東京のスタートアップイベントで韓国ブースに行列…日本企業から人気のKスタートアップ
東京のスタートアップイベントで韓国ブースに行列…日本企業から人気のKスタートアップ
【ルポ】SusHi Tech Tokyo 2024とClimbers Startup JAPAN EXPO 2024の現場レポート
東京の5月は「スタートアップの祭典」の月だ。地域各地で様々なイベントが開催される。特に今週は、「日本版CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」と呼ばれるアジア最大規模のスタートアップ展示・カンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2024(スシテック東京)」や、日本の主要大企業・企業型ベンチャーキャピタル(CVC)などの大手が集結する「Climbers Startup JAPAN EXPO 2024(クライマーズスタートアップエキスポ)」などが同時に開催される。
15日「SusHi Tech Tokyo 2024」と「Climbers Startup JAPAN EXPO 2024」が開催されたお台場の国際展示場ビッグサイト。周辺のホテルはすでに各国から集まったスタートアップ関係者でほぼ満室となり、ホテルの宴会場も同様に予約でいっぱいだった。電気通信事業者KDDIをはじめ、Salesforce(セールスフォース)、三菱、NTT、NEC、ソフトバンクなどの主要企業が、日本のDX(デジタル転換)問題を共に解決してくれる海外の有望なスタートアップとのネットワーキングのために、予約を済ませていたのだ。
韓国のICTスタートアップと共に「SusHi Tech Tokyo 2024」に参加したGDIN(Global Digital Innovation Network{グローバルデジタルイノベーションネットワーク})のキム・ジョンガプ代表は、「今回のイベントは、初期段階から日本のような大規模な市場に海外進出しようとする世界各国のスタートアップが高い関心を示した。」とし、「日本は今、DX化が積極的に進められているため、韓国のスタートアップにとっても『チャンスの場』となるだろう。」と話した。
日本進出の足がかりとなる「SusHi Tech Tokyo 2024」開催
15日から2日間、東京ビッグサイトで開催される「SusHi Tech Tokyo 2024」には、47カ国から429社(日本164社、海外265社)が参加する。昨年に比べてほぼ2倍の規模だ。今回のイベントにゴールドスポンサーとして招待されたGDINは、バイオ・建設・旅行分野のK-スタートアップ10社と共同で総合ブースを設けた。製造設備制御ソリューションを開発したTilda(ティルダ)をはじめとする、△VideoMonster(ビデオモンスター)、△Quve Seventeen(キューブセブンティーン)、△SHAFFENGOTT(シャッフンゴット)、△CHANGSOFT I&I(チャンソフトアイアンドアイ)、△Fainders.AI(ファインダーズAI)、△Qubit Security(キュービットセキュリティ)、△ROKIT Healthcare(ロキットヘルスケア)、△Wemeet Mobility(ウィミートモビリティ)、△D2EMOTION(ディートゥーエモーション)などの10社だ。
Quve Seventeenのキム・ジンス代表がAIと3Dスキャナーで製作した歯科補綴物を手に持っている様子。/写真=リュ・ジュンヨン記者
Quve Seventeenのキム・ジンス代表は、「今年、日本市場に進出するためにパートナーを探しに来た。」とし、「下半期には日本でJV(ジョイントベンチャー)を設立するのが目標。」と話した。VideoMonsterB2B事業チームのキム・キョンウンチーム長は、「旅行ショート動画プラットフォーム『ViiV』の映像コンテンツを供給するため、日本のパートナー企業や顧客企業を探しに来た。また、市場の動向も探る予定だ。」とし、「今年の夏以降、日本でのマーケティングを積極的に展開し、現地ユーザーを10万人以上確保する計画だ。」と述べた。
SusHi Tech Tokyo 2024の会場に設置されたGDINのブース/写真=リュジュンヨン記者
CHANGSOFT I&Iは戦略として、清水建設のブースのすぐ横に自社のミニブースを設置した。清水建設は日本5大建設会社の一つで、年間売上高2兆円、社員数1万人を超える。CHANGSOFT I&Iは、清水建設の副社長と社員が来るたびに名刺を渡し、3D BIM(建設情報モデリング)設計ソリューションのBuilderHub(ビルダーハブ)を紹介することに注力した。CHANGSOFT I&I 経営本部ソリューション事業チームのキム・ヒョンスクチーム長は、「2次元(2D)設計図面を見ながら手作業で行っていた工事費算出と資材の数量・費用計算などを、AIと3D技術を通じて自動化できるデジタルソリューションをアピールしたところ、大きな関心を集めた。」と話した。
SusHi Tech Tokyo 2024の組織委員会が特別イベントとして用意した「SusHi Tech Challenge 2024」には、アジア地域の507社から参加申し込みがあった。このうち20社が激しい予選を突破して決勝進出のチケットを獲得したが、韓国代表としては唯一、中古自転車の非破壊検査と認証ソリューションを開発したWRIGHT BROTHERS(ライトブラザーズ)が勝ち残り、注目を集めた。
ROKIT Healthcareのブースを訪れた来場者が臓器再生プラットフォームの説明を受けている様子。/写真=リュ・ジュンヨン記者
会場でインタビューを行ったGRAVITY VENTURES(グラビティベンチャーズ)のキム・セッビョル代表は、韓国VCの代表として今回のイベントに招待されたという。前日、全世界のベンチャー投資会社100社が参加した中で開かれた前夜祭「東京投資計画説明会」と、有望なグローバルスタートアップによるピッチング大会に参加したキム代表は、「技術の完成度や代表者のプレゼン能力は韓国のスタートアップが圧倒的に優れていると感じたが、同時に韓国のスタートアップに対するグローバル投資会社の理解度がそれほど高くないということも知るきっかけになった。」とし、K-スタートアップに対するより積極的な宣伝・マーケティングが必要だという意見を述べた。
今回のイベントには、韓国の起業家のベースキャンプと呼ばれる「D.CAMP(銀行青年創業財団)」も参加した。D.CAMPは、日本のきらぼしコンサルティングと「日韓スタートアップネットワーク活性化」など、スタートアップの海外進出支援のための業務協約(MOU)を締結し、計7チームが参加する投資コンテスト「D.DAY」を開催する予定だ。
「日本のB2B市場を攻略せよ」…K-スタートアップの活動本格化
15日、お台場ビッグサイト開催の「Climbers Startup JAPAN EXPO 2024」に参加したeMotivの関係者が、日本のヘルスケア業界関係者にソフトウェアを利用したADHD緩和ソリューションを説明している様子。/写真=キム・テヒョン
同日、同じ場所で共同開催された「Climbers Startup JAPAN EXPO 2024」の会場前。午前10時の会場前から入場を待つ人で長蛇の列ができた。Climbers Startup JAPAN EXPOは、名刺管理SaaS(サービス型ソフトウェア)の企業Sansan(サンサン)が主催するイベントだ。
前回から6ヶ月ぶりに開かれたClimbers Startup JAPAN EXPOは、規模も内容も大きく成長した。参加企業数は300社で昨年11月より100社増え、起業家精神を強調していた前回とは異なり、企業型ベンチャーキャピタル(CVC)のM&A戦略など、業務に必要な実践的ヒントを提供することに重点を置いた。
今回のイベントには韓国のスタートアップも多数参加した。△LONGEST(ロンギスト)、△eMotiv(エモーティブ)、△Neuro Ears(ニューロイアーズ)、△Mathpresso(マスプレッソ)、△KAFLIX(カフリックス)、△E material LAB(イーマテリアルラボ)、△COMPLEXION(コンプレクシオン)、△NEXTPAYMENTS(ネクストペイメンツ)、△KONEKSI(コネクシー)、△NAWA(ナワ)、△Shopl & Company(ショップルアンドカンパニー)、△ASWEMAKE(アズウィーメイク)、△aidenlab(エイダンラボ)、 △Fusion(ヒュージョン)などだ。昨年11月の6社から14社に2倍以上に増えた。
韓国のスタートアップブースには、協業を希望する日本企業の関係者が殺到した。沖縄で事業を成功させたレンタカーSaaSスタートアップKAFLIXのブースには、レンタカー関連の大企業関係者らが訪れ、サービスを実際に確認した。
KAFLIXの関係者は、「沖縄だけでなく、東京や北海道などにもサービス領域を拡大している。」とし、「最近はB2B(企業間取引)にもサービスを広げている。」と話した。翌日の16日には、KAFLIXのシン・ジョンミン代表が直接企業説明会(IR)でプレゼンを行う。
2019年から日本でAIの数学学習アプリ「QANDA(クァンダ)」を運営しているMathpressoも、B2B需要を把握するために今回のイベントに参加した。Mathpressoの関係者は、「今回のイベントで企業・学校教育の関係者と多くの出会いがあった。」とし、「実証事業(PoC)の需要も大きいことが確認された。」と話した。
韓国のデジタルヘルスケア分野のスタートアップにも関心が集まった。今回のイベントに参加したeMotivは、ADHD(注意欠如・多動症)の児童を対象としたデジタル治療剤(DTx{デジタルセラピューティクス})を開発している。関係者は、「現在、日本の小学校4校でユーザビリティテストを実施している。」とし、「かわいらしいキャラクターを活用したソリューションが人気だ。」と話した。
仮想現実(VR)を利用した老年期のめまい診断機器を開発しているNeuro Earsのソ・ギュウォン代表は、「超高齢化社会である日本でも老年期のめまい症状は社会的問題となっている。」とし、「部品供給会社と日本進出を検討していたところ、今回のイベントに参加することになった。販売先確保のためのパートナー会社を探している。」と話した。
小池百合子東京都知事が、SusHi Tech Tokyo 2024の開会式で演説を行っている様子。/写真=リュジュンヨン記者
東京都知事「今後5年間でユニコーン企業を10倍に増やす」
一方、SusHi Tech Tokyoのイベント全体を総括した東京都スタートアップ・グローバル金融戦略担当の吉村 慶一局長は、ユニコーンファクトリーとのインタビューで、「東京駅から5分の距離にあり、海外スタートアップの日本進出を支援する『Tokyo Innovation Base(TiB{東京イノベーションベース}』の開所式が本日行われ、本格的な運営を開始する。」とし、「韓国のCOEX(コエックス)より少し小さいくらいの規模で、技術移転を目指す韓国内外のR&D(研究開発)機関、資金供給を行うVC、世界中のスタートアップが一堂に会し、グローバルネットワーキングの中心地となるだろう。」と話した。東京都が最近発表した世界主要都市のスタートアップ数ランキングでは、東京は6位(4307件、2022年基準)を占めた。
小池百合子東京都知事が、SusHi Tech Tokyo 2024の開会式で演説を行っている様子。/写真=リュジュンヨン記者
小池百合子東京都知事は「SusHi Tech Tokyo 2024」の開会式で、「昨年末、東京都港区に大規模なVC投資拠点である『東京ベンチャーキャピタルハブ』を設立するなどして、投資強化や税制優遇、日本企業とのオープンイノベーション、専門人材育成、関連ネットワークの構築などを強化している。」とし、「今後5年間で、スタートアップ・ユニコーン企業数、スタートアップとの協力プロジェクトをそれぞれ10倍以上増やす。」と述べた。
東京都の関係者によると、今年のスタートアップ関連予算は286億円だという。また、今年中にディープテック(先端技術)分野の研究・開発拠点を渋谷区に開設するとともに、MIT(マサチューセッツ工科大学)と連携してスタートアップ育成プログラムも提供する予定だ。
<画像=15日から2日間、東京ビッグサイトで開催されたSusHi Tech Tokyo 2024の会場内の様子/写真=リュ・ジュンヨン記者>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2024051506110193134
2021年に発足したUNICORN FACTORY(ユニコーンファクトリー)は、MONEY TODAY(マネートゥデイ)が韓国の総合誌で初めてスタートさせたスタートアップ専門のメディアプラットフォームです。 溢れるニュースの中でスタートアップ生態系に必要なニュースだけを厳選し深く伝えます。
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