ニュース 2024.06.24

世界市場に向けた韓国スタートアップの戦略的考慮事項「徹底的に調査し、深く理解する」

世界市場に向けた韓国スタートアップの戦略的考慮事項「徹底的に調査し、深く理解する」

StartupBlink（スタートアップブリンク）が発表した「2024年グローバルスタートアップエコシステムレポート」によると、韓国は世界100カ国中20位にランクインした。また、ソウルは21番目にエコシステムが整備された都市として評価された。

レポートは、韓国のスタートアップエコシステムを肯定的に評価し、初期企業がグローバル企業に成長することに成功した事例が豊富であると明らかにした。特にcoupang（クーパン）を代表的な例として挙げ、韓国が実績のある国であることを強調した。

韓国の最大の強みとして、製造業と産業分野で主導的な位置を占めているSAMSUNG（サムスン電子）やLGのようなグローバル企業の存在を挙げた。このような大企業は、スタートアップに対する投資と支援を惜しまず、韓国のスタートアップエコシステムに重要な影響を与えているという説明だ。

また、韓国政府の積極的な姿勢も高く評価された。韓国政府は、韓国スタートアップのグローバル進出支援、海外スタートアップの韓国内誘致拡大およびオープンイノベーションを通じた大企業とのパートナーシップを含む「スタートアップコリア総合計画」などを推進し、エコシステム育成に力を入れている。

政府はファンド・オブ・ファンズを通じて数十億ドルの資産を管理しており、韓国スタートアップエコシステムを支える役割を果たしていると評価された。また、民間ベンチャーキャピタル（VC）も、グローバルな資金難の時期にもかかわらず、毎年、より多くの投資を行っていることが明らかになった。

レポートは、韓国ではソウルと釜山（プサン）を中心に強力なスタートアップエコシステムが形成されており、これは韓国が世界で注目されている理由の一つだと伝えた。

「スタートアップエコシステムカンファレンス2024」に登壇した専門家ら。（左上から）D・CAMPパク・ヨンフン代表、LG経営研究院経済政策ハン・テシク研究委員、Global Brainイ・ギョンフン代表、Shorooq Partnersシン・ユグン代表、Wilt Venture Builderウォン・デロ代表、KRYPTONキム・メイグル常務 ⓒPlatum

良質なスタートアップエコシステムが造成された韓国だが、グローバルエコシステムとのネットワークはまだ課題として残っている。他国に比べ、韓国内のスタートアップの海外市場への進出率が比較的低いことがそれを証明している。このような現象は、急変するグローバルビジネス環境の中で、韓国のスタートアップが成長と持続可能性を同時に追求する必要性を浮き彫りにしている。

20日に開かれた「スタートアップエコシステムカンファレンス2024」は「グローバル」をテーマに行われた。2015年から毎年開催されているスタートアップエコシステムカンファレンスは、国内外のスタートアップエコシステムの主要利害関係者が一堂に会し、情報を共有、協力の機会を模索する大規模なネットワーキングイベントだ。

今年のスタートアップエコシステムカンファレンスでは、韓国のスタートアップが世界市場進出に向けた戦略と機会について深い対話が行われた。登壇した専門家は、韓国のスタートアップがグローバル市場で成功するためには、地理経済学的な要素、そしてターゲット国や産業に応じたカスタマイズされた戦略が必須であることを示唆した。

韓国のスタートアップエコシステムがグローバル舞台で成功する踏み台を築くために、企業型ベンチャーキャピタル（Corporate Venture Capital、以下CVC）の重要性がますます高まっている。伝統的なベンチャーキャピタルとは異なり、CVCは親会社の経営戦略に合致し、財務的な収益よりも戦略的価値を優先する特性を持つ。

D・CAMP（ディキャンプ）のパク・ヨンフン代表は、GS、HYUNDAI（現代自動車）、SAMSUNG（サムスン電子）、LG、CJなど、韓国の主要大企業が運営するCVCに言及し、これらがスタートアップとのオープン型イノベーションを通じて、グローバルネットワークと能力を基にスタートアップのグローバル事業拡大に決定的な助けになると強調した。

パク代表はオープンイノベーションの肯定的な効果について、「大企業はスタートアップのアイデアと技術力を基に新規市場の開拓や拡大が可能で、新事業推進に必要な予算と人材などのコスト削減が可能」と説明した。また、「スタートアップは、大企業のインフラを活用し、迅速なモデル検証と市場参入の機会として活用することができ、顧客や市場に対するインサイトを確保することができる」と述べた。パク代表は注意すべき点も言及した。「大企業とスタートアップはそれぞれ異なる言語を使用し、時間の流れが異なり、目標も異なることを認識すべきである」とアドバイスした。

続いて、パク代表は「韓国経済は過去40年間、順調に成長してきた。今や限界が来ており、新しいSカーブが必要な状況だ。新しいカーブは、大企業型の成長モデルではなく、柔軟でオープンで開放的なスタートアップエコシステムを中心に作られなければならない。規模と経験を持つ旧エコシステムと、スタートアップエコシステムが連携することが、われわれが解決すべき課題だ」と述べた。

グローバル地経学的要素も、韓国スタートアップの成長戦略で重要な考慮事項として浮上している。LG経営研究院経済政策ハン・テシク研究委員は、米中対立、米国大統領選挙、イスラエル・ハマス戦争などの問題がスタートアップエコシステムに及ぼす影響について言及し、このような変化を念頭に置き、新たな機会を探すべきだと主張した。

日本市場参入に関するアドバイスも続いた。Global Brain（グローバルブレイン）のイ・ギョンフン代表は「韓国の2010年を見ると、多くのスタートアップが誕生し、ユニコーン、デカコーンに成長した。日本のスタートアップ市場は過去の韓国と同様のパターンで成長するだろう」と見通し、日本を足がかりとしてグローバル進出を模索すべきだとアドバイスした。イ代表は日本市場への進出方法について「Channel Talk（チャンネルトーク）Channel Corporation（チャンネル・コーポレーション）」の事例を挙げた。彼は「Channel Talkは、韓国で製品と市場の調和（Product Market Fit、PMF）を成し遂げた後、日本で売上拡大に成功し、国際的なステージに進出した模範的な事例」と説明した。イ代表は、日本でコマース、エンターテインメント、サービス型ソフトウェア（SaaS）などの分野でチャンスが多いと予想した。

また、中東市場へのアプローチ方式も議論された。Shorooq Partners（ショールック・パートナーズ）のシン・ユグン代表は「今後20年間の進出計画を策定する際、最初の10年はサウジアラビアやUAEのような大規模投資が活発な地域に焦点を当て、続く10年は若い人口比率が高いエジプトやパキスタンに方向を向けること」を推奨し、中東市場の潜在力を強調した。

最近、海外進出の舞台として脚光を浴びている東南アジア市場への進出戦略についても議論された。Wilt Venture Builder（ウィルトベンチャービルダー）ウォン・デロ代表は、東南アジア市場進出について、過去とは異なる体系的なアプローチの必要性を強調した。ウォン代表は「多くのスタートアップが十分な準備なしに東南アジアに足を踏み入れたが、今は各国と産業の特性に合わせたカスタマイズ戦略樹立が求められている」とアドバイスし、成功的な海外進出に向け、慎重で体系的な計画の重要性を強調した。

グローバライゼーションはもはや選択ではなく必然となっている。様々な国で機会を模索し、多文化的な価値を受け入れ、国際的なネットワークを構築することは、現在および将来の世代のスタートアップにとって重要な課題だ。それにもかかわらず、韓国のスタートアップの海外進出率が低い理由は、様々な複合的な要因によって説明できる。

KRYPTONキム・メイグル常務は「グローバル市場への進出を考慮する際、最初に思い浮かべるのはシリコンバレーかもしれないが、世界はもっと広く、多様な機会がある」と言及し、実際に約35カ国で韓国のスタートアップの競争力が十分に発揮できると主張した。キム常務は「グローバル市場進出の可能性を判断する上で最も重要なのは、徹底的なリサーチによる当該国に対する深い理解」と強調し、海外進出を成功させるためには、単に目的地を決める以上の準備が必要だと強調した。

キム常務は、海外進出の失敗の確率を減らすための具体的な方策として、専門家インタビューによる精密な国別分析、リリース前の十分な条件検証、企業競争力に対する冷静な評価、現地パートナー企業との体系的な進出戦略の策定などを提示した。さらに、マスタープランの策定とリスク管理能力の重要性についても言及した。

<画像=20日に開催された「スタートアップエコシステムカンファレンス2024」の会場。STARTUP ALLIANCE主催で毎年開催されているこのイベントは、国内外のスタートアップエコシステムの主要利害関係者が一堂に会し、情報を共有、協力の機会を模索する大規模なネットワーキングイベントだⓒPlatum>

原文：https://platum.kr/archives/229876