起業戦線に飛び込んだ獣医師たち、理由は...「ペットヘルスケア市場が台頭する」
起業戦線に飛び込んだ獣医師たち、理由は...「ペットヘルスケア市場が台頭する」
獣医師出身のCEO・投資家によるペットヘルスケア市場の展望
韓国人の4人に1人がペットと一緒に暮らしている。KB金融持ち株会社経営研究所によると、2022年末現在、韓国のペット飼育世帯は550万世帯を超え、ペットの飼育者は1262万人と集計されている。全人口の24.5%に相当する。
単身世帯の増加や少子高齢化などの人口構造の変化により、ペット同伴世帯は継続的に増加傾向にある。これに伴い、ペットの飼育にかかる費用を惜しみなく投じ、ペット関連製品・サービスの需要が増え、関連産業も急成長している。
特にペットのヘルスケアへの注目度が高い。ペットを飼っている1000世帯を対象にしたKB経営研究所の調査で、回答者の55%がペットに対する最大の関心事として「健康管理」を挙げた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、ペットヘルスケアの大きな部分を占める「ペット保険の活性化」を国政課題に含めることとした。
市場の成長と政策的支援を背景に、大企業からスタートアップまで様々な企業がペットヘルスケア事業に参入する中、ユニコーンファクトリーは、ペットと密接に呼吸してきた獣医師出身の創業者と投資家からペットヘルスケア市場の展望について聞いた。
今回のインサイト共有には△vetflux(ベットフラックス)のユン・サンウ代表△LIMPID(リムピッド)のキム・ヒス代表△PETNER(ペットナー)のチェ・ガリム代表△Bluepoint Partners(ブルーポイントパートナーズ)のチェ・イェリム首席審査役が参加した。
「ペット市場の『質的成長』局面、ヘルスケア分野へのAI活用議論が活発」
獣医師出身のCEO・投資家のペットヘルスケア市場展望
文系から獣医師に進路を変えた後、「動物病院顧客管理ソリューション」事業に乗り出したユン・サンウ代表は「ペットヘルスケア市場は引き続き成長すると見ている」とし、「実際に2019年に初めてスタートアップを始めた時と今とでは多くの違いがある」と話した。
ユン代表は「ペット市場は今、質的な成長を遂げている。ペットヘルスケアへの関心と発展が特徴的だ」とし、「現在、この領域でデータと人工知能(AI)の活用に関する議論が活発化している」と話した。
ユン代表は「私たちだけでなく、似たような技術を活用するサービスが続々と登場するだろう」とし、「成長を牽引(けんいん)するのは人々の認識だ。家族の領域が変化するに従って、永遠の味方であるペットの健康管理に対する意識は今後も高まっていくだろう」と付け加えた。
放送局SBSの「TV動物農場」を見て獣医を夢見てきたというキム・ヒス代表は、獣医学を学び、修士で栄養内科を専攻したが、韓国の飼料市場に問題点が多いと感じ、現在、飼料プラットフォーム「saladpet(サラダペット)」と一般飼料ブランド「TrustyFood(トラストフード)」を運営している。
キム代表はペットヘルスケア市場について、「人に対するB2Cヘルスケアビジネスが完全に定着せず苦戦しており、ペットに対する新しい形のB2Cヘルスケアサービスが短期的に展望が開けるかは分からない」と話した。
キム代表は「結局、飼料と医薬品が市場を牽引するだろう」とし、「市場規模が最も大きく、巨大なペット市場である米国を見ても、ペットヘルスケアビジネスを手がける代表的な企業のほとんどは、飼料会社や動物用医薬品会社からスタートして拡大したケースが多い」と説明した。
獣医科大学を卒業後、獣医として働いていた時、「ペットケアサービス」の必要性を実感し、起業に乗り出したPETNERのチェ・ガリム代表は、「ペット関連の支出規模だけを見れば、ヘルスケア市場はまだそれほど大きくないと思うかもしれない」と話した。
チェ代表は「しかし、ペットのヘルスケアはもう少し広い意味で捉えなければならない。その理由は、ペットと人の本質的な違いにある」とし、「ペットは言葉を話せないので、飼い主はどこに問題があるのか常に気がかりだ」と話した。
ヘルスケアが単にペットに対する医療行為にとどまらず、食事から始まり、行動・美容、住環境など、ペットの生活全般に関する領域がヘルスケアの範囲に入るとの説明だ。
チェ代表は「ペット市場でヘルスケアは、単に治療・診断だけでなく、健康状態に応じた食べ物、用品、住居、さらにペットのライフスタイルまで決定する中核的な要素と見ることができる」と話した。
「ペット保険、ペットヘルスケア市場を牽引する」
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は110大国政課題の一つとしてペット保険の活性化を強調した。写真は、尹大統領と金建希夫人が5月4日、ソウル龍山の大統領室の前庭に造成された龍山子ども庭園で開園記念植樹を終えた後、サニーと引退した盲導犬セロムと一緒に休憩している /写真=大統領室
「ペット保険」がペットヘルスケア市場を牽引するとの見通しも出ている。獣医師を経て起業を夢見てベンチャーキャピタル(VC)業界に足を踏み入れたBluepoint Partners(ブルーポイントパートナーズ)のチェ・イェリム首席審査役は、「ペットヘルスケア産業の成長を牽引するためには、ペット保険の活性化がカギとなる」と話した。
また、「政府もペット保険の活性化のために、動物登録や診療標準化など、保険の活性化に必要な諸制度を作っている。ペット保険が普及すれば、ペットの医療費の負担が減り、より多くのペットが定期的に健康診断や予防的な診療が受けられるようになるだろう」と付け加えた。
チェ首席審査官は、ペットヘルスケア市場のトレンドと関連し、「従来の診断と治療中心から予防や健康管理中心に変化している。一次的には、高品質の機能性飼料と栄養剤の需要が増加している」と分析した。
チェ氏は「ペットテック分野では、企業がデータを活用して病気を予測しようとしている。この過程で、産業全般のトレンドであるビッグデータとAI技術を組み合わせた疾病予測、管理の利便性を提供する製品、獣医学とAIが結合した診療支援など、様々なサービスが登場している」と話した。
ペット分野「K-ユニコーン」を目指すなら
彼らは、ペット関連の産業分野でユニコーン(企業価値10億ドル、約1,600億円以上の非上場企業)を輩出するには、現在の市場規模をさらに拡大する一方、企業のグローバル進出を積極的に支援できる体制を整えるべきと提言した。
キム・ヒス代表は「ペット市場はビューティー・ファッションと違い、まだ市場規模が小さく、1つの企業が爆発的に成長するのは難しい。長期的な観点から市場のパイを拡大することが先決だ」とし、「K・ビューティーを育てたCOSMAX(コスマックス)・コルマのように、ペット産業全般のインフラとなる企業が必要だ」と話した。
ユン・サンウ代表は「スペイン風邪や新型コロナウイルスのように、社会に影響を与えたほとんどの病気が人獣共通感染症だ。動物・人・環境を一つに見て体系的に管理しなければならないので、ペットヘルスケアの重要性が高まるだろう」とし、「これに対する政府レベルの認識と支援が重要だ」と強調した。
ペットのライフサイクルに応じて断片化したビジネスを統合し、一貫したケアを提供する必要があるとの見方も出ている。チェ氏は「韓国のペット市場は成長しているが、断片化しており、グローバルおよび大企業が依然として多くの比重を占めている」と話した。
チェ氏は「マーケティングで勝負する消費財やサービスの販売よりも、独自の技術と品質管理で信頼を築くことが重要だ」とし、「海外のペット分野のユニコーンがグローバルに活躍できるよう、韓国も海外支援プログラムを通じてグローバル進出を図るべきだ」と語った。
<画像=19日午前、韓国・ソウル近郊の京畿道一山のKINTEX第1展示場で開かれた「2024MEGAZOO・一山」で、愛犬を連れた観覧客が展示場を見学している。今回のイベントでは、ペットフード・おやつ、ペット関連用品、ペット同伴旅行企画館、ペットアロマ体験クラス、アジリティ大会などペット産業全般を紹介した/写真=ニュース1>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024062118305144378
2021年に発足したUNICORN FACTORY(ユニコーンファクトリー)は、MONEY TODAY(マネートゥデイ)が韓国の総合誌で初めてスタートさせたスタートアップ専門のメディアプラットフォームです。 溢れるニュースの中でスタートアップ生態系に必要なニュースだけを厳選し深く伝えます。
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