K-ベンチャー、井の中を脱しグローバル展開へ…投資エコシステムの拡大に注力
K-ベンチャー、井の中を脱しグローバル展開へ…投資エコシステムの拡大に注力
- 経済関係閣僚会議・中小ベンチャー企業部の先進ベンチャー投資市場に向けた戦略
中小ベンチャー企業部は、ベンチャー・スタートアップエコシステムのグローバル化を促進することに焦点を当てた「先進ベンチャー投資市場戦略」を2日に発表した。韓国のベンチャー投資市場はこれまで一定の成長を見せてきたが、最近ではOpenAIやNVIDIAなど海外のディープテック企業が優れた人材と資本を集めており、環境が急速に変化している。そのため、韓国のベンチャー投資市場もグローバル化が急務だとされている。
政府によると、韓国のベンチャー投資市場は2005年のファンド・オブ・ファンズ設立をきっかけに本格的に成長軌道に乗り、2008年から昨年までの15年間、年平均16%の成長を遂げてきた。同期間中の、世界市場の成長率9%を上回るペースだ。また、この期間のベンチャーファンドの収益率も年平均9%だ。さらに、2020年にはベンチャー投資促進に関する法律が制定された。
しかし、海外からの資金調達の割合は全体投資額の2%にとどまるなど、依然として低調だ。政府のファンド・オブ・ファンズなど、一部の大型投資家を中心に市場が形成されている点は、改善が必要な課題として挙げられている。特に、政府が昨年8月に掲げた「民間主導のグローバル創業大国」という目標を実現するためには、関連制度の早急な見直しが求められてる。
政府は、韓国のベンチャー投資市場を2027年までに過去最大規模の16兆ウォン(約1兆7,720億円)に拡大し、海外からの資金調達規模も2023年の2,000億ウォン(約222億円)から2027年には1兆ウォン(約1,108億円)規模に大幅に引き上げるという目標を掲げた。グローバルベンチャー投資の金額を具体的な目標として数値化するのは今回が初めてだ。このため、シンガポールの資金調達制度であるVCCを活用してグローバル型の資金調達ファンド・オブ・ファンズ(K-VCC)を設立する予定だ。また、韓国で大企業がスタートアップに投資する場合、ファンド・オブ・ファンズがマッチング投資を行う「バリューアップファンド」の新設が計画されている。
資料:中小ベンチャー企業部
グローバルファンドの構築に加え、地方のベンチャー投資拡大や回収市場の活性化に向けた対策も講じられた。非首都圏専用のベンチャーファンドを2027年までに1兆ウォン規模で追加設立する予定だ。また、回収市場の活性化のため、2025年に1億ドル規模のグローバルセカンダリーファンドを設立し、M&A(企業・事業の合併や買収)やセカンダリー分野の規制を大幅に緩和する計画だ。これまでファンド・オブ・ファンズの子ファンドは、新株取得のみを主な目的としていたが、今後は旧株取得も主要な投資対象となるよう制度を改善する方針だ。
ベンチャー投資会社の義務投資対象を、スタートアップ・ベンチャー企業から中小企業全体に拡大し、ファンド別の義務投資比率も廃止することになった。これは、ベンチャー投資会社の自律性に関する規制を世界の標準レベルに合わせて、大幅に緩和するものだ。このほか、投資家の事前同意権については、投資家とスタートアップの権利をバランスよく保障するため、標準投資契約書を改定する予定だ。事前同意権は、被投資企業の主な経営事項について投資家の事前同意を得る規定である。
中小ベンチャー企業部の関係者は、今回の方案について、「Kスタートアップを海外市場に進出させるだけでなく、韓国のベンチャー投資エコシステム自体をグローバル化し、魅力的な投資市場をつくることが目標。」とし、「そのため、各種規制緩和やシステム改善策が含まれている。」と説明した。
ベンチャー投資業界は、今回の方案に対しておおむね好意的な反応を示している。セカンダリーマーケットの活性化や旧株の取得許可などについて、「これまで業界が求めてきた内容だ。」という声が多い。グローバルな協力が必要な課題については、実際に効果が出るまで時間がかかると指摘されている。シンガポールのVCCの場合、ライセンスを取得する手続きが難しい。また、金融会社のスタートアップ投資に対するリスク加重資産(Risk Weighted Asset)の負担軽減を図るなど、国内の制度変更についても複数の省庁が調整する必要がある。
中小ベンチャー企業部の関係者は、「経済閣僚会議で対策として取り上げられる予定なので、関係省庁と協議はすでに完了している。」と強調した。K-VCCについては、「韓国ベンチャー投資(KVIC)を中心に2026年からVCCライセンスを取得し、K-VCCという一種の親ファンドを運営する予定。」とし、「韓国のVCがシンガポールでグローバルベンチャー投資資金を調達し、現地に進出したスタートアップに投資できる有用な制度となるだろう。」と話した。
中小ベンチャー企業部のオ・ヨンジュ長官は、2日の経済関係閣僚会議で、韓国を世界の4大ベンチャー投資大国に成長させるとし、このようなビジョンを明らかにした。
<資料:中小ベンチャー企業部>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024093014304838360
2021年に発足したUNICORN FACTORY(ユニコーンファクトリー)は、MONEY TODAY(マネートゥデイ)が韓国の総合誌で初めてスタートさせたスタートアップ専門のメディアプラットフォームです。 溢れるニュースの中でスタートアップ生態系に必要なニュースだけを厳選し深く伝えます。
関連記事
-
FAST VIEW、日本現地法人を設立…グローバル市場攻略を本格化
#Platum #AI #グローバル進出 -
webaresoft、API管理ソリューションで資金調達
#Platum #クラウド #グローバル進出 #AI -
ABLYのamood、「ワンストップ」サービスの日本進出1年で取引額3倍増加
#電子新聞 #韓国 #ファッションテック #グローバル進出 #SaaS -
yanolja、みずほ銀行とレジャー金融サービスのグローバルシナジーを模索
#電子新聞 #フィンテック -
韓国・江原道、日米韓三角バイオベルト推進...米国・ボストン、日本・神戸との協議本格化
#電子新聞 #AI #バイオ #グローバル進出 #医療 -
Google playが選定した2024年の「今年のアプリ・ゲーム」受賞作
#Platum #アプリ #ゲーム #エンターテインメント #AI