世界中が全力で取り組んでいるディープテック、韓国の民間投資はわずか5%…K-ディープテックの育成策は?
世界中が全力で取り組んでいるディープテック、韓国の民間投資はわずか5%…K-ディープテックの育成策は?
年間企画:K-ディープテック ルネサンス
- [編集部注] 技術が国家競争力を左右する「パクス・テクニカ(Pax Technica-技術覇権)時代が到来した。人工知能(AI)半導体など、高度な技術力が要求されるディープテック産業が覇権競争の核心分野として浮上している。MONEYTODAYユニコーンファクトリーは、[K-ディープテック ルネサンス]企画を通じて、K-ディープテックの現状と育成策について注目する。これにより、韓国経済を再跳躍させるための戦略を提供する。
「ディープテックは未来の産業基盤であり、競争優位性の尺度だ。」
今月26日、ソウル汝矣島コンラッドホテルMONEYTODAYグローバルカンファレンス「2024キープラットフォーム(K.E.Y.PLATFORM 2024)特別セッション3」に参加したスウェーデン技術革新庁の革新経営部責任者であるイルバ・ストランダー氏は、ディープテック(Deep Tech)の重要性をこのように強調した。パクス・テクニカ時代には、国家競争力強化のため、ディープテック分野に画期的な投資が必要だということだ。
「ディープテック」という用語は2014年に登場した。グローバルコンサルティング会社「Propel(X)」の共同創業者であるスワティ・チャトゥルベディ氏が提案した用語だ。スワティ氏は既存の市場に破壊的な革新をもたらすR&Dベースのビジネスモデル(BM)をディープテックと定義した。それから10年経った今、ディープテックは世界経済のあらゆる分野を揺るがしている。
OpenAIの生成型人工知能(AI)「ChatGPT」が世界に衝撃を与えた後、AI半導体の主導権をめぐる米国と中国の対立が深まった。日本はディープテックスタートアップの育成に10兆円(約88兆ウォン)を投入するなど、各国の競争は激しくなっている。
政策支援資金依存度の高い韓国…民間投資でディープテックが占める割合は5%
/グラフィック=キム・ダナ記者
韓国の現状はどうか。28日、中小ベンチャー企業部によると、ベンチャー投資の好況期だった2021年以降、韓国のベンチャー投資市場に40兆ウォン(約4兆5,400億円)近い資金が投入された。しかし、2022年基準で、韓国のユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)23社のうち、ディープテック企業はわずか3社に過ぎない。それぞれ、MEGAZONE CLOUD(メガゾーンクラウド{クラウド})、IGAWorks(アイジーエーワークス{ビッグデータ})、APROGEN(エイプロジェン{バイオ})である。
韓国科学技術持株会社(KST)によると、2023年末時点で、韓国のディープテック関連企業数は488社で、米国(2万2,910社)、中国(9,935社)、日本(1,718社)よりも格段に少ない。
ディープテックのスタートアップは既存のスタートアップより、「デスバレー(死の谷{創業3~5年目の企業が経験する経営難})」がより深く長いにも関わらず、韓国のディープテック投資は消極的だと評価されている。2016~2020年基準で、各国の民間ベンチャー投資のうち、ディープテックが占める割合はイスラエル20%、米国18.7%、英国15.6%であるのに対し、韓国は5%に過ぎない。
ディープテックはR&Dにかなりの費用と時間がかかる。通常、3年間投資を行い、4年以内に回収する一般的な韓国の民間ベンチャー投資会社のパターンでは、このプロセスを乗り越えることは難しい。政府もこの点を考慮し、「超格差スタートアップ」プロジェクトを通じてディープテックの育成に取り組んでいる。民間ベンチャー投資会社が先に投資し、政府がマッチング投資をする方法で、ディープテックに対する民間ベンチャー投資を活性化させる方案も含まれている。技術の事業化に必要な企画、製品化、試験・認証などへの支援も行っている。
そのため、韓国のディープテックスタートアップは、一般的なスタートアップに比べて政策支援資金への依存度が高い。中小ベンチャー企業部の「2021年ベンチャー企業実態調査」によると、ディープテックスタートアップの新規調達資金のうち、政策支援資金が69.4%だった。一般のスタートアップはこの割合が62.2%だった。
起業からイグジットまで…企業のライフサイクルに伴う長期・大規模な投資が必要
韓国科学技術情報研究院データ分析本部長のキム・ウンソン氏、グローバルデジタルイノベーションネットワーク理事長兼代表理事のキム・ジョンガプ氏、韓国科学技術持株会社代表理事のチェ・チホ氏、トルコ投資庁韓国支部長のタハ・サラン氏、韓国科学技術持株会社本部長兼専務のユン・ギドン氏、Sendbird Korea代表理事のイ・サンヒ氏、Plug and Play Japan代表のフィリップ・ヴィンセント氏、スウェーデン技術革新庁責任者のイルバ・ストランダー氏が26日、永登浦区汝矣島コンラッドソウルホテルで開催されたMONEYTODAYによる「2024キープラットフォーム」総会で、パネルディスカッションを行っている様子。/写真=キム・フィソン
しかし、ディープテックスタートアップが十分な投資を受け、スケールアップするためには、政府の支援だけでは不十分だという指摘が出ている。適切なタイミングで民間投資を受けられなければ、技術を適切に事業化することができず、廃業となる可能性もある。専門家たちからは、ベンチャー・スタートアップエコシステム内の様々なステークホルダーが参加し、スタートアップのライフサイクル全体を網羅するパッケージ型の投資戦略が必要だという意見が多い。
KSTのチェ・チホ代表は、2024キープラットフォームで「ディープテックスタートアップは、シリーズA、シリーズBごとに成果を示し続けるのが難しい。」とし、「毎回、起業者が資金調達をして回るのは到底無理だ」と述べた。その上で、「民間ベンチャー投資会社、政府出捐研究機関、スタートアップなどが、技術の事業化段階からスケールアップまでの各段階ごとに、予想投資額とマイルストーンを設定し、これに必要な大規模で長期的な投資ファンドを結成する必要がある」と提案した。
チェ代表は、企業型ベンチャーキャピタル(CVC)の役割も強調しながら、「韓国の100大企業の社内留保金は1,000兆ウォン(約113兆7,000億円)に達するほど資金力が高い」とし、「概念実証(PoC)方式で、ディープテックスタートアップがスケールアップするために大きなサポートとなるだろう」と述べた。
起業の活性化も総合的な戦略が求められる。KST起業企画本部長のユン・ギドン氏は、「ディープテック事業のアイデア発掘からチームビルディング、起業企画、初期投資、イグジット(投資金回収)まで、企業の全生涯を網羅するベンチャースタジオ方式のアプローチが必要」と説明した。
イルバ・ストランダー氏は、ディープテックに国家の競争力がかかっているとしながら、「欧州最北端の小さな国スウェーデンや韓国でも同じだ」と強調した。さらに、「単なる技術革新だけでは足りない。企業、政策、インフラの全てが革新の対象にならなければならない」と付け加えた。
<画像=グラフィック=キム・ダナ記者>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024042805104793189
2021年に発足したUNICORN FACTORY(ユニコーンファクトリー)は、MONEY TODAY(マネートゥデイ)が韓国の総合誌で初めてスタートさせたスタートアップ専門のメディアプラットフォームです。 溢れるニュースの中でスタートアップ生態系に必要なニュースだけを厳選し深く伝えます。
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