BLACKPINK vs aespa...熱くなるファンプラットフォーム競争
BLACKPINK vs aespa...熱くなるファンプラットフォーム競争
- エンタメ産業の中心に立ったファンプラットフォーム
- NAVERはHYBE・YGと連合
- KAKAOはSM・NCSOFTと同盟
- MAUではNAVER同盟の圧勝
- 「今後IP(アーティスト)とデータで勝負するだろう」
- Kakao Talk連携で逆転する見通しも
KAKAO(カカオ) のSMエンターテイメントの買収が大詰めを迎えて、エンターテイメント産業の構図に変化が見られます。特に、エンタメ産業と情報技術(IT)産業に接点のあるファンコミュニティ・プラットフォーム分野での動きが尋常ではありません。韓国内の代表的なインターネット事業者であるKAKAOとNAVER(ネイバー)を中心に同盟が形成され、市場を二分している状況です。
投資銀行(IB)業界によると、KAKAOコンテンツの子会社であるKAKAOエンターテイメント(以下、KAKAOエンタ)によるSMの買収が最終盤を迎えました。売却規模や価格など、大筋で合意しました。KAKAOエンタがプロデューサーの持ち分18.27%を全て買い取り、プロデューサーがKAKAOエンタに再出資する方式です。総取引額は1兆ウォン(約1,029億2,300万円)台です。
このようにKAKAOエンタのSM買収が終われば、IT・エンターテイメント産業は「NAVER-HYBE-YG」同盟と「KAKAO-SM-NCSOFT」同盟を中心に再編される見込みです。ファンコミュニティ・プラットフォーム事業のためです。
ファンコミュニティ・プラットフォームは、プラットフォーム内のオンラインコンサート、1人放送など、アーティストとファンが意思疎通を図るオンライン空間で、新型コロナウイルスの流行以降、NAVER、HYBE(ハイブ)、Google(グーグル)など多様な情報技術(IT)企業とエンターテイメント企業が事業を本格化させている分野です。
今後、この事業はエンタメ業界でかなり重要な位置を占めるものと思われます。コロナ以降、利用者が爆発的に増えており、エンタメ会社は、ファンコミュニティ・プラットフォームで単純な金銭的利益を得るということにとどまらず、様々な事業シナジーを出すことに期待しているからです。
エンタメ会社はファンプラットフォームを通じて多くのデータを確保することができ、ファンコミュニティ・プラットフォームが主流文化として位置づけられた後には、エンタメ産業全般に多くの影響を与えるものとみられます。OTT(インターネットを介して視聴者に直接提供されるメディアサービス )がドラマ業界に影響を与えているようにです。現在繰り広げられているNAVERとKAKAO中心のエンタメ産業再編を、注意深く見て行かなければならない理由です。
まず、2つの同盟のうち、先に結束を強化しているのは「NAVER-HIBE-YGエンターテイメント同盟」とみられます。NAVERは昨年1月、BIGHIT(ビッグヒット)の子会社beNX(ビーエヌエックス)に4,119億ウォン(約424億2,200万円)を投資しました。
投資を機にbeNXが運営しているファンコミュニティ・プラットフォーム「Weverse(ウィーバース)」とNAVERのプラットフォーム「V LIVE(ブイライブ)」の統合作業が行われており、このプラットフォームは今年上半期内に開設する予定です。NAVERは2017年にYG(ワイジ-)にも1,000億ウォン(約102億8,500万円)を投資して2大株主となり、昨年1月にYGの子会社YGプラスに計700億ウォン(約72億140万円)を投資しました。
KAKAOエンタは現在、ファンコミュニティ・プラットフォームを運営していませんが、SMとの協業によりプラットフォームを設ける足場を整えることができます。SMの子会社「DearU(ディアユー)」はファンコミュニティ・プラットフォーム「bubble(バブル)」を運営しています。
「bubble」は2019年に開設され、昨年第1四半期に黒字転換しました。また、SMはEXO(エクソ)、Red Velvet(レッドベルベット)、aespa(エスパ)、NCT(エヌシーティー)など、韓国内のトップアーティストを抱えています。HYBEの「Weverse」がBTS(防弾少年団)という強力なコンテンツでプラットフォームの安着に成功した事例を再現できそうです。
また、KAKAOはすでにMelon(メロン)とNCSOFT(NCソフト)のファンコミュニティプラットフォーム「UNIVERSE(ユニバース)」を連動させてデータ共有を進めるなど、多様な連携事業を進めています。NCSOFTとの協力も肯定的に展望されています。
成績だけみてもNAVER同盟が先行しています。IT情報プラットフォームのモバイルインデックスによると、先月の「V LIVE」と「Weverse」の月間アクティブユーザー数(MAU)はそれぞれ98万、56万でした。SMの「DearU」は7万、「UNIVERSE」は12万に過ぎませんでした。
ただし、まだ産業のエコシステムが整ってから5年も経たない産業なため、プラットフォームランキングの変動は容易に起こり得ます。特に、KAKAO同盟が誕生することになれば、韓国国民のプラットフォーム「Kakao Talk(カカオトーク)」を保有するKAKAOが容易に利用者数を獲得できるでしょう。
専門家たちは「勝負は『知識財産権(IP)』と『データ』の確保にかかっている」と話します。IPと言えば、ファンコミュニティ・プラットフォームではアーティストたちを表します。BTSという強力なIPを持つ「Weverse」は昨年第4四半期時点の加入者数が3,700万人を記録し、前年同期1,800万人の倍以上になったといいます。月の訪問者数は45%増加しました。
YGが積極的に合流すれば、BIGBANG(ビックバン)、BLACKPINK(ブラックピンク)など、より強力なIP確保も可能です。逆に、KAKAO同盟もSMの合流で強力なIPを確保することになりました。EXO、Red Velvet、NCT、aespaなど、韓国内のトップアーティストたちはSMに所属しています。
また、データでさらに激しい争いが繰り広げられる見込みです。すべてのプラットフォームの中核が、データを通じたサービスの高度化であるように、ファンコミュニティ・プラットフォームもユーザーのデータに基づくサービスの高度化を目指すでしょう。データの面ではNAVER同盟が優位にあるようです。MAUからして差があります。「V LIVE」が2015年に開設したプラットフォームである上、NAVERという強力なプラットフォームと連携しているため、MAUは当然差が出ることになります。
もちろん、KAKAOも韓国内最大の音源プラットフォーム「Melon」を持っています。ファンコミュニティ・プラットフォームではありませんが、の「Melon」のデータに基づいてファンプラットフォームに適用できる間接データは無数に多くなるものと予想されます。
写真〈SMエンターテイメントのアーティスト「aespa」〉
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