アメリカで起業した韓国人が日本市場を選んだ理由【Geeks】
アメリカで起業した韓国人が日本市場を選んだ理由【Geeks】
AIスタートアップAllganize、日本上場を準備
パンデミック以来、デジタル転換(DX)の需要増える
自然言語理解AIの認知検索ソリューションを提供
野村、KDDI、三井住友銀行などが顧客
「アナログ感性の国」日本が変わっている。
パンデミックを起点にデジタル転換(DX)が加速している。日本政府は昨年9月、「デジタル庁」を公式発足し、本格的な行政システムのオンライン化に乗り出した。リモートワークが増え、日本企業のデジタル転換需要も拡大傾向にある。
このようにデジタル革新を図っている日本で頭角を表している韓国系人工知能(AI)スタートアップがある。
AI認知検索ソリューションを提供する「Allganize(オルガナイズ)」という企業だ。
売上70%占め、日本で大ヒット
Allganizeは先月26日、本社機能を米国ヒューストンから日本の東京に移転すると明らかにした。韓国人創業者が米国シリコンバレーで2017年に設立した同社は、米国サンフランシスコに本社を置き、ソウル、東京にそれぞれ支社を置いている。このうち全体売上の70%が東京法人から出るほど日本で大ヒットした。スタートアップの聖地「シリコンバレー」から出発したが、今は市場性の高い日本を主な舞台としており、東京取引所の上場に本格的に乗り出す計画だ。
Allganizeのイ・チャンス代表
Allganizeのイ・チャンス代表(写真)は16日、韓経Geeksとのインタビューで「パンデミック以降在宅勤務が増え、以前とは違って積極的にグローバルサービス型ソフトウェア(SaaS)を導入する企業が増えている」とし、「日本のように文書やマニュアルが多い企業ほど、職員が正確な答えをすばやく見つけることができれば仕事がスムーズになるため、私たちの認知検索ソリューションが適切に活用されている」と説明した。
Allganizeはイ代表の2番目のスタートアップだ。彼はモバイルゲーム利用者を分析をする5 Rocks(ファイブロックス)を起業した経験がある。5 Rocksは2014年、米国モバイル広告プラットフォームの運営会社Tapjoy(タップジョイ)に約400億~500億ウォン(約41~51億円)で買収され、業界では「イグジット(EXIT)の成功事例」に選ばれたこともある。以後、イ代表をはじめとする5 Rocksの役職員5人はTapjoy本社がある米国サンフランシスコに渡った。そして、彼は2017年に会社を出てAIスタートアップのAllganizeを起業した。
Allganizeは文書を迅速かつ正確に検索し、企業の業務生産性を支援する認知検索ソリューションを提供する。自然言語理解(NLU)に基づくAIチャットボット「Alli(アリィ)」が代表商品だ。会社の内部や顧客からの問い合わせについて、Alliは膨大な書類の山から素早く答えを探してくれる。キーワード抽出、感情、レビュー分析APIも供給している。
Alliは複数の文章から自分で質問と答えを作りそれを学習し、テキストの意図と文脈まで理解するAIモデルだ。文書やエクセルに含まれる表もすぐに認識し、全体の内容をハイライトして表示することもできる。質問をしたら、その内容に関する内部システムに直接接続して処理される。資料を検索をするのに一日数時間を費やす会社員の業務を大幅に減らしてくれるのだ。
各分野の一流企業をすべて顧客会社として獲得
会社の強みは「NOタギング」だ。AIを学習させるには、ラベリングやタギング(タグを付ける作業)が必要だ。しかし、Alliはこのような過程が必要のない、既に公開された数多くのテキストや質問データで学習されたAIだ。プログラム構築も一日しかかからない。
Allganizeの関係者は「日本のある大企業が米国大企業のAIソリューションを使用していたが、タグ付け作業に時間がかかることで悩んでいた」とし、「既存の米国ソリューションや日本のローカル企業と比較したら、私たちのソリューション性能の結果が最も良かったので、Allganizeの顧客会社になった」と話した。
東京のAllganize本社職員Allganize提供
Allganizeはこのような強みをもとに日本の有力企業を顧客会社として獲得していった。日本1位の証券会社である野村証券をはじめ、大手通信会社KDDI、三井住友銀行(SMBC)、コマース企業のイオン(AEON)など、一流の会社から選ばれている。SMBC金融グループの場合、元々は顧客会社だったが、Allganizeの技術力を評価して戦略的投資(SI)を行った。実際に使ってみて投資まですることになったのだ。
業界ではAI技術に関して「良質のデータをどれくらい精巧に加工するかがAIサービスの核心」と見ている。AIスタートアップは、圧倒的に多くのデータを確保しているNAVER(ネイバー)、KAKAO(カカオ)、Google(グーグル)などのビッグテック企業が提供するAIサービスと差別化しなければならない。Allganizeは「大企業は汎用的に何でもこなせるSランクの優等生かもしれないが、スタートアップはある科目を数学オリンピックレベルまで深堀りしなければならない」とし、「(Allganizeは)認知検索分野に特化した競争力を備えている」と答えた。
DXスタートアップ、我も我もと進出
これまで日本は、特に日常でのデジタル技術活用度が低いという指摘を受けてきた。新型コロナウイルスをきっかけに、老朽化した行政システムが浮き彫りになったのだ。保守的でマニュアルを重視する日本の企業文化も、デジタルとは程遠い雰囲気だった。そうした日本で、持続的にDX推進の必要性が浮き彫りになり雰囲気が変わっている。
日本進出に乗り出した韓国の他のテックスタートアップによる成功事例が相次いでいる。教育AI企業Riiid(リード)は昨年末、日本のパートナー会社「ラング」を買収して日本法人を設立した。ラングは、2019年からRiiidが提供するAI基盤のTOEIC学習ソリューション「Riiidチューター」を日本にリリースした企業だ。Riiidチューターの日本有料アプリは、発売1週間でアンドロイドアプリ教育部門で売上1位を記録し、年間400%の売上成長率を見せた。
医療AI企業のLunit(ルニット)も日本で急成長を見せた。Lunitは日本市場でサービスを開始してから6ヶ月で、137カ所の医療機関がLunitのAI映像診断ソリューションを導入した。Lunitは2019年から日本進出を準備しており、日本の医療映像保存伝送システム(PACS)及びX線医療機器市場シェア1位の企業である富士フイルムとパートナーシップを結んだのが始まりだ。
宿泊産業のデジタル転換をサポートするH2O hospitality(H2Oホスピタリティ)は、清掃派遣サービスの「HouseCare(ハウスケア)」と、オンライン宿泊予約・売上管理システムプロバイダーの「Hospo Alliance(ホスポアライアンス)」など日本企業2社を買収しながら、2017年に日本に進出した。当時、日本の法改正で外国人観光客を対象とする民泊が増え、市場で機会をつかんだことにより成長をし続けた。
チェ・ダウン記者 max@hankyung.com
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