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「冬が来ても季節は変わる。そして不況の今がチャンスだ」

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「冬が来ても季節は変わる。そして不況の今がチャンスだ」

スタートアップエコシステムには常に「バブル論」が存在した。今年はマクロ経済環境の悪化により、体感される現実が近づいてきている。米国の中央銀行連邦準備制度理事会(FED)の金利引き上げが続く中、全世界でベンチャーキャピタル(VC)業界の投資心理も冷却状態である。スタートアップ投資市場で保守的な観点が深まると予測されてもいる。

Y Combinator(ワイコンビネーター)、Sequoia Capital(セクワイアキャピタル)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピードベンチャーパートナーズ)など、シリコンバレー投資家は「急変する状況に備えなければならない。成長より、生き残らなければならない。費用を減らし、利益を生み出すことに集中しなければならないとき」と助言している。冬だと断定するには早いが、明らかに過去10年の好況期に比べ、寒い季節が来ているのは事実だ。

韓国のスタートアップシーンにも、冷たい風が吹いている。IPOを控えた企業の企業価値も下方調整されている。

一方、エコシステムはひとつの季節ではなく、四季を見て判断しなければならないという楽観的な視線もある。冬を経験できなかった人にとって、冬とは世界が終わるような衝撃だが、氷河期があるからこそ春が再びやってくるということだ。スマートフォンなどの技術は、我々の日常の奥深くに入り、バブルと呼ばれていた時代に、大きな機会と大きな企業が胎動した。代表的な事例が、AmazonやGoogle、Uber、Airbnbなどビッグテック企業だ。

韓国のベンチャーとスタートアップのエコシステムは、シリコンバレーに比べて短いため、冬の準備がきちんとできていない可能性がある。だがスタートアップという用語すら聞き慣れなかった時代に登場したcoupang(クーパン)が、米国で上場をし、その後を継ぐユニコーン企業が準備をしている。冬になり姿を消すユニコーンがいるかもしれないが、それが土壌となり、次の世代のデカコーンになることもある。


キム・チョンスParamark Ventures代表ⓒPlatum

 

「冬が来ると言うが、氷河期だとは表現しない。季節は変わるものだ。その期間に、事業の方向性や真正性を知るために、企業との絆を築かなければならない。投資市場が過熱するときはお金を稼ぎ、厳しいときは友達を得るという。冬を共に過ごした絆と、他人が知らない情報をもとに、投資する際に差をつけることができる」

スタートアップアライアンス主催で9日、江原道(カンウォンド)江陵(カンヌン)で開かれた「2022スタートアップエコシステムカンファレンス」に発表者とパネラーとして登場したParamark Ventures(パラマークベンチャーズ)のキム・チョンス代表は、冬を越す準備をしなければならないVCが、どのような視点で備えなければならないかについて、こう助言した。

結局、春はまた来るという意見で、企業と交感し賢明に過ごせば、より良い企業に投資できるということだ。


チェ・インヒョクBCG代表パートナーⓒPlatum


チェ・インヒョクBCG代表パートナーは、不況期がVCにはむしろ機会だと力説した。 「非上場企業の『マルチプル』が大幅に低くなった。しかし、誰もが嫌がる時に、より良い投資をすることができる。米国の統計を見ると、皆が投資に積極的な好況期にはお金を失い、不況期に投資した場合は、確率的に稼いだ。不況期である今が、投資する時」と述べた。

続いて彼は「ドットコムバブル時は、事業性が不明確な会社に、大きな企業価値が付けられたことが多かったが、今は自分の価値を証明できる会社が多い」とし、「スタートアップが、各自の企業価値をどのように説明できるか。重要になるだろう」と説明した。


ユ・ジョンホKB Investmentグループ長ⓒPlatum


 ユ・ジョンホKB Investment(KBインベストメント)グループ長は、「東南アジア市場は、投資金が半分ほど減った状況であるため、投資活動が保守的に変化するしかない。VCは、有望な初期企業を再び探そうという流れに向かっている。

一方、政府が政策資金を支援してくれる韓国は事情が異なる。冬が長く続くことはないだろう。 (冬と呼ばれる)短期間の投資は多少鈍ることもあるだろうが、新興国に比べ韓国が企業価値を調整される強度が弱く、回復する時間も早いだろう。危機と機会が共存するダイナミックな環境が広がるだろう」と見通した。


スタートアップアライアンス・チェ・ハンジプ・センター長ⓒPlatum

 

スタートアップアライアンスのチェ・ハンジプ・センター長は、CVC(企業主導型ベンチャーキャピタル)の役割が大きくなると予想した。

彼は「ベンチャー投資とプライベート・エクイティ・ファンド投資の境界がぼやけ、CVC(企業ベンチャーキャピタル)が大きく増えるなど、非伝統的投資金が大きく増えた」とし、「海外資金が減ることはあるだろうが、韓国の大企業と中堅企業がその場を埋めるだろう。大企業が活発にM&A(買収合併)をすれば、『exit(資金回収)』の機会になることができる」と述べた。

一方、スタートアップアライアンス主催で、2015年から開かれている「スタートアップエコシステムカンファレンス」は、韓国のスタートアップ支援機関と権威者が、スタートアップの最新動向と未来に対するディスカッションを行う場だ。

2015年に始まり、今年で7回目を迎える本イベントは、創業に関連する140以上の機関関係者300人余りが参加した。政府機関をはじめ、スタートアップアクセラレータ、ベンチャーキャピタルなど、投資専門家、CVC、大学創業支援団の関係者らが参加した。


スタートアップエコシステムカンファレンス2022ⓒPlatum


 

キャプチャー写真:スタートアップエコシステムカンファレンス2022ⓒPlatum

原文:https://platum.kr/archives/187153

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Platum

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