり、投資を検討している」とし、「ベンチャー投資の極寒期と言われるが、有望なスタートアップを適切なバリエーションで投資できる絶好の機会だ」と話した。
実際、米国では2001年にAmazon(アマゾン)、Google(グーグル)が誕生し、2008年にはAirbnb(エアビーエヌビー)、Uber(ウーバー)などが創業した。スタートアップ業界の関係者は、不況時に玉石を隠していたスタートアップが優良企業に成長していると口をそろえる。ただ、ベンチャー投資市場に投資資金が回らないため、凍結した出資者(LP)の心を溶かす支援策が必要になりそうだ。
あるVCの代表は「今年下半期からLPを確保できなかったり、探しても受託機関が見つからず、優良なスタートアップを発掘しても資金がなくて投資できずにいる」とし、「ファンド・オブ・ファンズの予算が減った場合、民間資金を流入できるよう、税制支援など政府の積極的な対策が必要だ」と話した。
トップキャプチャー:ⓒゲッティイメージバンク
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