冷え込んだ投資市場で資金調達に成功した企業とは…MZ世代の親をターゲットにする「ペアレントテック」 [Geeks]
冷え込んだ投資市場で資金調達に成功した企業とは…MZ世代の親をターゲットにする「ペアレントテック」 [Geeks]
- 子育てにお金をかける親たち…子育てサービス「ペアレントテック」のスタートアップに注目
- Tictoc Croc 今年9月にシリーズBで約160億ウォンを調達
- オフラインの拠点を作って競合他社との差別化図る
- Villagebaby 今年8月にシリーズAで約60億ウォンを調達
- 妊娠・子育て情報および日記アプリ…月間アクティブユーザー数14万人
- Ordinary MagicやBabygoの売上高が急成長
今はいわゆる「Eight Pocket(エイトポケット)」の時代だ。Eight Pocketとは両親、祖父母、叔父など、親族みんなが子供1人にお金をかけるという意味だ。お姫様・王子様のように大切に育てられた一人っ子という意味の「ゴールドキッズ」という言葉も一般的になった。出生児の数は毎年減っているが、 子供にかかる費用は増えたため、子育て関連の産業が成長している。 韓国の統計庁によると、子育て用品の市場規模は2015年の2兆4,000億ウォン(約2,500億円)から現在4兆ウォン(約4,150億円)以上に倍増した。
このような中で最近、子育て関連のサービスを提供する「ペアレントテック」のスタートアップが好調を見せている。投資市場の冷え込みにも、多額の投資金を調達したり売上成長を遂げるなど、順調な様子だ。
Tictoc Croc オフライン拠点で差別化を図る
2010年代半ばから、共働き夫婦の「子育ての盲点」を解消してくれるスタートアップが続々と登場した。そのうちの1社であるTictoc Croc(ティックトッククロック)は、9月にシリーズBで160億ウォン(約16億6,000万円)の資金を調達した。企業価値は、昨年に比べて2倍以上高く評価された。業界では「今のような投資不況期に投資を調達したこと自体が成功」という評価を受けている。
「チャイルドケアの先生が家に来る」というスローガンを掲げたTictoc Crocは、満1歳から小学生までの幼・児童を対象に、チャイルドケアの先生をマッチングするサービスだ。2016年に初めてサービスを開始し、現在23万人の保護者会員と11万人の教師会員を保有する代表的な育児サービス会社に成長した。
オフラインキッズセンター「Tictoc Island」で五感遊びをする子供の様子。Tictoc Crocホームページの画像
競合他社は、先生と保護者のマッチング・コマースに集中した反面、Tictoc Crocはキッズセンター「Tictoc Island(ティックトックアイランド)」というオフライン拠点を作って差別化を図った。オンラインプラットフォームと、キッズセンターやコミュニティセンターなどのオフライン拠点を連携させながら相乗効果を得ている。今年、4ヶ所のTictoc Islandを追加オープンし、現在は計7ヶ所を運営中だ。他にも、企業やマンションのコミュニティなど、企業間取引(B2B)分野を積極的に拡大しているというのが会社側の説明だ。
Tictoc Crocの関係者は「最近の投資市場では、将来の可能性よりは実際に会社がすぐ収益を出すことができるかという観点から投資を検討する場合が多い」とし、「オン・オフラインの連携とB2B分野で収益性があると判断され、資金の調達に成功した」と説明した。
MZ世代の親が頻繁に利用するプラットフォームとは
妊娠・育児情報プラットフォーム「Village Baby(ビレッジベイビー)」は先月、シリーズAで60億ウォン(約6億2,000万円)の資金調達に成功した。Village Babyは、妊娠と子育てに関する様々な情報と日記機能を提供するアプリ「Baby Billy(ベイビービリー)」で人気を集めている。妊娠・子育ての必須アプリとして挙げられるという。特に、モバイルプラットフォームに慣れている「MZ(ミレニアル+ Z世代)ママ」から人気を得ており、最近では月間アクティブユーザー数(MAU)が14万人、育児用品の取引額が年間10億ウォン(約1億円)を達成した。
Village Babyが運営するプラットフォームBaby Billyのサービス画面
良質のコミュニティがBaby Billyの最大の特長だ。同じ月数の子供を持つ利用者が集まって情報を交換することにより、連帯感が生まれる。コミュニティ内ではチョドン(産後ケアセンターの同期)の代わりに「ベドン」(Baby Billyの同期)という表現を使うほどだ。
子育てに関する重い内容だけではなく、愉快な子育てコンテンツも多い。MZ世代の親の特性を細かく把握した上で、このように作られた。Village Babyのイ・ジョンユン代表は「最近の若い親たちは情報収集力が高く、科学的で専門的な内容を好む」とし、「同時に、便利さと面白さも重要視するという点を考慮してプラットフォームを開発してきた」と説明した。
他のプラットフォームと同様に、様々な子育て用品のコマースと連携して取引手数料を得ることが主な収益モデルだが、このように個性的なコミュニティと連携することにより消費者の信頼を得ている。イ代表は「子育て時期ごとに必要なものは多様なので、他のコミュニティサイトで一つずつ検索する必要はない」と話した。会社によると、資金調達を行っていた6月の取引額が、10億ウォン(約1億円)から10月には20億ウォン(約2億円)に増えたという。
エンデミックにより育児サービスも売上げ急増
他にも、一人一人に合った子育てを応援するスタートアップOrdinary Magic(オーディナリーマジック)や、キッズアクティビティプラットフォームのBabygo(ベイビーゴー)などは、前年に比べて急増した売上が目立つ。これら2社は、エンデミックに合わせた子育てサービスを提供しながら実績を上げている。
Ordinary Magicは圧倒的な売上成長を見せている。同社によると、今年上半期には前年全体に比べて322%以上急成長したという。今年の第3四半期(7~9月)は前年に比べて1090%(約11倍)増え、急速な成長を続けている。
Peekaby(ピーカビー)は月齢別の遊具キットを提供している。写真は9~10ヶ月用のプレイキット。
Peekabyは、成長過程に合った月齢別のおもちゃ「Peekabyプレイキット」を提供している。このキットは、生後0ヶ月~24ヶ月までの乳幼児の発達に合わせたおもちゃで、購入または購読する形で利用できる。パンデミックの中で、デジタル授業に慣れた子供たちにデジタルデトックスを提供したことで、消費者の人気を得たという評価だ。
Babygoは、近所に子供と一緒に行けるおすすめの場所を探してくれるサービスだ。
Babygoも、今年の第3四半期の取引額が前年同期比388%以上、取引件数が50%以上増えたと発表した。同社は、子どもと一緒に行ける1万9,000カ所の情報を、位置やカテゴリー別で簡単に確認できるサービスを提供する。子供と外出する度に場所を探さなければならなかった手間を省いてくれる。このサービスも、エンデミックでソーシャルディスタンスが緩和されたことがプラスとして作用したという分析だ。
あるスタートアップの関係者は「少子化が進む中で爆発的な成長をする産業とは思えないが、なくてはならない市場」とし「子育てで忙しい日常に密着して、問題を実際に解決してくれるかどうかによって事業の勝敗が決まるだろう」と話した。
チェ・ダウン記者 max@hankyung.com
トップキャプチャー:ゲッティイメージバンク
原文:투자가뭄 시국에도 돈 몰린다…MZ부모 겨냥하는 패어런트 테크 긱스 | 한경닷컴 (hankyung.com)
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