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「出生率0.72人、このままでは滅びる」…不妊解決の乗り出すスタートアップ

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「出生率0.72人、このままでは滅びる」…不妊解決の乗り出すスタートアップ

[ビッグトレンド]不妊診断・治療市場に飛び込んだスタートアップ

  • キム・ユジンさん(29、仮名)は昨年、卵子凍結の施術を受けた。まだ就職したばかりで、結婚して子供を産むまでに少なくとも5年以上かかるとの考えからだ。キムさんは「子どもを産むのか、産まないのかは分からないが、子どもを『産まない」ことと『産めない』ことには差がある」とし、「後に子どもを産みたいと思った時に後悔しないために卵子凍結の施術を受けた」と話した。

0.72人。統計庁が予想した昨年の合計特殊出生率だ。同庁は今年は0.68人、来年は0.65人で毎年最低を更新すると見込んでいる。

人口消滅の危機に直面する中、子どもを産みたくても産むことが難しい不妊に悩む夫婦も増えている。統計庁によると、不妊に悩む夫婦は2018年の11万6000人から2022年には14万3000人に急増した。そのためキムさんのように不妊に備えて卵子を凍結し、子宮の健康を事前に確認しようとする人も少なくない。

不妊に悩む夫婦が増え、関連する診断・治療市場も急成長している。業界は、不妊治療薬の市場は年平均10%以上拡大するとみている。革新技術を有するスタートアップも、不妊診断・治療市場に続々と乗り出しており、注目される。

不妊をめぐる問題を直接解決…医師が設立したスタートアップ

不妊治療専門の産婦人科医であるイ・ヘジュン代表が2021年に起業した Kai Health(カイヘルス)が代表的だ。最上の胚を選んで妊娠率を高める不妊人工知能(AI)ソリューションを作ることに集中している。

これまで試験管施術は医療スタッフが胚5~10個のうち最上の胚1個を顕微鏡で選別して子宮に移植してきた。問題は、胚の選別基準が医療スタッフによって変わり、妊娠成功率が半分にとどまることだった。

Kai Healthは医療スタッフの判断をAIが代行する。このため、韓国内外の医療機関から胚データ数万件を確保した。AIが妊娠の可能性が高かった、あるいは低かった胚の形態などを学習する。この技術はアジアで初めて欧州で医療機器の承認を受けており、現在、韓国内でも医療機器の承認手続きが進められている。

Kai Healthのイ・ヘジュン代表は「人が主観的に判断するのではなく、AIアルゴリズムを通じて胚選別の的中率を高めることが核心だ」とし「Kai Healthのソリューション導入した結果、妊娠可能な胚を選別する的中率は少なくとも65%以上だ」と話した。

子どもを授けてくれる「三神」の名を冠した samsin(サムシン)は医師3人が昨年設立したスタートアップだ。samsinは、卵子を凍結する前に卵子の健康を確認する卵巣年齢(抗ミュラリアンホルモン・AMH)の自己検査キットを開発した。指先に血を数滴キットに落とすだけでよい。病院検査に必要な採血量を90%以上減らすことができる。現在テスト用に無償提供しており、今年第1四半期内に医療機器の承認を受けることが目標だ。

samsinの自己検査キットを利用すれば時間と費用も節約できる。キットの配送と収集、検体受託機関まで伝達するのに3~4日程度かかる。病院で検査を受けるより時間は半分、費用は3分の1レベルまで減らすことができるという。検査精度も既存の病院検査比95%に達する。検査後、韓国の15カ所の避妊専門病院も案内してくれる。

精子検査も自宅で…米国ではジャスティンビーバーらスターたちも投資

오뷰 정자 분석기 /사진제공=인트인

オビュー精子分析器/写真提供=INTIN

不妊ソリューションとして世界最大のIT・家電展示会CES 2024で「人間安保」部門のイノベーション賞を受けたスタートアップもある。精子および排卵分析器を開発した INTIN(イントイン)だ。

INTINの「o view(オビュー)精子分析器」は自宅で精子の健康を検査することができる。精子分析器に精子を落とした後、スマートフォンのカメラを利用して精子の活動を観察する。INTINのアプリを開いてAIに分析を任せると、精子の動きパターンをAIが分析する。これまで精子の運動性検査は医療スタッフが精子一つ一つを分析したため、検査の一貫性と精度が低下していた。

INTINの関係者は「臨床試験の結果、o view精子分析器は既存の精子検査と比較して98%以上一致した」とし、「現在、韓国と日本、ロシアで発売された」と話した。

INTINは唾液で排卵日と生理の周期を案内するo view排卵分析器も発売した。既存の尿排卵分析器と比較して陽性一致率が95%に達することが分かった。INTINはCHA(チャ)病院、サムスン生命など病院、大企業との協業も進行中だ。INTINの精子分析器と排卵分析器はいずれも市販されている。

海外でも不妊診断・治療スタートアップが大規模な資金調達をして急成長している。精子自己診断および精子凍結スタートアップのLegacy(レガシー)は、2022年に2,500万ドル(約約36億4,500万ウォン)規模のシリーズB資金調達をした。米国の有名ポップ歌手ジャスティン・ビーバーとウィッケンド、DJキャレド、ハリウッド俳優オーランド・ブルームらも投資したことが分かった。

同年、卵巣老化防止治療剤を開発するOviva Therapeutics(オビバ・テラピュティクス)も1,150万ドル(約16億5,700万円)規模のシード資金調達をした。



<画像=27日、ソウル市内のある保健所に妊娠準備夫婦のための案内版が設置されている(ソウル=ニュース1)韓国の保健福祉部(省)はこの日、多子女を妊娠した際、胎児1人当たり医療費100万ウォン(約11万円)を支援し、所得水準に関わらず、不妊治療中の治療費の支援や卵子凍結の費用も一部支援する内容の「不妊・多子女個別対応支援対策」を発表した。2023.7.27/ニュース1 Copyright (C) ニュース1.All rights reserved.>

原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024011514482790499



/media/UNICORN FACTORY
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